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京都市長選挙2020投票分析〜みんなは誰に投票したの?〜

 2020年2月2日に投開票された京都市長選挙は、

門川大作氏(現職、公明党本部と自民・立憲・国民・社民の各府連推薦)
村山祥栄氏(前京都党代表・前京都市会議員)
福山和人氏(弁護士、共産党・れいわ新選組推薦)

の3名が立候補し、門川大作氏が4期目の当選を果たしました。
 投票は大激戦となり、京都市長選は盛り上がりを見せました。今回の記事では、各候補の得票率や選挙全体の投票率をグラフなどを用いて考察していきます。

 まずは各候補の得票率を見てみましょう。

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 門川氏が半数近くの45%を占めており、3期12年の門川市政を評価する市民が一定数いることがわかる一方、投票した有権者の半分以上が福山氏、村山氏に投票しており、現職への不満や、門川市政の長期化への懸念を示す候補者が2候補に分散したという見方もできます。

 次に、選挙全体の投票率をみていきましょう。

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  グラフから見てもわかるように、今回の京都市長選の投票率は40.71%と、21世紀最高の投票率となり、2000年以降低迷していた投票率は20年ぶりに上昇しました。また、男女比の投票率はほぼ同じで、年代別投票率は公表されていませんでした。
 投票率が向上した点とした背景としては、観光公害など市民生活に直接影響する争点があったことや、期日前投票や不在者投票が前回と比べ35%増えたことなどが挙げられます。
 しかし、有権者の半数以上が投票に行っていないことを考えると、投票の率と質を向上させることに取り組んでいる我々も、さらに投票率の向上に取り組んでいかなければいけないと感じました。

 次に、NHK、京都新聞の出口調査のデータから各候補者の支持層を考察していきます。
 まずは支持政党別の投票先を見ていきましょう。

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 4選を決めた門川氏は、自民党、公明党の支持層を固めましたが、推薦を受けた立憲民主党、国民民主党の支持者に関しては、村山氏や福山氏にも票が流れ、それほど支持を伸ばしきれなかったようです。
 福山氏は、共産党、れいわ新選組の支持者のほとんどを支持層に固め、立憲民主党、国民民主党の支持者の票も一定数獲得しています。
 村山氏は、「政党のしがらみを断つ」ことを訴え、唯一どの政党からの推薦も受けなかったこともあり、無党派層や門川氏を推薦した自民党、立憲民主党、国民民主党の有権者からも一定の支持を受けましたが、全体的な票数では門川氏に及びませんでした。

 今回の選挙で、立憲民主党、国民民主党は「京都独特の政治事情」と言われている「共産対非共産」という構図から、国政で対立している自民党、公明党と共に長年続いている「与野党相乗り」という形で門川氏を推薦しました。しかし、国政において野党共闘を訴えているにも関わらず与党候補に相乗りすることに対して違和感を感じる有権者も少なくなく、また国政政党の推薦を判断基準としない有権者は福山氏、村山氏へ投票したのではないでしょうか。

 次に、年代別の投票先を見てみましょう。

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 やはり4選を決めた門川氏が、全年代を通して安定的に表を獲得しているのがわかります。その中で30代、40代といった子育て世代は、福山氏、村山氏への投票率が相対的に高かったようです。子育て支援など、福祉の充実を強く訴えた福山氏と、財政状況の悪化を訴え、財政再建を強く訴えた最年少の村山氏の主張が30代、40代に響いたのではないかと思われます。
 
  最後に、無党派の投票先を考察していきます。


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 出口調査による支持政党無しと答えた有権者の投票先は、福山氏は38%、村山氏が30%、門川氏が26%となっています。無党派層は比較的若い世代に多く、若年層の支持を集めた福山氏、村山氏の得票率が高くなっているのではないかと思われます。

 今回の京都市長選は大激戦の末、門川大作氏が勝利しました。しかし、選挙は「終わり」ではなく「始まり」です。この先4年間の門川氏の市政運営がどうなっていくのかを注視するのが私たち有権者の使命でもあるということを忘れてはいけません。

参考資料
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/151168
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/147755
http://www2.city.kyoto.lg.jp/senkyo/02_sityo/tositri01.html
http://www2.city.kyoto.lg.jp/senkyo/02_sityo/kasikri01.html
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200202/2000024922.html

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