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「エデュコレ」という、多様な教育の博覧会を始めたワケと続けるワケ。

教育コーディネーターの武田緑です。教育や子どもに関わる人たちと、これからの教育のかたちを一緒に考え、創造していく活動をしています。その中の1つのプロジェクトとして、「エデュコレ〜多様な教育の博覧会〜」というイベントを主宰しています。ざっくり一言でいうと、ここに来れば国内の多様な教育・こどもの学び育ちを支える取り組みを一望することができる1Dayイベント。多種多様な、学校やフリースクールやNPOや企業のブースあり、体験ワークショップやトークセッションなどの企画があり。子どもたちが幸せに生き、学び育つことができる地域や社会をつくりたいと願い、様々な立場や考え方でそれに取り組んでいる人たちが一堂に集います。

これは前回開催した2017年のエデュコレの様子。こんな感じです。

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エデュコレを初めて開催したのは10年前の大阪。当時はまだ、多様な教育なんて言っても、誰もピンと来ない状況でした。

2009年に初めて開催したエデュコレ。それに先立って、当時の主催団体であったコアプラスは、フィールドスタディ という、国内の多様な教育の現場を訪れるスタディツアー(現EDUTRIP)を行なっていました。学校の先生や教員志望の学生などに呼びかけ、フリースクールやオルタナティブスクール、NPOがつくる地域での学び場などを訪問し、現場の空気を肌で感じた上で、教育や子どもの環境について対話するというプログラムで、学校や教育のアタリマエを問い直し、これからの教育を広い視野から考える場づくりという意味では、手前味噌ですが手応えのある取り組みでした。

ただ、フィールドスタディ には毎回MAX15人程度しか参加できないこと、さらに当時「かなりアンテナの高い人」しか来ないという状況があり、もっと多くの人、幅広い層の人に届ける必要があると考えたところから生まれたのがエデュコレでした。

「まず知る」ことによって考える機会を。

当時は、「オルタナティブ?聞いたことないわ」「フリースクール?え、怪しくない?」というような状況で、学校と外部のNPOや企業が連携するといった取り組みもほんの一部で始まったばかり。

当時私たちは教員志望の学生だったのですが、以下のような"学校のアタリマエ"に関する意識は、今よりもさらに強固であったと思います

●教室の前には黒板があって、教団に先生が立って教科書の内容を板書しながら、一斉的に教えているものだ。

●同じ年齢の子たちが机を前に向けて並んで座り、ノートを取りながら先生の話を聞いているものだ。

●同じ内容を同じペースで学び、学習の内容や方法については先生が決めるもので、子どもは決められたことをするものだ。

●テストがあって、部活があって、行事があるものだ。

●校則はあらかじめ決められていて、守らないとペナルティがあったり、怒られたりするものだ。

・・・・他にもいろいろあると思います。こういうふうに書いてしまうとかなり乱暴ではありますが、でも、学校・教室・授業と聞いて、多くの人の脳裏にイメージされる映像は、かなり似通ったものではないでしょうか?

こういう学校のアタリマエ、教育のアタリマエが、この先もこのまま維持温存されていっていいのだろうか?と言う疑問が当時私たちにはありました。特に、教員志望の学生が、「今の既存の学校・教育」を当然に受け入れ、適応し、「真面目に」次の世代にも同じ教育をしていくのだとしたら、それってどうなの?と言う気持ちが強かったと思います。

私たちももちろん正解を持っているわけじゃない。

でも、いろんな人がそれぞれの思いや考え方に基づいて、つくっている新しい学校や学びの場を知ることで、リフレクションが起こり、自分が教育や子どもに関わるうえでの「選択肢」が広がるんじゃないか

教育者の視野が広がり、選択肢が拡大することは、子どもたちが楽になったり、自由に学べることにきっとつながっていく。

そんな思いが、エデュコレを始めた当初にはありました。

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ですが、近年じわじわと多様な教育のかたちが可視化され、フリースクールの存在も広く認識され、オルタナティブ教育も注目を集めるようになってきました。2016年には教育機会確保法が成立し、学校外の学びの場を自治体や教育委員会も認め、支援していく方向性が打ち出されました。一方で、「子どもの貧困」の問題も認識され、教育格差の問題に取り組む民間団体も数を増しています。

