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豊永純子「形がぼんやり見えてくる(3日目)」

おはようございます。3月3日、蒲原滞在3日目です。

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朝日を浴びる旧岩邊邸の庭園を撮っていたら、猫ちゃん登場。やっほー!

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本日もアラームが鳴る10分前に起床。
お目当てはもちろん、真奈美さんの手作りパンです!

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本日のパンはいちご食パン。やさしいピンク色で華やか!でも案外オトナなお味で、美味しくてあっという間にたいらげてしまいました。

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桃の節句を意識して、もも色のパンにしてくださったのかしら・・?
なんて粋な心づかい!いつも素敵な笑顔で接してくださる真奈美さん。惚れます!

もも色パワーをチャージして向かった先は、蒲原地区唯一の中学校「静岡市立蒲原中学校」です。

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道中、木下勇さんの大学の教え子さんで、私と同じく演劇の演出をされている阿部健一さんと合流しました。東京の練馬区を拠点として活動している「uni(うに)」という団体の代表をされていて、都市と演劇についての論文を執筆予定とのことです。

木下さん・阿部さんと共に、蒲原中の海野校長先生からお話を伺いました。

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主に「蒲原宿場まつり」で中学生が演じる街頭時代劇のことを中心として、蒲原中学校と演劇の可能性についてとことんお話しました。

現在蒲原中の部活動は7つ。内6つが運動部で、演劇部はありません。少子化によって生徒数も減り、一部の部活は隣接する地区と合同で行うこともあるそうです。
全国どの小中高校でも叫ばれる「人手不足」。蒲原中も例外ではなく、日々の授業準備からクラス担任、行事と会議、部活動の顧問やあらゆる書類の作成などなど・・・教員の方々の負担を海野校長先生も気にされていました。

教員は3年前後で他校へ異動するため、長く活動を継続していく為には「地域の力」が必要だというヒントをいただきました。
演劇、ことに俳優というものは、一種の中毒性があると思います。木下さんも仰るように、一度やってみるとまたやりたくなる。そしてまた次・・と続けていく内に、「観客の拍手」や仲間と演じきる「達成感」によって、すっかり虜になったという話を良く聞きます。
単発の演劇ワークショップでも個人や集団にさまざまな効果をもたらしますが、何年も継続していくことでさらなる強固な集団作りやしなやかな個人の形成につながると思います。
そうしたやり取りの中で見えてきたのは、「地域クラブ」としての多世代交流型演劇のビジョン。校長先生とお話ができて、本当に良かったです!

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校訓「自発 責任 友愛」

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重点目標「自律」

校則を無くし、学生同士の話し合いの場を設け、自らルールを考えてもらうなど、様々な働きかけによって、生徒の「自律」を促しています。
昨日案内していただいた自然公園の看板を思い出しました。こどもの行動を一方的に制限するのではなく、「自己責任」や「自律」という考えをしっかりと伝えていく蒲原の教育方針に敬意を表します!

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校長先生は生まれも育ちも蒲原。生粋の蒲原人。
生活指導をされていた頃の生徒の様子や、先生の子ども時代のお話、さらにさかのぼってお父様から聞いた戦時中の話など、蒲原のあらゆる今昔物語を伺うことが出来ました。
海野校長先生、お忙しい中、長時間お付き合いいただきありがとうございました!

たくさん頭にインプットしたので腹にも入れよう。

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巨大カツ丼に挑戦・・・

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は止めといて、こちらのカツ丼ランチを「かつさと」さんでいただきました。

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今日は雲が少なく、ようやく富士山のてっぺんとご対面。
食後は運動がてら歩いて「蒲原図書館」へ。

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昨日「蒲原応援団」の方から伺った、蒲原の昔話をモチーフにした大型絵本を探しに行きました。
図書館の職員さんが「そよかぜ」の方々が制作した絵本を数冊にまとめたファイルを出してくださったので、一覧でチェックすることが出来ました。

ありました、お目当てのゾウのお話!
『東海道を象が通ったゾ〜』
声に出して読みたくなるタイトルですね!

