見出し画像

【2019参院選】15争点で公約を比較してみた【若者政策編】

本記事では、JAPAN CHOICE 公約比較 サービスと連動して、15個の争点について、解説を行っていきます! 表だけでは伝わらない、争点の構造や争点をめぐる経緯について各争点1記事ずつにまとめました。15の争点、今回は【若者・ロスジェネ】についてです。

(ただし各政党の方向性は大まかには一致しており、細かい方針の違いの比較になります。)


1.大学等の授業料や奨学金に関する政策

 文部科学省の学校基本調査によれば、平成30年度の大学・短大進学率(過年度卒含む)は57.9%で過去最高となっています。その一方で、大学の高い授業料により、多くの学生が奨学金を借り、社会人になってから奨学金の返済に苦しんでいる現状があります。学生生活調査によると、およそ半分の大学生が奨学金を借り入れています。この奨学金にまつわる問題は、社会問題として繰り返しメディアでも取り上げられています。

 今回の参議院選挙ではこのことに関連して、すべての政党が大学等の授業料や奨学金に関する政策を公約として掲げています。争点(政党によって立場が異なる点)としては、次のことが挙げられます。


1.1所得の低い家庭の子供に限った支援か、一律の支援か

 例えば自民党は所得の低い家庭に限った支援を掲げていますが、立憲・国民・共産・維新・社民の「授業料の引き下げ」、「無償化」はすべての学生を対象にしていると考えられます。

1.2授業料の無償化を目指すか

 自民・公明は公約で大学の授業料無償化には触れていませんが、立憲・国民・共産・維新・社民は授業料の無償化を掲げています。

1.3奨学金制度改革

 それぞれの政党が奨学金負担を軽減するための多様なアイディアを掲げています。返還不要の奨学金を拡充したりするだけでなく、ある程度の所得に達するまでは奨学金を返済しなくて良い「所得連動型奨学金」など、現在の返済負担の軽減を図る政策も提案されています。



2.ロスジェネ・就職氷河期世代への政策

 「ロスジェネ世代」とは、バブル崩壊後の1990年代後半から2000年代前半の景気低迷期に新卒時期が重なり就職活動を行った世代を指します。このため、能力に応じた職を得られず、非正規雇用や転職の多い世代ともいわれています。彼らは日本企業の新卒一括採用・終身雇用・年功序列のために現在も不安定雇用を強いられている場合が少なくなく、このままでは、将来的に社会保障面で重大な問題につながりかねないと指摘されています。

 ほとんどの政党がこの世代への対策を挙げています。スキル面での支援や正規雇用の増加などを通じて、ロスジェネ世代が安定して生活できるような環境づくりを試みています。


3.若者と政治・行政を近づけるための政策

3.1被選挙権年齢の引き下げ

  現在、日本の被選挙権年齢(選挙に立候補できる年齢)は以下のようになっています。

画像1

   超党派の「若者政策推進議員連盟」が2018年末にまとめた提言で「被選挙権年齢 も供託金額も諸外国の水準に比べて高くなっている現状は、若者のチャレンジ意欲を削いでいる」と主張するなど、被選挙権年齢を引き下げる機運が高まっています。ただ、政党によって何歳まで引き下げるかについては幅が見られます。すべての政党が引き下げを検討しているほか、具体的な数値を挙げているものとして、立憲・国民・社民が一律5歳引き下げ、維新が選挙権と同様18歳に統一するとしています。


3.2若者が政治・行政に関わりやすくするための政策


 こちらも各政党が多様なアイディアを掲げていて、要チェックです。例えば次に挙げる制度が提案されています。
 政治家は当然ですが非常に忙しい職業です。選挙期間中も、全力を尽くして戦いますので到底他のことをする暇がありません。ですので、民間から立候補する人は基本的に仕事を辞めて選挙に出ます。しかしこれだと、もし落選してしまうと無職、明日からの生活に困る事態になるのです。結果、政治家になる気はあっても生活を考えて躊躇してしまい、なり手不足の一因になっているのではないかとも言われています。
 これを解消しようとするのが立候補休暇制度です。つまり民間から出馬するときに、育休や産休のように「立候補休暇」を取れるようにすることで、落選しても即座に仕事に復帰できるようになるのです。今回も、東京選挙区から出馬する1人の候補が、この制度を使っていることで話題となりました。企業にこれを義務付る法律を作り、より安心して政治に関わるようにする制度を構築しようと、今回立憲民主党や社民党が公約に掲げています。
 ほかにも、米国で行われている、政府高官のアシスタントを1年間経験できるホワイトハウスフェローというインターンシップ制度を日本にも導入しようとする提案(自民党)、コンビニでの投票の導入(日本維新の会)、若者担当の大臣や若者議会の開催(公明党)、主権者教育の活性化(立憲・国民・共産)など、様々な政策が各党から打ち出されています。


▶︎ シリーズ15の争点 他の記事はこちら


★この記事はJAPAN CHOICEと連動して各党の公約を分析したシリーズです。ぜひ他の記事・サービスもご利用ください。

画像2

★本サービスの開発・運用はクラウドファンディングで支えられています。下の画像より支援ページにとぶことができます。応援してくださると幸いです。

画像3

参考:
平成30年度学校基本調査について(報道発表)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1407849.htm
NHKクローズアップ現代2016年6月2日(木)放送 “奨学金破産”の衝撃 若者が… 家族が…
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3815/1.html
朝日新聞 ロスジェネ、置き去りの20年 いま再び注目される訳
https://www.asahi.com/articles/ASM4V7G56M4VULZU01G.html
総務省 選挙権と被選挙権
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo02.html#chart01
「若者政策推進議員連盟」提言 被選挙権年齢・供託金額引き下げ
http://youthpolicyparliamentarygroup.strikingly.com/blog/b7ec1dd90f6


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?