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mics長谷川 滉が率いるチームどみにおんが、新しい防犯ブザー「Paskel(パスケル)」開発プロジェクトに参加!開発にかけた想いを聞いてみた

みなさんは、「防犯ブザー」を持っていますか? 愛知県警の調査(対象:名古屋市内で働く10歳代以上の女性359名)によると、「子どもが持つものだから」「大きすぎる」「デザインが悪い」といった理由で、約6割の女性が所持していないことがわかりました。同調査では、不審者の約9割が、防犯ブザーを鳴らされると逃げるというデータも出ています。

そんな中、大人の女性でも持ちやすい防犯ブザーを作るべく、愛知県警による「女性向け防犯ブザー研究・開発プロジェクト」が発足。愛知県警監修のもと、県内の企業が協力し、パスケース型防犯ブザー「Paskel(パスケル)」を開発しました。その企業の一つが、micsの代表社員・長谷川 滉が率いる「チームどみにおん」です。

今回は、チームどみにおんの長谷川 滉(ハセアキ)と高木 実咲に、パスケルの開発秘話や想いについて聞いてみました。

長谷川 滉 (ハセアキ)|プロフィール

1997年生まれ、愛知県出身。愛知工業大学在学中に、プロダクションチーム「チームどみにおん」を結成し、プロモーションビデオなどの映像を中心にグラフィックやウェブなどのデジタルコンテンツ事業を展開。名古屋のIT系学生コミュニティ「OthloTech」の活動に参加し、2017年より同コミュニティの代表を務める。2018年、『mics(ミックス)』の創業メンバー&ディレクターとして、ベンチャー・スタートアップ/第二創業を中心にデザイン/広報・PR/ブランディングなど、多角的にクリエイティブ領域でのサポートを行っている。

高木 実咲|プロフィール

1998年生まれ、愛知県出身。愛知工業大学名電高校在学中にハセアキと出会う。現在は名古屋学芸大学に在学中で、映像系を専攻。チームどみにおんでは、サウンドデザイナーとして楽曲制作や撮影アシスタントを担当している。中学校では吹奏楽部に所属していた。

愛知県警との繋がりから、プロジェクトに参加

—まず、パスケルを作るに至ったきっかけを教えてください。どこかから依頼があったのでしょうか?

ハセアキ:高校生の頃に所属していた「情報デザイン部」と愛知県警生活本部との繋がりから、お話をいただきました。今度新しいプロジェクトをやるから手伝ってほしいということで。

高下:高校生のときから、愛知県警との繋がりがあったのですね。

ハセアキ:そうですね。BO-KENあいち(※)というイベントが2015年に名古屋テレビ塔で開催されて、そのお手伝いをしたんです。そこでは、3D映像の制作に協力しました。

※BO-KENあいち…防犯の「防(ぼう)」、体験の「験(けん)」を組み合せた名称。平成27年にスタートした、子どもたちに楽しみながら防犯の体験学習をしてもらうためのプロジェクト。

—防犯ブザー開発のお話が来たのはいつ頃ですか?

ハセアキ:去年の秋頃です。防犯ブザー業界で高いシェアを持つ「ヤサカインダストリーズ」が、ちょうど愛知県にあって。どうせなら、愛知県の企業でやろうということで、弊社やアクセサリー企画会社「ミレーヌ」などが協力して、開発を進めることになりました。

—大きなプロジェクトに携わり、他者との関わりもあって、勉強になった部分もありましたか?
ハセアキ:そうですね。実際に実装する過程とか、デザインや制約、防犯ブザーの形などを考えながら商品開発していく流れを、間近で見られたのは勉強になりました。なかなか製造業を見ることがないので。

防犯ブザーの要である“音”を担当

—チームどみにおんは、どの部分を担当したのでしょうか?
ハセアキ:音の制作を担当しました。ブザー音の実験に参加したりして。

高木:防犯ブザーは、和音が出せないんですよ。普通の防犯ブザーは、「ピロピロピロ」といった感じで、“メロディー”がありません。今回のテーマは“女性が持ちたくなる防犯ブザー”なので、そこに配慮して、メロディーのある音・普通のブザー音・周りに反応してもらえる音の3種類を考えました。