江戸時代(享保13年/1728年)にベトナムから献上された二頭の象が、長崎から江戸を目指す道中のお話。東海道を通ったので、蒲原でも象とお付きの人々をおもてなししたそうです。あんな事やこんな事が起きちゃったりして、めちゃくちゃ面白い!演劇として上演するイメージがビシバシ湧いてきます。

その後、蒲原タクシーの社長さんでいらっしゃる長谷川久さんから、「蒲原宿場まつり」で上演されてきた中学生演劇の歴史を教えていただきました!

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この演劇の経緯や全容をご存知なのは、長谷川さんただひとり!
今までの流れを丁寧に順を追って説明してくださり、宿場まつりの演劇を観ていない私にも、その様子をイメージすることが出来ました。

15年近く続く市民演劇の歴史を、その始まりから詳しく伺うことができるなんて・・・またとない貴重な機会です。
「街でちょっとした時代劇をやってほしい」という要望を当時の町長さんが蒲原で引き受けたのが、事の発端だそうです。参加者を募集したところ、小学生から大人まで20名があっという間に集まったという話も驚きました。
平成18年の静岡市との合併、行政主催の「宿場まつり」と商工会主催の「産業フェア」がくっついたこと、中学生ボランティアが60名集まったこと、ボランティアをしていた2年生から何かやりたいという声があがったこと・・・様々な転機。
点と点をつぎつぎと繋いでいく長谷川さんの手腕に、舌を巻きました。華麗!

優秀なコーディネーターが何人も居て、地域の発展に貢献している。それが蒲原。蒲原最大の魅力は、やはり「人」です。

すご技コーディネーター長谷川さんから直々に御助言をいただき、蒲原での演劇新企画の構想がググッと現実味を増しました。乞うご期待。

記念すべき第一回目公演(宿場まつり時代劇の前身)に出演された稲葉さんに、冊子「かんばらっ子」について解説していただきました。

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「蒲原音頭」の歌詞も載ってます。

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「この冊子を読んだら、蒲原の歴史などあらゆることが分かる」と、長谷川さんお墨付き。じっくり拝読します。

あっという間に夕方に。
次なる目的地は蒲原にある一棟貸し旅館「素空庵(そくうあん)」。
明日からお世話になるゲストハウス「燕之宿」の大澤さんからご紹介いただき、自転車に乗って「素空庵」へ向かいました!

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一棟まるごと借りられるそうです。

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解体される予定だった家を牧田裕介さんが購入。
元の空間の魅力を活かしながらアーティストの作品展示の場にもなっている、新しい旅館型文化施設です。

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山本愛子さんが1ヶ月ほど滞在され、この家の歴史をふまえた上で巨大な作品を制作。常設展のようになっていて、座り心地の良さそうなイスに座りながら鑑賞できます。
いや、もはや鑑賞というより、作品と共に「居る」みたいな感覚。ギャラリーや美術館では作品を「観よう」としますが、この「素空庵」では、作品がごく自然と生活スペースの中にあるため、まじまじと細部まで目に焼き付けるような鑑賞とはひと味違います。

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食器棚の一部は、この家にあった大量のカマボコ板を使用されたそうです。

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オーナーの牧田さんと、地域おこし協力隊として静岡市に勤務されている小林大輝さん、そして蒲原旅人の山本さんと豊永で、近くのスーパーに行き夕飯を仕入れました。

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小林さんが、太刀魚のお刺身をおろしてくださり・・!

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思いがけずお刺身パーティーになりました!

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それぞれ違った経歴を持つ、ほぼ同世代の4人。
刺身をつまみながら二時間半ほどお互いの活動について話しました。外国のシェアハウス事情や地方美大の教授職、静岡市の行政についてなど話題が尽きません。
蒲原や静岡市で頑張る同世代の人のお話を聞くことができて、とても刺激になりました!みんな、凄いなぁ〜。また集まりたい!

ということで、またやってしまいました。もう午前3時半・・・
おやすみ前の1枚は、旧岩邊邸に飾られている立派な雛人形の写真です。

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明日も楽しみ!おやすみなさい。

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