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Waves EQの使い分け 2

BFでWavesのバンドルをアップグレードしたら、EQが増えてしまったので、使えるやつだけに絞り込もうとした今回の挑戦。それぞれ活躍の場があるようで、EQの奥深さを思い知った。

1:リズムを明るくしたい

API=太さは出ないが、中高域の抜けが良くなる。
puig=明るさのコントロールという点では、帯域が固定されており難しい。
scheps(neve)=シャリシャリ感は簡単に出せる。中域の太さは犠牲にならない。
V-EQ4(neve)=schepsほどシャリシャリにはならない。
SSL-EV2=色付けは少ない。filterをかけると、ゲインが上がる
SSL-G=色付けは少ないが、音の破綻も少なく、目的に到達。

音のイメージが先入観の危険性が高いため、恒例のブラインドテスト。
目的とする明るさにどのEQが一番到達したかで判断。
Aグループ 1:V-EQ 2:SSL-G 3:API
APIのシャリシャリ感があまり好きではない。
Bグループ 1:puig 2:SSL-EV2 3:scheps
ビンテージEQの音が好きなのだろうか。

SSL-G VS SSL-EV2対決
SSL Gの勝利。EV2の方は、飛び出ている音が圧縮される。コンプはかけていないが、コンプのような効果がある。アタックが犠牲になっている。

決勝

1:SSL-G 2:VEQ 3:PUIG
Aで比較した時とSSL、VEQの順序が入れ替わってしまった。この3つは、ほとんど差が分からなかった。

2:キックを太くしたい。ローを2db程度上げてみた。

API=変化がよく分からない。
puig=太さが出る。
scheps(neve)=変化がよく分からない。少しなまる?
V-EQ3(neve)=VEQ3の方が、太さが出るが、伸びちゃう感じ。
SSL-EV2=アタックが犠牲になっていない。使わなかったが、PANをイジれるのは便利。
SSL-G=音がボワボワする。なんでだろうか。

Aグループ 1:VEQ3 2:SSL-G 3:API
Bグループ 1:SSL-EV2 2:PUIG 3:scheps

V-EQ3 VS V-EQ4対決
V-EQ3の勝利。

決勝

1:V-EQ3 2:SSL-G 3:SSL-EV2
1と2の差はほとんど分からず、試すたびに入れ替わった。EQタイプを知った上での感想とブラインドテストでの音の印象が異なることも多く、GUIシーボが結構ある。
SSL-EV2は、MONOよりにできて便利だが、ブラインドテストでは音がなまって聴こえる謎。

3:シンセパッドを明るくしたい

API=少し軽くなって、高域の抜けが良くなる。
puig=明度があまり上がらない。
scheps=分かりやすく上がる。APIより、語尾が上がる感じ。
V-EQ3=schepsと似ている。
V-EQ4=V-EQ3を軽くしたような感じ。
SSL-EV2=音が落ち着く。
SSL-G=色付けは少ないが、適度に上がる。

Aグループ 1:PUIG 2:ORIGINAL 3:SSL-EV2
SSL-EV2の音がなまるのが気になって、素材も混ぜてブラインドテスト。
Bグループ 1:VEQ3 2:SSL-G 3:API
APIは、カラッとさせるのが得意なEQなのかもしれない。
Cグループ 1:Sheps 2:V-EQ4 3:PUIG
Shepsは包み込むような感じになる。VEQは好印象。PUIGは音が落ち着いて、これはこれで好き。ただ、かなり微妙な違い。
決勝

VEQ4、VEQ3、Sheps
差がほとんど分からない。どれでも別に良い。

4:サブベースのコントロール

Aグループ 1:Sublab 2:VEQ3 3:VEQ4
VEQ唯一の難点はサブベース。ローカットの微調整は効かない
Bグループ 1:PUIG 2:SSL-G 3:SSL-EV2
SSL-EV2の生かしどころがみつからない。サブベースはEQで整える場合、PUIGで20Hzをいじるといい感じ。

まとめ

今回触ってみた印象を、料理法で例えると
APIは揚げる。音をカラッとさせることが得意。
PUIGは炙り。低音の脂を減らしつつ、味を濃くできる。
Schepsは蒸す。持続音の雑味を落としつつ、包み込むような味わいに。
V-EQは煮る。素材の味を引き出す。今回のアナログEQの中で、万能ぶりを発揮。
SSLは電子レンジ。上記EQとデジタルEQの中間に位置している。味付けというよりは、破綻が少ない調整役。問題を感じるような素材の場合、力を発揮。

SSL- EV2は、あまり良い印象ではなかったが、あくまでEQセクションを少々触った上での判断。膨大なプリセットを試してみると、コンプ込みとなり、いい感じになるものが多い。最新のプロの調理法が手軽に入手できるアドバンテージは大きい。
あらためて気づいたのは、素材が良い場合、火を入れすぎない方が良い。この判断が一番難しい。「おいしい」イメージがないと、EQの迷宮に陥る。あとは、単独のトラックではなく、複数トラックが重なった上でのEQ。複雑な周波数を持っている電子音+エフェクトのトラックを処理する場合、どこを下げて、どこを上げるかなど、マニュアルもない。プリセットで当たりをつけて、微調整というのが近道。

↑今回の検証曲(サブベースなし、30秒以降がEQ使用)
コンプとEQは、そんなに持っててどうするの?と思うことが多かったが、理由の一端が見えた気がする。ただ、この沼は深すぎて怖い。


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