—最終的には、通常の警報音「助けて音」と、警報音を鳴らすのをためらいがちな場所で助けを求める「困ってます音」の2種類が採用されたそうですね。

ハセアキ:会議でいろいろと議論をして、実験もしました。提案した3種類の音を、大学や街中で鳴らしたりして。そこで、遠くまで聞こえるような大きい音より、周りに伝わる音の方がいい。とりあえず音が出れば、人の目は集まるだろうということで、その2種類が採用されました。

高木:「困ってます音」は、満員電車など警報音を鳴らしにくい場所でも鳴らせるメロディー音です。あまり周囲に不快感を与えすぎないような音にしました。周りに反応してもらえるのなら、普通のブザーでもいいと思うんです。でも、“防犯ブザーを持つ”のが第一前提なので。

—防犯意識を高めつつ、襲ってくる人からも警戒されるような効果を、ということですね。

防犯ブザーを持つことへの障壁を下げて、重いイメージを払拭

—「パスケル」の名前には、どんな由来があるのでしょうか?
ハセアキ:パスケースの“パス”と“助ける”を掛けています。パスケースとしても使えるので、manacaや小銭も入れられます。そういった使い方もできるのは、防犯ブザーを持つ障壁を下げることにもつながりますよね。“いかにも防犯ブザー”ではなく、おしゃれなので。

—愛知県警のデータでも、持たない理由として「イメージ」「形状」「デザイン」が挙げられていましたね。
ハセアキ:そのデータを見たときに、所持率が上がるといいなと思いましたね。

高木:防犯ブザー単体だと、やはり持ちづらいですよね。パスケルなら、日常使いができるので。女性向けということもあり、私の友達などを呼んで、女性だけの会議も行われました。

—そこでは、どんなことが議論されたのでしょうか?
高木:パスケルを、どう宣伝したら女性に広まってくれるか。最近だと、インスタグラムが流行っているので、そこに広告を乗せるという案も出ました。女性だけでなく、男性にも知ってもらいたいので、大事な人を守るためにも、贈りものとしてもいいのではないかとか。親から子どもへ、カップルだと彼氏が彼女を守るためにとか。そんな意見が出ましたね。新学期シーズンのお祝いにもいいですよね。

—すでに発売されて、反響はいかがですか?
ハセアキ:最初に用意した4,000個が、完売しました。クラウドファンディングもやっているようで。ラジオには何回も出ていると聞きました。

高木:あと、テレビでも制作の様子が放映されました。その直後に、愛知県警に多くの問い合わせがあったようです。それから、Twitterでも話題になっていましたね。パスケルを取り上げた記事を見てくれた方が「これいいかも」とツイートしていて、それが何万RTと拡散されていて。そのように広まっていくのを見かけて、嬉しかったですね。

ハセアキ:形になって、本当に良かったなと思います。1年くらいやっていたので。

—最後に、パスケルを使って欲しいターゲットに向けて一言お願いします。

高木:パスケルを持つことで、周りにいい変化があればいいかなと思います。友達同士で、「それ持ってるんだ、私も使ってみようかな」と思えるような。防犯ブザーの重いイメージを変えられたらいいですね。私が作った音が最終的に鳴らないのが一番ですけど……。

あと、性別問わず、いろんな年齢層の方にも持ってもらえたら。先日聞いた話だと、統計で見ると、男性も被害に遭っているそうです。「防犯」で考えると、痴漢が頭に浮かびがちですが、ひったくりなどもありますよね。高齢者でも、畑仕事をしているときに、痴漢まがいや嫌がらせの被害に遭うこともあるそうです。

ハセアキ:防犯ブザーを鳴らすことで、不審者の9割が逃げていくそうです。それだけの効果があるのを、今回のプロジェクトを通して初めて知りました。そして、改めて「防犯」を考えるきっかけにもなりました。みなさんに、ぜひ持っていただけたらと思います。

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編集部コメント
パスケルが多くの注目を集め、最初に用意した分が完売したということは、“防犯ブザーを持つこと”への障壁が下がったことを意味するのではないでしょうか。「作った音が鳴らないのが一番いい」のは確かですが、多くの人がパスケルを持ち、防犯への意識を高めてほしいですね。

取材=高下 真美
文=吹原 紗矢佳
写真=杉下 康平

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