このような流れの中で、1つ目のエデュコレの目的については、まだ不十分であるとはいえ、少しずつ実現してきています。また、その役割を担うようなイベントも他にも増えてきました。

では、エデュコレは役割を終えたのかと言うと、これからは従来に加えてさらに違う役割を担うべきなのではないかと考えています。

同じ思いの人がつながる機会、違う思いの人が関わる機会をつくる。

その一つは、普段いるコミュニティや立場・属性は異なるけれど、思いを共有できる教育関係者がつながる場としての役割、さらに価値観のズレがあり普段なら関わらない人や団体同士が関わる“異文化交流”の場としての機能です。

普段、学校の先生同士は研修の場などで関わる機会があります。またフリースクールはフリースクールの全国ネットワークがあったり、民間の教育事業者(NPOや企業など)は、互いに出会う機会があります。ですが、立場や形態が違えど、価値観や思いを共有できることはあります。(逆に立場や形態が同じでも価値観が異なることもありますよね。)

たとえば学校の先生とフリースクールは、その立場の違いによって従来繋がりづらさがありました。形態や立場だけでなく、価値観や場の文化の違いもあるので、無理もない部分があったと思いますが、本当は最終受益者である子どもたちを真ん中にして、連携や協働や役割分担ができればいいなと思います。
そのためにはもちろん、異文化を理解し合い、目的を共有するための対話や調整、そして相互に変容し合うことが必要かもしれません。それは簡単ではないですが、とても重要なことだと思います。ただ、これまではそもそも出会う機会自体がなかったのではないでしょうか。

エデュコレでは、幅広い教育・こどもサポート関係者が、立場や普段のコミュニティを越えて出会いつながるキッカケをつくりたい。また違和感を感じたり普段なら関わらないかもしれない人や組織同士が、「たまの機会に」情報交換したり、異文化を感じ合える場となることで、子どもたちをとりまく社会資源の分断・断絶を防ぐことに寄与したいとも思っています。

あらゆる子を射程に入れどんな学び育ちの環境を作るか社会みんなで未来を描く機会を。

近年、社会に格差が広がる中で、「多様な教育」の意味するところが複雑化しているのを感じています。

エデュコレが紹介してきたような、より自由度の高い、こども主体の、体験やホンモノから学ぶオルタナティブな教育のありようは、時代が変化する中でむしろ「今求められる力を育める教育」として、注目されるようになりました。

ともすれば、「多様な教育の選択肢」は、経済的に恵まれ、情報感度が高く、教育への関心が高い人々だけが享受できる特権になってしまいかねず、それには強い違和感を覚えます。

同時に、「不登校は不幸じゃない」と、もっと既存の学校以外の選択肢を選んでいいんだという発信も増えていますが、一言で不登校と言っても子どもたちの状況は多様です。ネグレクト家庭で育つ子どもたちなども不登校になりやすい傾向がありますが、この場合は学校に行けるように支援することが「こどもの最善の利益」である可能性もあります。

このような状況下で、教育や子どもに関わる人たちも、それぞれに目の前の子どものために一生懸命活動しているにも関わらず、その子どもたちの置かれている環境や「しんどさの中身」が異なるため、分断され、ともすれば対立してしまうこともあるように思います。

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例えば、子どもの貧困の問題や家庭のしんどい子たちのセーフティネットづくりに取り組んできた人たちの中には、「多様な教育の選択肢」と聞くと、不平等が拡大するとの危惧から強い反発を表明する人もいます。けれどその人たちには、学校に合わず、外に居場所を切実に求めている子どもや親の姿は見えていないことも多いように思うのです。逆も同様です。選択肢を求める人たちには、選択肢がない、あっても選べない子どもや家庭の姿は見えづらい。

話がややこしくなってきてしまいましたが、つまり、両者が学び合い、対話することなしには、あらゆる子を包摂できる学び育ちの環境づくりには取り組めないと、私は思っています。

エデュコレで、知らない教育に出会い、思いでつながる仲間を見つけ、異文化の人と対話してみてください。

エデュコレは、幅広い子ども・教育関係者が集うイベントです。各ブースで、各企画で、同時多発的に、いろんな出会いや対話や交流が起こります。

教育ってなんだろう?
学ぶってなんだろう?
自分はどんな社会につくりたいだろうか?
どんなふうに子どもや教育に関わりたいんだろう?

