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【岩手県一関市】「“なんもないとこ”で見つけた藤沢の豊かさ」

3月16日(土)の活動報告会をもって1年間の任期を終えた30期10名の隊員たち。
任期を終えたばかりの彼らが、緑のふるさと協力隊としての1年間を振り返って、今思うことを紹介していきます。
今回は、岩手県一関市藤沢地区で活動をした遠藤史佳さんです。



 滋賀県から遠く離れた岩手県一関市藤沢町にやってきて、一番言われたことのうちの一つが、「こんななんもないとこさ来て、かわいそうに」です。「そんなことないのに」と思いながらもうまく言い返せないまま、1年間が過ぎました。やっと藤沢のことがわかってきて、「なんもなくないぞ、藤沢!」と言い返せるようになったので、この場をお借りして言い返そうと思います。

 藤沢の持つ豊かさを大きく分けると、自然の豊かさ、食の豊かさ、人と人との関わりの豊かさ。「なんもない」なんてそんなことないのです。ないのは、交通手段と、大型商業施設と、多くの若い人達。それ以外のすべてがあるところでした。
今挙げた豊かさ全てについて書いていると制限字数に収まらなかったので、ここでは特に「人と人との関わり」について書いていきます。

 藤沢では、ご近所さんとの助け合いは当たり前、健全なコミュニケーションが普段からとれている、誰かに異常事態があればすぐにわかります。そのような地域のあり方がとれているのは、当然のことではありません。昔ながらの慣習が受け継がれていると一言で言ってしまえばそうですが、形を変えて助け合いや見守り合いの精神が残っているということはそこに住んでいる人の努力や行動あってこそ。
 例えば、わかりやすい取り組みの例でいうと、藤沢町西口8区という地域では、「8区だるまサロン」と称して地域の人達が定期的に集まっておしゃべりできる場を設けています。これは、高齢者を一人にしないための取り組みとして始めたそう。8区自治会以外にもあちこちの自治会や団体で取り組まれています。それから、藤沢町全域で「地域をつなぐふれあい一皿運動」として、単身高齢者の中で希望した方に手作りのお弁当を配る取り組みもされています。「食生活改善推進員」さんが月に1回、季節を感じられる食事を作り、希望者一軒一軒に配りに行きます。異変があれば市の保健士さんや適切な専門機関に連絡するという連携が取れています。食生活改善推進員さんは全国にいらっしゃいますが、一皿運動は藤沢町独自の取り組み。東日本大震災後、家に閉じこもっている高齢者を心配する声が上がり、見守り活動の一環として始まったということでした。これらのような取り組みがあることで、ご近所付き合いが豊かになる上、超高齢社会の今、安心してその町に住み続けられる理由の一つになり得ると思います。

 高齢者に対してだけではありません。遊ぶ場所が少ない代わりに、大人も子供も楽しめるイベントが豊富なのも藤沢の特徴。毎月「ふじさわ朝市」「曲田マルシェ」「こども食堂たてやまプラザ」といった恒例のイベントがあるほか、春には市民センター事業として登山や川下り、夏には町を挙げての夏祭り“藤沢野焼祭”のほか、さらに細かい地域ごとにも夏祭りや盆踊り大会があります。秋には収穫祭や産業文化祭、冬は郷土芸能発表会や市民劇など、休みの日に休む暇がないほどイベントが盛りだくさん。これらのイベントは、目的はそれぞれ違えどみんな「藤沢を盛り上げたい」という気持ちから始まったもの。大きな商業施設や娯楽施設がなくたって、この気持ちがある人達さえ集まってしまえば町は楽しくなるものなのだなと感じました。

 たくさんのイベントに参加し、一緒に作らせてもらいました。知らない人たちとなんだかんだと意見をぶつかり合わせ、より良い意見が生まれた瞬間。汗水垂らして作業をして、「お疲れさま!」と飲むスポーツドリンクの美味しさ。イベント参加者からの「楽しかった」の声ににんまり笑いあう瞬間。そんな瞬間瞬間を過ごすうちに、「知らない人」は「一緒に頑張った仲間」になり、そんな仲間は私が困ったとき、やりたいことがあるときに力を貸してくれる心強い存在になりました。

 これこそが、“豊かさ”なのだと思います。

 助け合い、見守り合いの文化があるのは、自分が助けてもらったから。見守ってもらったから。イベントが多いのは、「藤沢の“ここが面白い”をもっと伝えたいから」「代々伝えられてきた歴史を後世にも伝えていきたいから」。
そんな想いを持つ人が集まっているからこそ、藤沢は豊かで面白い。

 だから、私も。藤沢を、一関を、いわてを盛り上げたい。それこそが私のこれからの生きる道だと思い、緑のふるさと協力隊の任期終了後は、いわてを盛り上げるまちおこし法人に就職することにしました。

 藤沢で豊かな1年を過ごさせてもらった私がまちおこしに関わるからには、もう藤沢が「なんもないとこ」なんて言わせません!
1年間では伝えきれなかった藤沢の、一関の魅力を、これからも伝え続けていきます。

 藤沢の皆様、一関の皆様、いわての皆様、そしてこれからいわてに興味を持ってくださるすべての皆様。これからも、よろしくお願いいたします!

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