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その後のこと


僕は演劇をやってるんだけど。
稽古をして、本番を何度かやって、同じセリフとか大体の動きとかそういうことをもちろんやるんだけど、最後の回をきちんとやってお客さんに見てもらったら、大体それでやることは終わりなんですね。
自分が演じた役がその後どうなったかとかが結構気になって考えることが最近よくあります。どの人のことも、全然自分と違う人だったなぁとよく思います。

こういうことを考えたり、書いて人に見せることってとってもダサくて恥ずかしくて、感傷的でロマンチストで、やっぱりかっこよくないことなんだって思いもするのだけれども、なんとなく思い出として?妄想としてメモしてみよっかなーとか思います。
フィクションについてとてもよく考えることが多くて、最近は考え方の上で、現実との境とかがちょっとよく区別できなくなってきています。ことば一言、作品の向こう側とか、画面の向こう側、メールや何気ないSNSの投稿の向こう側に、人がいるっていうことを私たちは忘れすぎている感じがするんだー。

気になってるひと①
かるがも団地『意味なしサチコ、三度目の朝』橘さん
彼は死んじゃった女の子のために、その子が生活していた団地を守ろうとしてるひとの役でした。団地は結局壊されちゃいます。
作品の最後の方で、おそらく40代?とかその辺で橘さんは死んじゃうことになってるんです。早死に!!!!
劇の中で橘さんの団地を守るという目的が果たされることはなかったのだけれども、彼が大切にしている人のことは忘れずに済みそうでとっても良かったです。友達もたくさんできたっぽいな。
でもあの後彼がどうなったかは全然わからない!!能代の市役所を辞めて、団地の取り壊しに反対するってめちゃくちゃパッション発揮しちゃってるし、その後再就職どうしたんだろうか。ちゃんと生活できているだろうか。

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僕は、なんとなくですけど彼は能代を離れて地元で再就職したんじゃないかなぁと思っています。埼玉で。でもやっぱり公務員で。学校の先生とかになってるんだろうか。社会科。教員免許持ってるのかなぁ。一回社会人お休みして免許取ってそう。最終学歴帝京平成大学の通教になってそう。
時折本当に時折えらい年下の友人たちに誘われてお墓参りとかで能代に遊びに行くのだろうネ。サチコのことは生涯忘れられないだろーな。
サチコやゆきえのことは関係なく、橘さんは未婚のまま死んじゃったんだろうなぁとも思います。あいつは結婚できなさそう。公務員なのに。犬と暮らしているから大丈夫か。太っちゃって、犬と散歩がてらランニング始めるけど何回も挫けてダイエットやめてそう。人間ひとりでも幸せでいてほしいな。

気になっているひと②
ユトサトリ。『〆!』富井蒼真(トミー)
彼は柔道初心者で、まあまあ強い柔道部に入部しちゃった子です。多分クラスメイト?のブッチーに誘われて体験入部したんだろうなぁ。本編では親の過干渉に悩まされて柔道部にいれなくなりそうになったけど、強い先輩たち、理解できない人たちとの出会いで強くなりたいって思って、自分の意思で試合出ます!と言い切った新米戦士です。
お母さんには上手に柔道続けたいことを説明できただろうか。最後がんばって一人称俺になってたけど、お母さんびっくりしなかっただろうか。家に帰ったら急に自信無くなっていつも通り僕で喋ってるんじゃないだろうか…。
彼らの柔道部で、部員がひとりインフルエンザになってしまって、明日の試合に出るか出ないか話し合うというお話でした。
トミーたちサトリ東高柔道部は次の日どうなったんだろうなぁ。

