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初めての登山「魔女の瞳」と「一切経山」〜空海がお経を埋めた伝説の霊山へ〜

「一切経山(いっさいきょうさん、1949m)は、福島市と猪苗代町の境にあり、磐梯朝日国立公園の一角に位置する山です。
現在も活動を続けている活火山ですが、登山する人も多く、中級レベルくらいの山なのだそう。

わたしは先日この山に登りましたが、登山初体験のわたしでも無事に登りきることができました!

…と言っても、上りの岩場にゼーゼー、ハーハー(笑)
ですが、山頂まで登り切った者だけが見ることができる景色を見るためにがんばりました!

その景色とは……

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これです!

「魔女の瞳」という名の沼と、この風景✨

いつ、誰が「魔女の瞳」と名付けたのかはわかりませんが、引き込まれるようなブルーのグラデーションが美しい沼なのです。

日の出とともに登山口を目指して出発、朝7時前には登山を始め、9時前には到着していたので、朝一番の清々しい風景を見ることができました。

ちなみに、この直後に天気は急激に変化して、一瞬のうちに厚い霧?雲?が立ち込め魔女の瞳は消えてしまいました。

一切経山と空海の伝説

この瞳を見るために登らなくてはいけない山が一切経山と言うのですが、「一切経」とは、経・律・論の三蔵全部、七千余巻の総称だそう。

古くから伝わる説によると、空海が霊場にする場所を探しながら全国を行脚している途中、この山にも登ったとのこと。そして、この山に霊場を開こうとしましたが、山頂が狭く御堂や行場を建てられなかったそうです。そこで、一切経を埋めて帰ったというのです。

一切経という名前の由来については他にも様々な説がありますが、わたしは個人的にこの説を信じたい(笑)

一切経山山頂までの登山の方は、冒頭で書いたように持久力とバランス感覚のないわたしは、岩場の登り坂に息切れして大変。
通常は90分程度のコースだそうですが、わたしは+30分かかりました(^_^;)

そして、やっと辿り着いた山頂で、「空気大感謝塔」を見て、深呼吸。
本当に空気に大感謝です。

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「魔女の瞳」は神社の御神体だった!

この塔を通り過ぎると、次はご褒美のように「魔女の瞳」とのご対面!

魔女の瞳を目にした時には全ての疲労が吹き飛び、ただただ感動!「きゃ〜〜〜っ、キレイ!!!」と自然と叫び声を上げていました。

ちなみに、「魔女の瞳」とは通称で、正式な名前を「五色沼」と言います。
(裏磐梯の五色沼とはまた違います。)
この沼は、水の色が光の加減により色が5色に変わる姿がとても美しいところから、五色沼や魔女の瞳と呼ばれるようになったのでしょうね。推測ですが…。

この魔女の瞳(五色沼)は、江戸時代には「雷沼(かたちぬま)」と呼ばれていたそうです。
一切経山とその北にある家形山の2つの山を合わせて「東屋嶽神社」となっていたそうですが、雷沼は「東屋沼神社」であり、沼自体がその御神体だったそうです。
御神体となるのもわかるような、本当に神秘的な沼です。

霊山ハイキング、おすすめです

また、この辺りは一大信仰の聖地で、一切経山を中心として安達太良山、磐梯山などを結ぶ稜線の地域は吾妻山信仰の対象でもあったとのこと。

そのせいかこの山は、山頂からの風景を見ているとなんだか本当に神様の存在が感じられるような神聖な気持ちになれる山です。

わたしたち現代人の日常は、聖なる場所から切り離されてしまっています。神聖なものと向き合う時間は、日常生活の中でほとんどないのではないでしょうか。
まぁ、スピリチュアル系の人たちは休日には神社仏閣へお参りに行くと言う人もいるでしょうけど。

ですが、大自然の中、山の神や水の女神の存在を体感として感じる圧倒的な経験は、また格別なものがあります。

いや、神様だけではありません。
植物や、動物や、虫たちも…、ちゃんと見ると、みんなちゃんと生きているんですよね。
熊も、鴨も、小さな高山の花々も……。

もちろん、いきなり登山をしろと言うわけではありません。
ただ神社仏閣へ行くのと同じように時には大自然の中へ赴き、自然の中で感覚を研ぎ澄ましてみるのも大切だなぁ…と思ったのです。

すると、自然の中に坐す神々の気配や、ちゃんと生きている生命の気配が感じられるんじゃないかな……と。

そしたら、わたしたち人間は地球の一員として、もっと謙虚になれるような気がしたのです。

魔女の瞳と一切経山、わたしにとっては初めて登った大切な山、いろいろと考えさせられた山になりました。

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この日のために買ったトレッキングシューズ。
また近々活躍してもらおう♪

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参考文献:とよだ時(2016)『日本の霊山』ヤマケイ新書


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