そんなことを、多様な教育に触れながら、どっぷり考えられる機会です。
多くの人にご参加いただければうれしいです。

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※以下、告知文。転送・転載歓迎です^^
  ↓ ↓ ↓

エデュコレ〜多様な教育の博覧会〜2019

今年は4地域(関西・関東・東海・九州)で、トータル150を超える学校・団体がブース出展。贅沢な特別企画も盛りだくさん♩
思いある教育関係者と、出会い、繋がり、元気になれる1日を。

 * * * *
 
「多様な教育に出会い、人とつながる」
  
教育関係者のための大規模イベント、エデュコレ。
一日を通して、さまざまな教育のカタチに出会うことができる「多様な教育の博覧会」が、2019年は関西・関東・東海・九州の4地域で開催決定!
日本全国の多様な教育に出会えるチャンス!
教育に携わる皆さんにとって、見逃せないイベントになっています。
参加申し込みも受付開始!
前売りチケットは、当日券よりもお得になっています^^
(地域ごとにお申し込みが必要となりますのでご注意ください) 

今後、随時詳細を更新していきます。お楽しみに!
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▼開催概要

<エデュコレ in 関東>
10/14(月・祝)11:00-17:00 @スクエア荏原 
(所在地:東京都品川区荏原4-5-28)
◇イベントページ:https://www.facebook.com/events/1018134458376921/
◇参加お申込ページ:https://educolle-kantou.peatix.com/
  
<エデュコレ in 関西> 
11/17(日)11:00-17:00 @KIITO
(所在地:兵庫県神戸市中央区小野浜町 1-4 デザイン・クリエイティブセンター神戸)
◇イベントページ:https://www.facebook.com/events/1210901589087285/
◇参加お申込ページ:https://educolle-kansai.peatix.com/
 
<エデュコレ in 東海> 
11/10(日)11:00-17:00 @名城大学ナゴヤドーム前キャンパス
(所在地:名古屋市東区矢田南 4-102-9)
◇イベントページ:https://www.facebook.com/events/324934548200440/
◇参加お申込ページ:https://educolle-tokai.peatix.com/
 
<エデュコレ in 九州>
12/8(日)@立命館アジア太平洋大学(APU)
(所在地:大分県別府市十文字原1-1)
◇イベントページ:https://www.facebook.com/events/1282090268621679/
◇参加お申込ページ:https://educolle-kyushu.peatix.com/
 
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*エデュコレの魅力はココ!
 
↓ ↓ ↓

★Point① 多種多様な出展ブース!
エデュコレのメインは、何と言っても多様なブース出展。
特色のある学校や、フリースクール・オルタナティブスクール、教育事業を行う企業やNPOなどが一堂に会し、直接お話を聞くことができます。
  
★Point② トークセッションやおしゃべり交流カフェなど充実の特別企画!
さまざまなフィールドで活躍する教育関係者をゲストにお呼びする、トークセッションやロールモデルトーク企画。
気になるあの人のお話が直接聞けるチャンス!
参加者同士でつながれる、おしゃべり交流カフェやブースツアーなどもお楽しみに!
  
★Point③ いろんな教育関係者と出会える・つながれる!
その日出会った人とブースを一緒に回れるブースツアー、あなたの関心に合わせてブースを紹介するブースコンシェルジュなど、ゲストの方々や、ブース出展者とだけでなく、参加者同士のコミュニケーションも生まれる仕掛けもご用意!

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*エデュコレ2019 -多様な教育の博覧会-
Webページ https://educolleinfo.wixsite.com/website/home
Facebookページ https://www.facebook.com/educolle
Twitter https://twitter.com/edu_colle #educolle

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