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【青天の霹靂】と【真夏の果実】

海が綺麗に見えるホテルの部屋で私は目覚めた

そうだ!ここは海外のとある南の島

朝からこれでもかって言うほど、太陽が主張している晴天だ

『あ〜海外に来たんだな〜』

と私は感慨深く、窓から外を見ていた

隣のベットには彼女が寝ていた

昨日は夜遅くに到着したので、二人ともすぐに寝てしまった

国内旅行は何度か行ったことはあるが、今回は何と言っても初の海外旅行

お互い初めてなので、飛行機などドタバタだった

私は先にシャワーを浴びて目を覚まそうと思い

一人シャワーを浴びて、出ると彼女が電話をしている

両親か友達かな?と思っていたら・・・

『うん!大丈夫だよ!そういうことはしないから』

『安心して!』

『ん?そういうこと?安心? な・なんの話だ?』

部屋に戻ると、彼女は慌てて電話を切った

嫌な予感がする

『誰と話してたの?』


今思えば、ここはスルーしておけば良かったのかも知れない


『えっとね〜会社の後輩君』

『あっ前から話していた、あの彼ね』

『仕事で何かあったの?』

『仕事は大丈夫。後輩君が私を心配してるから』

『ふ〜ん、そうなの?』・・・?


『ちょっと待って!後輩君が心配って何かおかしくない?』


『仕事関係ないなら、今日は完全にプライベートじゃん』


長い髪を前に、顔を隠し、黙る彼女・・・・・

嫌な予感しか感じない・・・


『ごめん・・・実は後輩君のことが好きなの』


絶句する私・・・


『あなたが嫌いになった訳でなく、彼が好きなの!』

『職場でも毎日、彼と仕事してランチしてたまに夕食も』

『いつの間にか、彼のことが好きになったの!』

『彼も私のことを誰にも渡したくないって』

なんて、一方的な告白をするんだ・・・

『僕だって、渡したくない』と思ったが、言うことが出来なかった

彼女の心がそこにないのだ


私は完全にフリーズしていた❗️


もう、真っ白に燃え尽きた矢吹ジョーのように・・・そう真っ白に・・・


今回の初めての海外旅行をどれほど楽しみにしていたことか・・・

それが分かっていたからなのか、彼女も黙っていたのかも知れないのだが

『なぜ今言うんだよ』という気持ちが頭をよぎり

私は素直な気持ちを言葉にした


『言ってくれよ❗️』


『どうせなら日本にいる時に言ってくれ❗️』


『ここ海外だよ❗️』


『直ぐに帰れないよ❗️』


『電車も走っていないよ❗️』

ここで私はかなりパニックになっている

ここは伊豆や神奈川の海岸でもなく間違いなく【海外】なのだ

『まだ初日だよ❗️』


今度は、私が一方的に喋った


『ごめんなさい』・・・


『初日って!』


混乱する私を前に、うなだれる彼女・・・・・

せめてもしょうがないけれど

どうしよう・・・

これから・・・

初の海外旅行で初日の朝にフラれるとは

【青天の霹靂】ってこう言う事なのか?


冷静になるにつれて、この後のスケジュールが更に私を苦しめることになる

ツアー旅行だったので、全員での集合写真があった(当時)

周りはほとんどがカップルと新婚さん

その後にはオプショナルツアーでラブチェアーで空中散歩の予定だ

締めが、サンセットディナークルーズ

あ〜考えただけでも、地獄だ

こうして私の地獄の合宿ではなく、地獄の海外旅行が始まったのであった

2泊3日の初海外旅行、ビデオも、写ルンですも全部完備してきたのに・・

この気まずい雰囲気で2泊3日はお互いに辛いでしょ!

今まで、楽しい思い出もあるのに・・・

彼女の心も体も、もう、私の目の前にあるけど、あるはずなのにないのだ

フルなら、別れ話なら、日本で言ってくれ❗️


当時流行っていた曲が頭の中で無限リピートされる

サザンオールスターズ 『真夏の果実』

私の大・大好きな曲だ

今でも、夏に聴くと当時を思い出していつでも泣ける

涙があふれる 悲しい季節は
誰かに抱かれた夢をみる
泣きたい気持ちは言葉に出来ない
今夜も冷たい雨が降る
こらえきれなくて
ため息ばかり
今もこの胸に
夏は巡る
四六時中も好きと言って
夢の中へ連れて行って
忘れられない Heart&Soul 
声にならない
砂に書いた名前消して
波はどこへ帰るのか
通り過ぎゆく Love&Roll 
愛をそのままに

やはり、良い歌詞だ

今年も夏が来る、夏が来るたびに思い出す

夏の日の苦い思い出



帰国後、【酔い潰れる日々】と【荒れる私生活】と【涙】

しばらくの間、誰も私を止めることは出来なかった

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夏の思い出

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