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サトリ東高校は次の日試合に出れない、かあっさり負けちゃったんじゃないかなあと思います。隼人先輩やっぱインフルだからね!大人の判断とかにちゃんと屈してくれないといけない物語だよなぁと思います。勝ってくれ〜!って思っているけど。
トミーは悔しかっただろうなぁー!多分あの日お家に帰って、お母さんにちゃんと柔道続けたい!って言ったのだと思うし、思いの外あっさりそれを認めてくれたのではないだろーか。ただ過干渉がなくなることはなさそうだけど…!
いっぱい泣いて、悔しくて悔しくて強くなろうってトミーは思うのだろうな。
次の年は2年生の先輩いないから、ブッチーとトミーがふたりで強くなって部員を増やしてチームを組めるようにならなきゃいけないんだもんねー。
トミーが筋がいいっていうのは本当で、それなりに強くなって勝ったり負けたりちゃんと勝負ができる選手になってゆくと思います。次の年、一年生二人しか入らなくてフルメンバーで試合出れなさそうだな。三年時にようやくフルメンバー最強の布陣で最後の大会に挑むのでしょうな。ミツ先輩とモロ先輩はOBで稽古来てくれそうだな。モロ先輩はアイスの差し入れしてくれそう。アツいな。
トミーはちゃんとありがとうございましたが言える大人になっていると思う。なんとなく。あと高校2年で謎の成長期きてもっと体デカくなる気がする。あと進路選択で唐突に美大に行きたいって言い始めて周りを困惑させそう(?)結局一般大に行って欲しい。

気になってる人③
みさくぼ『碌な夜がいねえ』吉野アトムさん
アトムは嫁に逃げられて、まだ小さな娘と二人暮らしのシングルファザー。アパレルで働いていて、激務だし仕事辞めたいし、実家とは縁切ってるし、プライドが邪魔して誰にも頼れない、かなり追い詰められたひとでした。いなくなれないじゃん俺って台詞があって、びっくりしてました。
彼は娘をひとりお家に残して大学時代の友人江古田と夜の道を歩きます。江古田は超楽勝人生超お金持ち。
作品中で、彼の抱えてる問題は何にも解決しません。江古田のことを友人と認めることくらいしか、アトムにはできないのだ!
でも一晩でそれができるっていうのはすっごく大きなことな気がする。

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江古田は超絶お金持ちで、彼にとってアトムは唯一の友達だけど金銭的な援助はほとんど受けないんじゃないかなーと思う。江古田が気合い入れてキモい差し入れとか愛美子ちゃん(娘)に買いそうだけど。
アトムはなんだかんだギリギリのところで現状を維持し続けて、何度も限界!ってなりながらも生き延びて欲しいな。これは願望だけど!
救われて欲しいし、誰かに救ってあげたいと思われる人になって欲しい。ここ最近演じた人の中でいちばん、どうなったか気になっている人です。未だに心配してる。
奥さんは永遠に戻ってこないだろうし、愛美子ちゃんは大きくなっていって手があんまりかからなくなってくると思うけど……。江古田とはやっぱり頻繁に会うのは恥ずかしいだろうし、仕事も転職するリスクが怖くてできないだろうなぁ。今自分は大丈夫だ!と思える機会が増えて欲しい。愛美子ちゃんの成長がアトムにとっていちばんの幸せになっていくんじゃないかなあ。一生あの夜のことを、良かったと思いながらも愛美子に申し訳ないことをしたってアトムは思うだろうことよ。娘のおしゃれには敏感でいて欲しいアトムパパ。初めての参観日、服装悩みすぎて逆にカジュアルにしすぎて浮いてそうなアトム。愛美子は優しい子に育って欲しい。


とまぁこんな感じで。
他の作品で考えた人のこともたくさんあるのだけどね。
あの人今どうしてるかなーみたいに、現実の友達のことを考えたりするのだけど、僕が演じた人たちのこともずっと思い出していたいなぁ。
再演というのがもしあったら、また演じたい役たちです。
ここに挙げた3人の人たちは、多分100%でないにしろ僕にある程度当て書きしてもらった役たちです。それって、すごーく不思議な感じがするよ!
もっといろんな人に当て書きされてみたいなぁとも思います。
元々ある台本を演じたい気持ちももちろんあるし、そういう人のことも考えちゃうよね。
僕がそこにいる、いても良い劇を作ってる時はあんまり深く考えすぎないこともあるのだけど。また書きたくなったらメモします。
恥ずかしいね演劇って。

2023.4.27

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