ブラジルに行ったばかりのころ、私には友だちがいなかった。近所の子と遊ぶためのポルトガル語も、アメリカンスクールで勉強することになる英語もつたなかったからだ。
そんな私にまもなく特別な友だちができることになる。彼らはみんな架空のお友だちだったけど、6歳だった私は彼らのつくり出す世界にどんどん引き込まれていった。
それはDick and Jane、そして末っ子のSally。アメリカンスクールで渡された教科書の中に彼らは住んでいた。
驚天動地。
想像して欲しい。
1960年代
金の星
写真が1枚残っている。
American Schoolの成績表を手に立っている写真だ。持っている成績表には青、赤、銀、と並んだ星のシールの最後に金の星が貼られている。はじめてクラスで一番の成績をもらった時の記念に両親が写してくれたものだ。
6歳から9歳まで通っていたブラジルのEscola Americana de Santosには日本人はもちろんアジア人は私達姉妹以外いなかった。全員白人(主にアメリカとヨーロッパから駐在)の環境に放り込まれた私にとって、彼らが日常話すポル