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鮫島弓起雄「芽が出て実になるのはいつの日か」(まとめ)

マイクロ・アート・ワーケーションでの滞在を終えて早1週間が経ちました。
心身ともにいつも通りの東京での日常に切り替わって、御殿場での滞在がなんだか夢であったようにも感じられます。そんな郷愁の念?から、宿泊していたマンテンゲストハウスのインスタグラムを見てみると、改装の真っ最中でトイレ壁の一部が取っ払われている!見慣れた風景が変わっていることに少し寂しさを感じると同時に、次行くときにはまた違った雰囲気が見られるのだなという期待感も沸き上がりました。
さて、そんな先のことを考える前に、滞在の振り返りをしないとです。


今回の滞在で一番特徴的だったのが、出会った人や場所の多くが「ひとつのことに縛られない活動スタイルを持っていたこと」です。
バーになったりイベント会場になったり映像撮影に使われたりするもするゲストハウス。
のオーナーさんは前は飲食店を経営していたり古物商や電気技師の資格も持っていてお店やらお家も自分でリノベーションしていたり。
よもぎ蒸しができたり食堂になったりするクリーニング屋さん。
アクセサリーのポップアップやワークショップも開催している、一見ギャラリーような空間の花屋さん。
会議室やイベント用のホールがあったり、コミュニティFMのスタジオもある地元民御用達のスーパーマーケット。
昼は金属加工職人、夜は漫画もゲームも缶詰も楽しめるバーのマスター。
などなど。
そういえばそもそもホストの富士山文化ハウスの方々も、ライターでイベント企画もしていたり、建築家でカフェもやっていたり、という面白い属性を持っている人達でしたね。
しかもこれらの場所や人々が皆、自然体で楽しみながら、無理をしていない様子で動いている感じがあったのです。

もちろん他の地域、例えば東京でもこのような場所はあるのでしょうが、僕の周りではパッとは思い浮かばないし、あってもどこかしら肩の力が入っているというか、やる気(あるいは商売っ気)が漲り過ぎていてちょっと窮屈というか、御殿場で感じたリラックス感は無いように思えてしまいます。

僕自身、作品制作活動以外にも、海外旅行者向けのガイドサービスへの参加や表現者同士の国際的でカジュアルな交流会を主催するなどしていて、それらがコロナの影響でしばらくストップしているという状況なのですが、御殿場で触れた人たちの活動を見て改めて「楽しみながら続けていこう。違う分野にも挑戦していこう。無理のない範囲で。」という気持ちになることができました。

一方で、交流を持った人々の性質に、少し偏りがあったかな~と思う面もありました。例えば今回は自衛隊の方とお話しするような機会もほとんどありませんでした。
これは1週間という短い滞在期間と、コロナ禍で幅広い交流が難しいという事情が大いに関係しているところで仕方のない部分ではあるとも思いますし、そもそも自分で「繋がりを辿っていく」みたいな方針で動いていたので当たり前っちゃ当たり前なのですが。
この滞在で僕が感じられた御殿場は、ある程度限定された御殿場像であることを自覚しておかないといけない。次の機会があればもっと多面的に御殿場という地域を見ることができたら良いな。と思います
地域を「知る」というのは実はとても難しく、際限がないことだなぁと実感した滞在でもありました。


マイクロ・アート・ワーケーションは、アーティストに成果物を求めない、交流そのものを条件とした事業であったわけですが、それでも、表現を術とする人たちはついつい何かを残したい起こしたいという欲求なり使命感なりが出てくるものじゃないかなと思います。
実際他の方のnoteを読んでみると、ワークショップを開いたり何かしらの発表の場を設けたりという記事がいくつか見られました。
それを意識してかしないでか、というか何も思い浮かばなかっただけというのもありますが、僕はそういった積極的な発信の場を設けることはありませんでした。

今回の滞在では、先に書いたような発見や自身の考え方への影響があったのは確かですが、形としては未だ何も出てきてはいないし御殿場に残してもいません。しかし、この経験は間違いなく僕の中でひとつの層を形成していて、表現作品というのはその層の重なりが土壌となって生まれるものである、と考えています。
それが3週間後になるのか、3か月後になるのか、あるいは30年後になるのかは分かりませんが、いずれ「この作品はあの御殿場でのあの経験がきっかけになってるんだよなぁ」と実感するときが来るはずです。

御殿場で出会った人々の中にも、その土壌の1層を作ることができていれば幸いです。

photo by mayaさん

滞在最終日、ゲストハウスの鉢から茗荷の芽が出てきていた。↑
こちらは植えてから芽が出るまで2か月弱くらいだったらしい。

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