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[政党紹介2023] 日本維新の会ってどんな政党?

皆さんは日本維新の会がどのような政党か知っていますか?
野党第2党として国政の場において一定の影響力を持っており、最近は党代表の発言が話題になることも多くなっています。また、大阪の地域政党が源流になっているため、関西以外の地域にお住まいの皆さんにとってはあまり馴染みがない政党かもしれません。本記事ではそんな日本維新の会を取り上げます。


基本情報


日本維新の会の基本情報



 日本維新の会がここ数年注目されるきっかけになったのは日本維新の会の共同代表を務める吉村洋文大阪府知事の新型コロナウイルスに対する情報発信でした。その後の2021年第49回衆院選では41議席を獲得し、選挙前から30議席増やし躍進しました。また、2022年の第26回参院選では12議席と選挙前から倍増させ、統一地方選では全国の首長・地方議員合わせて774人が当選しました。現在、日本維新の会は野党第1党という次なる目標を次期衆院選に向けて掲げています。
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党の変遷

 昨年国政進出から10年を迎えた日本維新の会。昨今は各地の選挙で存在感を示していますが、10年間順調に党勢を拡大できたわけではありませんでした。他党との離合集散を繰り返し、何度も党名を変更しています。そんな複雑な党の変遷を簡潔にまとめました。

日本維新の会の年表(2010~2021) 参考文献[3].[4].[5].[6].[7]より筆者作成

 現在の日本維新の会の源流は、大阪府知事の橋下徹氏らが中心に大阪府・市の行政改革、とりわけ大阪都構想の実現を掲げ2010年に結党された地域政党・日本維新の会でした。2012年9月に国政に進出し、国政政党日本維新の会が結党されます。同年12月に行われた第46回衆院選では当時の民主党に次ぐ野党第2党に一気に躍り出ました。
 しかし、党の分裂を経て2014年に維新の党が結党、2015年に再度党が割れ、橋下氏らを中心におおさか維新の会が結党されました。翌2016年に日本維新の会に改名され、現在の日本維新の会につながります。
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政党の主義主張

結党の理念
『これまでの政治の延長線上に豊かな国民生活を実現することはできない』
失われた30年とも言われる日本の政治・経済の現実を直視して、我々日本維新の会がたどり着いた確固たる結論である。
従って、私たち日本国民にはこれまでの慣習を打ち破り、新しい政治の実現 によって日本の未来を豊かにする、新たな政治勢力が必要である。
私たちは、地方から国の形を変えることを目的に日本維新の会を設立した。
日本維新の会は、東京の本部を頂点とするピラミッド形の既存政党とは全く異なる組織形態をもち、既存の中央集権型政党とは本質的に異なる地方分権型政党である。地方の議員や首長がダイレクトに国の意思決定に参画し、役割分担しながら分権を進める。
日本維新の会は、「自立する個人、自立する地域、自立する国家」を理念に掲げ、我が国が抱える本質的な問題の解決に真正面から取り組み、具体的かつ現実的な提案と、建設的な議論によって、社会課題の解決と、国民生活を豊かにすることを結党の理念とする。

綱領・基本方針|日本維新の会について|日本維新の会 (o-ishin.jp)

また、日本維新の会は党の綱領で以下の5つを現代日本社会が抱える課題に挙げています。

1.人口減少・少子高齢化のインパクト
2.東京一極集中と地方の衰退
3.規制による産業競争力の衰退
4.国と地方の分担の曖昧さによる国会議論の遅滞
5.我が国の安全保障を取り巻く脅威

そのうえで基本的な政策方針として以下の8つを掲げています。

⑴ 統治機構改革
⑵ 地方分権と東京一極集中の是正
⑶ 既得権益と闘う成長戦略
⑷ 小さな行政機構
⑸ 受益と負担の公平
⑹ 現役世代の活性化と、一人も取り残さない社会の実現
⑺ 機会平等
⑻ 法の支配

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他の主要政党との関係性


<自民党との関係性>
地域政党日本維新の会結党の際は橋下徹氏に加え、自民党から離党した松井一郎氏らも参加したため自民党大阪府連とは激しく対立してきました。しかし、日本維新の会幹部であると同時に首長でもあった橋下氏や松井氏は大阪における政策実現のために政権幹部や与党幹部らとも関係を築きます。歩調を合わせる形で国政の日本維新の会も政権や自民党に対して是々非々の立場をとってきました。しかし、現在の岸田政権や自民党とは政策の違いなどから、対立姿勢が以前よりも鮮明になっています。

<公明党との関係性>
日本維新の会は公明党が候補者を擁立している兵庫県と大阪府の衆議院小選挙区には候補者を擁立してきませんでした。しかし、大阪都構想の住民投票が当面実施できないことや2022年に大阪府議会・市議会ともに日本維新の会が単独で過半数を占めたことから公明党との協力の必要がなくなり、次期衆院選には立候補者を擁立すると表明しました。そのため両党の関係は悪化しています。

