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【野球好き必見!!!】台湾リーグに加盟!? 沖縄にプロ野球球団設立の実現可能性を考える際のポイント


 こんにちは。Mielka内でも屈指の野球好きであります、立命館大学経済学部国際経済学科3年の小林祐大と申します。
 日本プロ野球もクライマックスシリーズのファイナルシリーズも終わり、いよいよ最終決戦、日本シリーズですね!米国MLBでもワールドシリーズに入り、今年の野球は佳境に突入していますね!
 ドラフト会議も行われましたね!皆さんのお気に入りの球団の指名選手や、皆さんの注目していたドラフト候補はいかがでしたか?新人選手を実戦で見るのがとても楽しみです!
 
 さて、本題に入ります!
 先日実施された沖縄県知事選挙の際には、『佐喜真淳候補を援護してみた~支持すべき理由と当選後の沖縄の未来は?~』を執筆させていただきました。その際に佐喜真氏の政策を調べていると、大変興味深いものがありました。

プロ野球による沖縄の活性化で「野球王国おきなわ」を実現
県内各地で行われるプロ野球のキャンプを通じた地域の活性化や、台湾リーグ加盟、球団設立などの可能性を探ります。

という部分です。今回は、これを掘り下げ、沖縄にプロ野球球団を設立する際の障壁となる問題点を挙げたいと思います。私の意見を述べる場ではないので、実現可能性を考える際に参考にしていただきたいと思います。

目次
1, 球団経営上の問題
2, 賃金の違いによる問題
3, 外国人枠の問題
4, おわりに

1, 球団経営上の問題
 プロ野球球団が目指す先はもちろん優勝ですが、いくら成績が優秀でも収入がなければ球団の経営はできません。これを読んで、2004年から2011年まで4度の優勝、1度の日本一を含む8年連続Aクラスを達成した中日ドラゴンズが、観客動員数が少ないことを理由に落合博満監督を解任したことが頭に浮かんだ方もいらっしゃることでしょう。
 沖縄でプロ野球球団を設立したところで、安定した経営を維持できるほどの観客動員は見込めるのでしょうか。日本プロ野球、台湾プロ野球どちらに参入するとしても、レギュラーシーズンの公式戦のために沖縄へ飛行機で行かなければならないので、観客をほぼ全員沖縄県民で動員しなければなりません。それに、毎試合離島から観戦に来る観客もほぼ見込めないでしょう。一番人口が多い本島内で経営を安定させるだけの観客を動員することは難しいと考えられます。沖縄のサッカーチームとしてFC琉球が既に存在していますが、サッカーは基本的には試合は週1回のため、1試合あたりに集まる観客は多くなるため、その点野球よりも集客率は高いでしょう。野球の場合、公式戦が基本的に月曜日以外の週6日実施されるため、平日の試合の集客の苦労は必至です。
県内企業や沖縄県でビジネスを展開する企業が総動員でスポンサーになることが、経営維持の最低条件ではないでしょうか。
 また、球団経営を大きく左右する要素として、本拠地として使用する球場を球団が所有するかしないか、ということが挙げられます。球団が球場を所有すれば、球場の光熱費や維持費(減価償却費)は球団の支払いになりますが、球場内の飲食店の売上、球場広告の広告料の収入が球団の収入になります。球場を所有していなければ、それらは球場を所有する企業の収入になり、さらに球団は球場使用料を支払わなくてはなりません。
 近年では、各球団の経営も厳しく、球場を球団所有する流れになっています。2005年にダイエーを買収したソフトバンクは福岡ドームを買収しました。北海道日本ハムは球団所有でない札幌ドームからの移転を計画しており、現在は北広島市に球団所有の球場を建設する予定があります。沖縄にプロ野球球団を設立する場合でも、1つの球場を買収または自社建設(普天間基地跡に球場建設も佐喜真氏の構想の1つ)すれば恒常的な収入は球場を所有しないよりは増加することが考えられますが、離島が多いため、離島での試合を既存の12球団に比べ多く開催することが考えられます。離島球場で開催するたびに使用料を払わなければならなければならないことは、球団経営上1つの悩みの種になるかもしれません。

2, 賃金の違いによる問題
 台湾にて「Japaholic」として日本文化や日本観光などについての情報サイトを運営する日本のメディア「Excite」によると、2015年の台湾の平均年収は日本円にして約199万円です。平均年収に対して、一軍試合で出場可能なプロ野球選手の平均年収は、台湾最大手メディアである中央社の調査で、2012年では日本円にして約375万円です。また、台湾リーグで2年連続打率.400以上という脅威的な成績を残した王柏融でさえ年収約2,400万円(5年総額約1.2億円)であり、NPBの年俸とは大きな差があります。下の図は、台湾、日本、米国の全体の平均年収と、プロ野球選手の平均年収と、スター選手の年収例を比較した表です。

