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菅原康太「石を探して(5日目)」

家で待つ家族から「貝殻を拾ってきて欲しい」という連絡があったので、海へ向かったのだが…

稲取は基本こんな感じの海岸

海と聞いて思い浮かべるイメージは人それぞれ。

「石でも良い」とのことだったので、その昔、稲取から江戸城まで運んだという築城石のことが頭をよぎりつつ、海は諦めて、降りられそうな川を探すことにした。

海に注ぎ込む川
降りる階段を発見

川に降りる直前に町の人と話しをしたのだが、聞くところによると誰かが川に石油を流したせいで、異臭がする、とのこと。写真ではわかりにくいが、油が浮いているのと異臭とで、少しためらう。そもそもいい感じの石がなさそうな…

少し川を下り河口付近に差しかかると、海からの流れが見える。ということは流れた油もなかなか海までには行かないということか。川辺から見る海もなんだか新鮮。

河口のため、川の流れと海からの流れがぶつかっている


家族が期待するような石ではないなと思いつつも、変わった模様や形のものをいくつか見つけ、持ち帰る事にした。

昨日から宿泊している宿に帰り(*同じくso-anさん経営の鯖御納戸-sabionand-)、外の水道で石を洗った。稲取のほとんどのお家には外にタイル張りの洗い場がある。これがそれぞれタイルの色やデザインが少しづつ違って可愛らしい。

外の洗い場(写真は宿のではなく別のお宅のもの)
洗ったら、個性豊かなチーム感

自分が拾った石は手のひらに収まる小さなものだが、昔の人はお城に使う巨大な石を大勢で運んだのだから、そのスケールの違いに思いを馳せてみる。


乾くのを待ちながら宿の前のベンチでコーヒータイム


それにしてもこの町は本当にゆったりとした時間が流れている。そんな中に身を置いていると普段の生活で見落としていた色々な事に気づくことができる。


最後の夜なので、この町で見つけたお気に入りの場所に夕暮れを見に行く事にした。これも贅沢な時間。

夕暮れと月と灯台の灯り