【片思い】

 昔良く言われたのは「君にはハングリー精神がない」。どうやら音楽家はハングリー精神がないとダメだ的な空気があったかもしれない。でもハングリー精神って何よ、4畳半一間でもやし食べながらいつかビッグになって故郷に錦を飾ってやるって夢見ることかしら(こんな話、イマドキの若人にはわかんないよねw)。実際、昭和の時代には苦節○年、みたいなのが流行った頃があったけど…。いや、違うと思うんだよね。作家のハングリー精神って書いても書いても書きたいものがある、じゃないかなぁと。書いても書いても満たされない何かというか。いや、ゲームが完成したり全曲マスター入れたときや「コレは!!」と思う1曲を書き終えた時などは、そりゃやりきった感もあるし、充足感半端ないし、何だったら脳味噌からヘンな汁がドバドバ出てるぐらい。

 でもね、なんかいつも片思いしている感じがするのよ。音楽の神様は追いかけても追いかけてもなかなか振り向いてくれない。やっと振り向いてくれたと思ったら、一瞬で見えなくなってしまう。だけどやっぱりまた振り向いてほしくてまた追いかけてしまう。そんな感覚。そしてね、音楽は裏切らない。なかなか振り向いてはくれないけど私を裏切ることはない。逆に音楽を軽んじたりすると手痛いしっぺ返しに遭う。それがわかってるからいつまでもいつまでも全力で追いかけてしまう。その追いかける気持ちが「ハングリー精神」じゃないのかなぁと私は思ってる。そう考えると私は貪欲極まりないと思うんだけど。何がなんでも絶対振り向かせてみせる!!!みたいな。そしてこのハングリーはきっと音楽を書く限り満たされることはない。一瞬満たされてもまた求め続けるんだ。一生片思いなのかなぁ。辛いなぁ。でも好きなんだなぁ(笑)

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