台湾、日本、米国の平均年収の比較

 台湾プロ野球(CPBL)所属選手の平均年収が人口全体の平均年収の約2倍、日本プロ野球(NPB)所属選手のそれが人口全体の平均年収の約9倍であり、プロ野球選手の、他の労働者と比較した場合の価値が大きく異なることがわかります。
 つまり、沖縄(日本)のプロ野球球団が台湾リーグに参戦した場合、沖縄の球団に所属する選手はNPBの選手に比べ年収がかなり低くなってしまうことが考えられます。しかし、シーズンオフを日本の実家過ごしたり、家族が日本に住んでいたりなどで、日本の物価の下、台湾プロ野球の年収でやり繰りする必要が発生する可能性があり、そうなれば同じプロ野球選手で、同程度の成績を残せてもNPBの選手と比較すると不公平が生じてしまいます。そのような状況の下、台湾リーグに参戦する沖縄の球団でプレーしたいと思う選手が増加することはそれほど考えられません。
 仮に沖縄の球団に沖縄をはじめ日本企業とスポンサー契約を締結したり、大企業の傘下に入ったりすれば、年収をNPB水準に近づけることはできるかもしれません。しかし、そうなれば台湾リーグの他球団の選手が沖縄の球団に移籍したがり、戦力格差が発生します。台湾リーグでは現在でもラミゴ・モンキーズの一強状態とも言えますが、新規参入球団が資金力を背景に戦力を蓄えることになれば、ファンの感情を考えると好ましくないことであるかもしれません。

3, 外国人枠の問題
 世界各国のスポーツのリーグには、外国人枠の規定があることが多いです。しかし、ある1つの国のリーグに外国から参戦している例も少なくありません。

 実際に、ある1つの国のリーグに外国から参戦している例を紹介します。
 MLB好きな方であれば思いついたかもしれませんが、米国MLBにカナダから大家友和や川崎宗則も所属したトロント・ブルージェイズがアメリカンリーグ東地区に参戦しています。また、野球ではありませんが、欧州サッカーであればモナコ公国のチームであるASモナコがフランスリーグに加盟しています。
 ブルージェイズとモナコの場合は、外国人枠の規定が存在しない、または他に比べ規定が緩く、外国人選手を所属させやすいという共通点があります。MLBでは、多民族国家であり、さらには野球王国であるため自国選手の育成を考えても規則を設定する必要がありません。モナコの場合は、モナコ公国自体はEUに加盟していないものの、所属先のリーグのフランスがEUに加盟しているため、EU加盟国籍所有者の就労はEU圏内で制限されない、としたEUの労働規約をプロサッカー選手に適用されることになったため、それほど外国人枠に縛られずに選手を獲得できます。余談になりますが、この規定により、オランダやベルギーといった、3大リーグ(イングランド・プレミアリーグ、スペイン・リーガ、ドイツ・ブンデスリーガ)に及ばない国に所属する選手が三大リーグやフランスリーグの強豪に引き抜かれ、リーグ間格差が拡大していることが議論になることも珍しくありません。
 本題に戻りますが、日本や台湾では、自国選手を育成し世界で通用する国を目指すため、外国人枠が存在します。日本であれば一軍登録可能であるのが4人まで(投手のみ4人、野手のみ4人は不可)、台湾であれば一軍登録可能であるのが3人まで、同時に出場できるのが2人までと、日本よりも厳しく設定されています。
 この問題を解消するために、例えば日本、台湾、韓国の選手であれば外国人枠とみなさない、といったサッカーでのEUのような協定を作ることも考えられます。近年は台湾代表も国際舞台で台頭しており、2013年のWBCでは日本をあと一歩のところまで追い詰めました。井端弘和選手が9回2アウトから同点タイムリーを打ったことに盛り上がった日本人の方も多いと思います。日台の野球のレベルに差はなくなりつつあると思う方もいるかもしれません。しかし、台湾代表はラミゴ・モンキーズの選手がほとんどであり、他の球団のことを考えれば日本のほうがリーグのレベルは格上であると言えるでしょう。そうした状況では外国人枠を撤廃することが難しいと思います。若干の緩和は可能でも、「沖縄の球団」として台湾リーグに参戦することの最大の障壁であるかもしれません。
 また、佐喜真氏が沖縄にプロ野球球団設立を政策にする理由の1つに、以下のデータがあります。

佐喜真淳公式YouTubeアカウント『沖縄ボイスアクション(沖縄VA) #沖縄がいちばん 』より
 沖縄県は、人口10万人あたりの占めるプロ野球選手輩出数が全国1位なのです。台湾リーグに参戦における外国人枠の議論の際には、このことも考慮されるのではないでしょうか。佐喜真氏がこのことをどうプロ野球球団設立に活用しようと考えていたのか気になりますね。

 
4, おわりに
 私なりに課題と感じることを挙げましたが、皆さんはこの他にどのようなことが課題であると感じますか?また、どのように実現させていくべきであると感じますか?今回は佐喜真淳氏が政策に掲げたことをきっかけに執筆してみましたが、沖縄に球団を設立し台湾リーグに加盟する構想は、翁長雄志県政時代から存在しています。今後も沖縄県からどのような具体的な構想が出されるのか、野球好きとしては期待したいところです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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