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菅原康太「穴があったら入りたい(6日目)」

私は普段はあまり話をするタイプの人間ではない。
言葉にするのが苦手なのと、話した後に「喋りすぎた…」という感覚になるのが苦手。
喋りすぎた時は「穴があったら入りたい」気持ちになる。

それが、ここ稲取滞在中はよく話をしていた気がする。
アートのこと。写真のこと。家族のこと。町のこと。etc…
稲取の人はおしゃべりだ。高齢の方が特にそうだが、とにかくよく話す。「あの人につかまると2時間は帰してもらえない」なんて噂も聞いたり。
だからもしかしたら私が話していたのではなくて、話をよく聞いていたから、その分相槌もたくさん打ったし、それで自分もたくさん話した気になっているだけなのかもしれない。
稲取の人たちは相手が入っている穴に向かってさらに話を続けているような勢いがある。


昨夜は地元の方に稲取の歴史について話を伺う。止まらないトークに、聞き手5人が圧倒される。


今朝は「おばあちゃんち」で地元お野菜を使った健康的な朝ごはんをいただいた。

写真の真ん中のお野菜は芋茎(ズイキ)。歯応えが心地よい。

「自分が子育てしている時には、赤ちゃんの顔なんて皆同じように見えたけど、孫を持ってみると赤ちゃんの顔も皆それぞれ個性があることに気がついたの」
ご飯をいただきながら、そんなとりとめのない普通の話をする。
普通がいい。

滞在の最後に何をしたいか考えた結果、足湯に浸かる事にした。


ここの足湯もお気に入りスポットのひとつ

この旅で出会った人たちの顔を思い浮かべる。
個性を持った人が集まる町って素敵だなと思う。
「わたし」と「あなた」の違うところを気づいて認められれば、それだけで素晴らしい社会になるはず。

それと、日常でも「旅」という意識を持ったら、
より出会いに感謝できるようになる気がした。


足湯に置いてあった置物たち

ホストであるso-anの荒武さんに駅まで送迎していただく。最後の最後まで感謝!
途中寄っていただいた弁当・惣菜屋「め組」


おかずを選んだら空いているスペースにご飯を詰めてもらうシステム

特急で帰る。途中駅で見かけた湯けむりを眺めながら、ふつふつと今後の事について考えを巡らせながらこのレポートを書いている。