プレスリリースの添削というお仕事①

広報の現場で働くようになってから100近い「プレスリリースの添削」してきました。
多くの人が言っているように「伝わるリリースには型」があります。
その方法を間違えなければリリースは書けます。
ところが、それでも読みにくい、何が言いたいのかわからないリリースが世の中に溢れていると私は思うのです。

プレスリリースはかつては「プレス」つまり「マスメディア」に向けて書くものだったから、私に添削の依頼がある。と理解して、添削の仕事を引き受けたのがきっかけでした。
ところが、どうやら、そもそも相手がマスコミであるということの前に
誰かに「伝える」ということから案内をした方が良いかなぁ。と思うこともあるのです。

世の中には「文章術」に関する本がたくさん出されています。
プレスリリースを書く時にも大切な基礎はまずはこの本を1冊読めば叩き込まれるのではないかというものがあるので、まずはそれを紹介します。

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私はテレビの現場で20年働いてきました。
そのうちの半分以上テレビディレクターをしてきました。
テレビで使う言葉は声に出して読むこと、5秒ほどで読み終われる文字がベースです。
特にナレーション原稿は「聞く」ことを前提にしているので、1文を長くすると意味が伝わりません。
実はこれは文字メディアにも当てはまります。
(新聞や雑誌、小説なども気にして読んでみると1文は短く書かれています)
ところが、みんなどこかで「長くて難しい文章の方が良い」と勘違いしてせっせと長い文章を書きます。
長い文章は伝わりにくいです。
さらに、リリースを届けたいのがマスコミであるのならば気をつけた方が良いです。私の場合、徹底的に「1文を短くする」という教育を受けているので、内容よりも先にその文の長さとわかりにくさが気になってしまいます。
多分面白いことを書いているのかもしれませんが、伝わりません。

続いて、これは本当に残念なのですが「結論」から書くということが多くの場合徹底されていません。
多分「結論」がなんなのかが理解できていないんだろうなぁと思う時もあります。
なぜ結論を先に書く必要がるのかというと、現代人は情報の海の中を航海しているからです。
溢れかえる情報の中で、自分の好きなものを選ぶときに、大体、2秒以内で「面白い・価値がない」の判断していると私は思っています。
そもそもリリースの場合は一番伝えたい結論は「タイトル」にすべきだと私は思っています。

リリースは「社外の信用がおける人」の添削が必要だとから私に依頼があるのです。
広報歴が長く、きちんとした広報の教育を受けてきた人は別です。
ただ突然「リリースを書くことになった」という人は、多くの場合、書きながら「読む人の視点」に立つことができません。
リリースだから難しく長く書かなければならないと勘違いしている人もいます。社内だけで通じる言葉や文化や常識が、外の人に向けて説明されていないこともあります。
でも、その「リリースをわかりにくくしている原因」に気がつける人は社内にあまりいないのです。

個人的に依頼をもらうものから、所属している会社を通しての依頼まで、この1年弱で私が気がついたのは
動画の構成も、リリースの構成も「伝える」という視点で考えれば違いはないということです。
そして、最初に少しコツを掴めば誰だって「伝える力」は身につくと思うのです。
それを信じて今日も私はせっせと「こんなことを指摘して良いのだろうか?」「厳しすぎると思われないだろうか?」とドキドキしながらリリースを添削するのです。


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