ポリテック1

政治に情報革命を! 政治×テクノロジー「ポリテック」徹底解説! -前編 -

はじめに

 近年、国会におけるタブレット端末使用の問題視やサイバーセキュリティ担当大臣がパソコンを使用したことがないと発言するなど、政治の場におけるテクノロジーへの感度の低さが話題に上がっています。
 手のひらに収まるほど小さな端末で誰でもインターネットにアクセスできる時代に、政治の場へはテクノロジーの導入が遅々として進まず、今も紙の書類を使う文化が根強く残っています。
そんな政治の状況を変えようと、日本を含め世界では政治とテクノロジーの融合を促す流れが活発になりつつあります。日本ではこの流れを、政治(politics)とテクノロジー(technology)を組み合わせた造語「ポリテック(politech)」と呼んでいます。
 この言葉は、2018年4月のニコニコ超会議で自民党・小泉進次郎議員が発言して知られるようになりました。小泉氏は電子機器の導入が遅々として進まない国会などの状況に対して「政治とテクノロジーが当たり前に語られる環境をつくれば、政治の世界での意思決定や執行におけるスピードを増し、コストも減る。納税者の負担をなくすことにもつながる。」と発言しました。
 最近話題の落合陽一氏による『日本進化論』によってこの用語をご存知の方もいるかもしれません。『日本進化論』では、社会課題解決に向けたポリテックの必要性が説かれており、超高齢化社会・子育て・教育等を例に、政治がテクノロジーの活用に追いついていない現状が提示されています。
さて、このポリテックですが、具体的にはどのようなサービスのことを指すのでしょうか。 日本では、主に以下の3種類が注目されています。

(1)社会課題解決や政策実現のための手段(行政手続きの自動化など)
(2)民間の政治参加を促すための手段(コミュニティ作りや政治家の広報など)
(3)主に民間による議会や政治の透明化・オープン化(データビジュアライズやマッピング)

 小泉氏や落合氏が取り上げていたのは、(1)「社会課題解決や政策実現を果たすための手段」を指すポリテック、つまり、主に政治家・行政からのアプローチです。一方で、今回は民間からのアプローチとして、(3)「議会や政治の透明化・オープン化」を取り上げていきます。


1.海外におけるポリテックの位置付けとその意義

 日本におけるポリテックは、2018年にその言葉が広まっていったことからも分かるようにまだまだ走り出しの現状にあります。

 それでは、海外ではどうなのでしょうか?
 実は海外において、ポリテックという言葉はメジャーなものではありません。英語で示すところの「シビックテック(CvicTech)」が近い概念として広く扱われています。「市民自らがテクノロジーを活用して行政サービスの問題や社会課題を解決する取り組み」を指し、海外諸国では政府による積極的な導入が後押しされています。
 シビックテックの領域の中でも特に、オープンガバメント(OpenGovernment)に関連するサービスが今回取り上げるポリテックと近しいものとなっています。オープンガバメントは政府の情報にアクセスし公的に監視する権利を市民が得る活動です。もちろん、政府によって情報が開かれるだけで市民が自動的にその情報を得て、理解できるわけではありません。省庁のHPなど、政府による公開情報をご覧になったことがあるでしょうか?
 情報公開の網羅性や正確さが求められるため、データベースは膨大で、データや資料の多くについて市民が利用するのは難しくなっています。
 政府によって開かれた情報を、いかにして市民のもとへ届けるのかという「議会や政治の透明化・オープン化」もオープンガバメントから少し踏み込んだ一連の動きに数えられており、これが日本においては「ポリテック」と呼称されています。
 これらのようなアクション、つまり情報が市民のもとに開かれていくアクションが起こっていくことは、市民が主体となる民主主義の実現に不可欠なものではないでしょうか。これがシビックテックやポリテックが注目されている背景です。

 さて、次の章からは世界におけるポリテックの先進事例を紹介していきます。

2. 海外のポリテック先進事例

上記サイトは、こちら

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 いかがだったでしょうか。後編では、引き続き事例紹介として、選挙や世論の可視化についてのサービスと、日本におけるポリテック実現に対する障壁について取り上げます。是非、後編もご覧下さい。


▶︎政治に情報革命を! 政治×テクノロジー「ポリテック」徹底解説! -後編 - はこちら



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参考文献  
・落合陽一(2019)『日本進化論』SB新書Global Open Data Index(2016)「Japan Ranked #16 against other places in the Index」<https://index.okfn.org/place/jp/>2019年6月20日閲覧
・野口祐子『オープン・データの課題と展望』経済産業省, <https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/it_yugo_forum_data_wg/pdf/003_02_01.pdf>2019年6月20日閲覧
・日刊スポーツ(2018)『小泉進次郎氏が「ポリテック」を自民党内で推進』日刊スポーツ<https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201804290000917.html>2019年6月20日閲覧
・Wietse Van Ransbeeck(2019)「What’s the difference between ”CivicTech” and “GovTech”?」citizenlab <https://www.citizenlab.co/blog/civic-tech/whats-difference-civic-tech-govtech/>2019年6月20日閲覧
・工藤博司(2019)『「先例がない」衆議院本会議場でのタブレット端末持ち込みに難色』livedoorNEWS<https://www.google.com/url?q=https://news.livedoor.com/article/detail/15954658/&sa=D&ust=1561488719957000&usg=AFQjCNG9IVHYpu4DIeECxFcz5hcL-WlW5A>2019年6月20日閲覧

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