Mi Dembow / Ritusko Sakata

2019年8月、坂田律子はミックスCD『Mi Dembow』をBeer & Recordsよりリリース致します(Artwork : fukin/ Mastering : 大城真)。以下、本人よりのコメントです。

★レゲトンって何?

 今回のタイトル『Mi Dembow』は「私のデンボウ」という意味です。デンボウはレゲトンの中の一種とされるのですが、そもそもレゲトンとは何なのでしょうか?
 レゲトンはカリブ海北東のプエルトリコで生まれたようです。もともとでいえばジャマイカのダンスホール・クラシックス、Shabba Ranksの「Dem bow」(1990)という曲が大ヒットしました。


 1991年にプエルトリコで、この曲のラップを取り入れたスペイン語カバーが作られました。これがヒットして似たのが量産されて、90年代半ばにmusica negraっていうジャンルになった。2000年代にレゲトンに発展、カリブ海からスペイン語圏で大ヒット。2004年、プエルトリコルーツのアメリカのラッパー、N.O.R.E.が取り入れて、世界でブレイク、その後Daddy Yankee「Gasolina」(2005、最高)とかもあって、今に至るようです。
ちなみに最近のレゲトンはかなり叙情的になってるのも多くて、Luis Fonsi「Despacito」(2017)とかポップスとして世界的な大ヒットもあり。ですがGasolinaはわるい。こちら


 Dembow Dominicano、つまりドミニカ共和国のDembowは、レゲトンの発展形で、2000年代前半からあるみたいです。多分隣国のレゲトンと区別するために、自分たちでDembowって言い始めた感じじゃないかと推測。レゲトンのダンスホールっぽいとこと、ギャングスタっぽいとこがさらにギュッと詰まった、でもとってもキュートな音楽です。BPM120-135くらいの、尻からうごくキックをぶっ潰したトラックに、ラップなのか早口なのかってリリックを乗っけてくスタイルが元ですが、トラップやバイレファンキとの親和性も高くて、ラテンの人は貪欲、現在進行形でがんがん混じっていってます。プエルトリコにもDembowはあるんだけど、ドミニカの方がいなたくてストレートな感じ。今回のミックスはドミニカのDembowをフィーチャーしました。

 ちなみにドミニカ共和国は、海をはさんでジャマイカの隣です。レゲエと同様、シングルの文化で、アルバムは少ないです。

★私とレゲトンとの出会い

 2016年の夏のことです。
 私は東京で、pagtasという歌ものユニットをやっているのですが、そのライブで、名古屋と浜松に行きました。
 名古屋から浜松へドライブ、時間があまって、天気もいいし浜名湖に行ってみよう、ということになりました。
 あまり人影のない湖畔にぽつんと、リサイクルショップを見つけて、もちろん入ってみました。
 そこは日系の南米(おそらくペルー)の方がやっていて、どうやら出稼ぎの方御用達のようでした。国に帰る人が残した家財とともに、中南米のCDとCDRをたくさん発見、友人と発奮してたら、お店のおじさんに「持ってかないでネー万引きが多いから」と言われました。7~8枚分お金を払って帰りました。1枚100円。

 CDはほとんどミクスチャーとかだったんけど、1枚「La fiesta del ano vol.21」ってコロンビア版NOWみたいなコンピの中に、fulanitoという人の曲が四つ打ちでぶち上げてて最高!これがレゲトン?!って思って、帰京して急にレゲトンディグを開始。

 実際にfulanitoは、いろんなダンスミュージックをやるドミニカ共和国のグループで、コンピの曲しか好きじゃなかったし、TSUTAYAでレゲトンのコンピ借りまくったのはちょっと違った(いいのもあった)。

 んですが、YouTubeディグから、N-fasis「lento」、el alfa「suave」に出会って完全に心をわしづかみに、それがドミニカのレゲトン、Dembowらしいってことがわかってきました。

 だいたい尻がメインのPVだし、楽しい。とにかくむっちゃ楽しい。ダジャレっぽいしシンプルで、すぐ歌えちゃう。ちなみにYouTubeにあって再生回数100万とかでも、音源買えないのあったりする。CDのプレスはほぼないみたいです。データですら売ってないものも多く、インターネットで聴くことが主流。

 Dembow Dominicanoといえば、前述しましたが、とにかくEl Alfa El Jefe。


 1990年生まれ、2008年活動開始のころは、田舎のチンピラで、アー写は家のカーテンの前で撮ってた。2010年くらいから頭角をあらわし、2014年に遊び心な独特のトラックでぐっと人気出て、2015年アメリカツアー、2017年のシングル「suave」は南米で賞とって、2019年にはCaldi B、Diploとコラボ、国の一番のスターになってしまいました。彼のメッセージは「億万長者になれ」。実際、豪邸に住んで、ランボルギーニ買って、美女と結婚して子供ももうけて、恵まれない子供に寄付もしています。レーベルやマネージメントもやってて、フォロワーもいっぱいいます。

 わるい感じで成功して大金持ちで、仲間大事にして、いい車乗ってて音楽がかっこいい、モテるにきまってるよ! 今一番ライブ見たいけど、日本には来なそうな気がします。Dembow Dominicanoそのものも、全く日本では紹介されてません。ちなみに、ヒップホップみたいな勢力図がある模様。

 って一人で熱くなって、DJでかけまくってるけど、全然仲間が増えないので、mixをつくってみました。たのしいよ!たのしんで!!夏でも冬でも、がんがん踊って家事や散歩のBGMにしてくれてもうれしいです。最後に、みんなが幸せになっちゃうこの曲みて!


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