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もう一人のおじいちゃん

私が20歳の時におばあちゃんは亡くなった

生前おばあちゃんから戦争の話は聞いた事がない

おじいちゃんからも聞いた事がない

戦争の話は家族でもした事がない

何故だろうと今ならば思うが

当時は全くなぜ?と思わなかった

でも、ある事実を知った時

それは、話さなかったのではない

話せなかったのだと・・・・・


おばあちゃんが再婚だった事

そして、最初の夫は、おじいちゃんのお兄さんだった事

おばあちゃんが、おじいちゃんをあまり好きでなかった事


全く知らなかった・・・・・・


この話を聞いたのは、おばあちゃんが亡くなってから何年も経ってから

戦争で出兵した前の夫が、私のもう一人のおじいちゃん

名前と軍服を着た写真が一枚あるだけ

一番知っているはずの、おばあちゃんが何も語らないという事は

余程のことなんだろうと思う


おばあちゃんと息子を残して戦争に行くのは凄く辛いことだっただろう

想像しか出来ない


私のもう一人のおじいちゃんは、南の島のどこかで戦死したと聞いた

私の父も、詳細は知らないらしいのだ

昔のことだから、兄が戦死したら、弟へ嫁ぐと田舎で決めたのだろう

おばあちゃんは相当嫌がったらしいと言う事も聞いた

私のもう一人のおじちゃん、生きて帰って来たかっただろうな

でも

【私の存在】が、【私の妹の存在】が、【私の息子】の存在が、

もう一人のおじいちゃんが存在したことの証なのだ


もう一人のおじいちゃんとおばあちゃんが子供を残してくれたから

【私】と【妹】と【息子】の存在がある

私たちは貴方のお陰で存在しているのです

本当に心から感謝してます

だから

おじいちゃんが、したくても出来なかったことをチャレンジするよ!

おじいちゃんが、出来なかった勉強をするよ!

おじいちゃんの分まで、頑張って生きるよ!

何があっても、決して諦めてたまるか!

どんな逆境になっても負けない!

だから、見守って下さい

そして、家族が、みんなが、もう一人のおじいちゃんを忘れない!

決して忘れないよ!

忘れない限り、もう一人のおじいちゃんは私達の中に存在する

何かの本か、映画でも観たことがるが

忘れ去られて時が『本当の死』であり

本当の別れなのだと

私は信じたい

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