見出し画像

卑屈なオンライン授業奮闘記1〜最初の休校

部活終わりの息子をツムツムをしながら待つ車の中で、私の耳に安倍総理の休校要請のニュースが飛び込んできた。令和2年2月27日木曜日のことである。
最後までしっかりとツムツムをプレイしてから、スマホで関連ニュースを検索しまくった。どうも事実らしい。検索ワードに「青森県」を追加してみたが、特に有用な情報を得ることはできなかった。

すぐに上司に連絡を取ろうと思ったが、止めておいた。今から学校に戻ってこいと言われるのが嫌だったし、私が必要だったら上司の方から連絡してくるだろう。ただ、翌日は少しばかり早く出勤することにした。

2月28日金曜日、いつもより30分ほど早く到着した職員室は、いつもと同じ感じだった。教頭に何か指示はあるか尋ねたところ、あとで3人で打ち合わせをするとのことだった。
いつも通りに日程黒板を記入していたところ、校長が教頭と私を召集した。

「校長会が開かれてないから、まだ確定じゃないけど、月曜日から休校になるだろう」
校長が私たちに告げた。正式決定前だが、職員に1週間分の課題を用意させるように指示が出た。
あれほど意味嫌いっているプリント爆弾を、最初は私も子供達に課していた。仕方ないじゃん。下っ端公僕もん。

朝の会で子供たちに、おそらく休校になるだろうことを告げた。
ずっと準備してきた6年生を送る会が中止になったことを告げるのは、なかなか辛いものだった。
休校までに残された時間はたった6コマ。
私はその時間を、やり残していた理科の単元を終えることと、各教科の評価テストを消化することに費やした。かなりハードな日程だったけど、子供たちは文句一つ言わなかった。

幸にして、私の学級は早めに教科書を進めていた。なぜなら年度末に1週間のオーストラリア出張が予定されていたから。幻になったけどね。
やっと私にもチャンスが来たと思っていたから、どん底まで落ち込んだけど、その話はまた後ほど。

子供たちに評価テストをさせながら、せっせとプリント爆弾の準備。
これ、絶対めんどくさい。子供達にとっても、私にとっても、と思っていたら、ある考えが降ってきた。
「家庭の端末でFlipgrid使ったら、簡単に学校と家をつなげるんじゃね?」

すぐに、パソコンを開き、文書を起案した。まじですげえ速度だったと思う。印刷してすぐに職員室に行き、教頭と校長に説明する。
こんな時、うちの校長は本当に素晴らしい。
「おう、いいねえ」

うちの学級は普段からFlipgridを活用していた。
参観日でも毎回使っているから保護者もFlipgridを理解している。
それでも、家庭の端末を使うのだから強制はできない。
あくまでも任意ということで、私の学級だけ先行実施することになった。
Flipgridに投稿するのはたった3つ。その日の体温と体調、1日何をして過ごしたか。
毎日それだけを報告させることにした。
保護者のインターネット環境が、定額なのか制限付きなのか分かっていないので無理はできないからだ。

一律とか、全員ができるようになってとかいう、ク◯みたいな理由で潰されなくて本当によかった。
小さな学校でよかった。田舎の学校でよかった。

なんとか下校までに保護者向けの案内文書が間に合った。
運用開始は土日を挟んでも月曜日。

「月曜日、ネットで会いましょう」

そう告げて、子供達と別れた。


次のお話




サポートありがとうございます。サポートいただいた額と同額を自分で追加して、プログラミング教育の機器購入資金にします。