<野党との関係性>
 野党第1党である立憲民主党とは次期衆院選で野党第1党の座を争う相手です。2022年には10増10減法案など政策ごとに国会で共闘する場面も見られましたが、総選挙を控え現在は対立する場面が多くなっています。また、共産党とは政治的スタンスの違いから多くの点で対立する一方、国民民主党とは外交・安全保障政策やエネルギー政策、憲法改正など政策面で近く、国会で協力する場面も見られます。

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特徴的な政策

<政治・国会改革>
日本維新の会は政策集である「維新八策」で政治改革・国会改革を第一に掲げています。記憶に新しいのは、日本維新の会の議員が文書交通費についてインターネット上である公表をしたことです。それは、2021年10月の衆院選で初当選した(10月1か月のうち1日しか在職していない)新人議員らに文書交通費が100万円満額支給されていたという内容でした。すぐさま大問題となり、翌年の通常国会で法改正され文書交通費の支給は日割に改められました。一方、使途公開は継続協議となり、日本維新の会は独自に文書交通費の使途を自主公開すると発表するなど各党で対応が別れました。

<憲法改正>
日本維新の会は憲法改正に積極的な姿勢を示しており、「教育の無償化」「統治機構改革」「憲法裁判所の設置」「憲法第 9条への自衛隊の規定」「緊急事態条項の創設」を掲げています。2023年3月には日本維新の会が国民民主党、衆議院の無所属議員でつくる会派「有志の会」とともに、議員任期の延長について憲法改正の条文案を発表しています。

<行財政改革・子育て政策>
 他の野党とは違い、日本維新の会は大阪府議会・市議会では与党、大阪府知事・大阪市長の両ポストを独占していたため、大阪において政策を実現させていきました。その実績を国政における自党のアピールにも活用しています。例えば、大阪府・市の行政の無駄削減や高校の無償化が挙げられます。
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支持層の特徴


参考文献[16]より引用

 日本維新の会は30代・40代・50代の現役世代を中心に支持を得ています。背景には近年の現役世代、とりわけ子育て世帯の負担増が考えられます。そんな中、日本維新の会が大阪府・市において行った行財政改革や子育て政策が国政での期待につながっていると考えられています。
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参考文献

[1]衆議院.”会派名及び会派別所属議員数”.衆議院.2023-11-10
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm(参照2023-11-21)
[2]参議院.”会派別所属議員数”.参議院.2023-10-3
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/204/giinsu.htm
(参照2023-11-21)
[3]日本経済新聞."「日本維新の会」発足 国会議員7人参加" 日本経済新聞
2012-9-29
https://www.nikkei.com/article/DGXDASFS28047_Y2A920C1PP8000/         
(参照2023-11-22)
[4]NHK"ねほりはほり聞いて! 政治の言葉" NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/kotoba/87718.html
(参照2023-11-19)
[5] NHK"衆院選2021開票速報” 衆議院選挙2021特設サイト
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/2021/
(参照2023-11-24)
[6]NHK”参院選2022開票速報” 参議院選挙2022特設サイト
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/
(参照2023-11-20)
[7]NHK"参院選2022開票速報”参議院選挙2022特設サイト
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230424/k10014047801000.html
(参照2023-11-20)
[8]読売新聞”維新、野党第1党へ本腰…次期衆院選は立民と選挙協力決別か「より多くの候補者出す」”読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230426-OYT1T50297/
(参照2023-11-19)
[9] 日本維新の会”日本維新の会綱領”日本維新の会2022-3-29
https://o-ishin.jp/about/outline/
(参照2023-11-18)
[10]NHK”維新 衆院選 公明の現職がいる大阪と兵庫の6選挙区に擁立へ”NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230625/k10014108781000.html
(参照2023-11-20)
[11]日本維新の会”政策提言維新八策2022”日本維新の会
https://o-ishin.jp/sangiin2022/ishinhassaku2022.pdf
(参照2023-11-21)
[12]日本維新の会”政策提言維新八策”日本維新の会
https://o-ishin.jp/about/seisakuteigen/
(参照2023-11-30)
[13]日本経済新聞”「文通費」日割り支給に 使途公開・国庫返納は協議継続”日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA160QW0W2A410C2000000/
(参照2023-11-20)
[14]日本経済新聞”維新、文通費の使途を自主公開 22年1月から”日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21BAG0R21C21A2000000/
(参照2023-11-20)
[15]日本経済新聞”緊急時の議員任期「半年ごと延長」 維新など憲法条文案”日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA3037K0Q3A330C2000000/
(参照2023-11-20)
[16]内藤 貴浩、石井 良周”なぜ若者は自民党に投票するのか?”NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/72512.html
(参照2023-11-25)
[17]仲 秀和、青木 新、鹿野 耕平
”“水と油”は混じり合うのか?立民・維新 連携の行方”NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/91095.html
(参照2023-11-18)



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