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止まらないフライングパイレーツ

夏休みの定番と言えば海ですよね

私も海が大好き❗️

アオハルと書いて【青春】と呼んだ時代の話です

高校時代からアルバイトをして夏になると

伊豆七島へ行っていた

一番初めは神津島

一度伊豆七島の【海の綺麗さ】を知ってしまってからの当時の私は

湘南の海にも、千葉の海にも満足できなかった

【海が綺麗】なのだ

よく沖縄とかのブルーな海ではなくエメラルド色の海

今回の旅行は、その事を友達に伝えたくて

男4人で今回は式根島へと向かう予定だった

だった?

そう結論から言うと

式根島には決して到着することが出来ない【魔の旅行】となった

【魔の旅行】

ちょっとしたサスペンスかホラー的なタイトルなのだけど

私が二度としたくない旅行である・・・・・


それは、暑い夏が続く毎日で旅行を楽しみにしている私達

高校生ともあって若かった私達の目的はズバリ『ナンパ』

かっこ良く言うと新しい出会いを求めたのだ

『楽しみだなぁ〜』

旅行前から計画を綿密に練っていた

当時流行っていた曲をセレクトしてオリジナルのカセットテープを作り

ラジカセを持っていって

『この曲なら盛り上がるんじゃん!』と計画は完璧だった

天気予報を見てると一抹の不安があった

かなりの日本から離れたところで台風が発生する気配があったのだ

『大丈夫だよね?多分』

『ここまでのバッチリな計画立てたんだ!大丈夫でしょ!』

全く自分たち本位に考えていたが、そんな私達に、天は試練を与えた

旅行前日から雨が激しくなってきたのだ!

『大丈夫だよね?』から『行けるのかな?』へと言葉も変化していった

夕方出発なのだが、竹芝桟橋に集合しても乗船できない状態で待っていた

『18時集合だよね』

『今何時?』

『20時過ぎているよ』

『この雨と風で出航できるのかな?』

雨と言うよりは、ほぼ台風的な横殴りの雨に風が強く

外に出たら、一瞬でビショビショになってしまう位の雨だった

待つこと数時間、今思えばこれが魔のアナウンスだった

『大変お待たせ致しました』

『これより乗船を開始します』

『予定よりかなり時間は遅れていますが、乗船完了次第出航いたします』

『おお〜!』と待っている旅行客から歓声が上がった

私達は思った?『この雨で?風で?大丈夫なのか?』

私達は一番安い船室だった為、広いフリースペースに場所を取った

雑魚寝しながら朝目が覚めたら式根島に到着だ

東京湾内にいるはずなのだが、もう既に揺れていた

出航してからも、和達がいる船室は超過密状態

この時ほど個室船室が羨ましいと思ったことはない


しばらくすると、東京湾を出て外海へ出る

『揺れますので、外には出ないで下さい』アナウンスがあり

『今も揺れているのに、まだ揺れるのか?』

不安になったが、不安を超えた揺れの連続が終わらないことにビックリした

フライングパイレーツに何時間も乗っている感覚である

もともと苦手な乗り物なのに、リアルフライングパイレーツはキツすぎる

機械なら止めてと言えば止まるが、ここは自然の海だ

止まる訳がない

とても起きてられず横になるが、横になっても床が上がったり下がったり

気分が悪い・・・・・

トレイに行ってくる・・・

トイレのドアを開けるとそこには・・・・・・

・・・

ここでは、書くことが出来ない酷い状態だったのだ

トイレに行って船酔いが更にMAXを超えになったがなんとか踏ん張れた

みんなにはトレイに近づかないようにと、一言添えた

私達は耐えたのだ!この無限フライングパイレーツを!

この船に乗っている乗客全てが、苦難を乗り越えてやっと朝を迎えた

窓の外は嘘のような晴天

見えてきた島

『や・やった〜』と誰もが思った

その瞬間、私達を、いや乗客全てを奈落の底へ落とす【魔のアナウンス】

『え〜誠に申し訳ございませんが、海が大変荒れております』

『そんなのわかってるよ!』と心で叫ぶみんな

『この為、当船は式根島に接岸出来ません』

❓❓❓

『何を言っているんだ?』

『よって、これより東京へ引き返します』

乗客全員が一斉にまるで合唱のように

『え〜!』


誰もが文句を言ったがここは海の上、船長の判断が一番なのだ


引き返す船にもはや、私達も乗客達も反論する気力も体力もない・・・


その日の夕方に東京湾に戻ってきた時の

【夕日の綺麗さ】【クラゲの多さ】にビックリした


当然お金は戻ってきたのだが、それ以上に失った体力

これが、男4人の初めての伊豆七島の旅

綿密な計画も、ナンパ計画も、作ったカセットテープも全部ぶっ飛んだ

強烈な旅であった



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