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仕事を続ける

 2021年9月中旬にALSの確定診断を受けた。様々な検査データから導かれた結果なので、事実として受け入れているつもりなのだが、自分ごととして捉えきれない感覚だった。吉藤Ory先生の念願であった「分身ロボットカフェ」が6月にオープンしており、遠隔で働くALSの方々を知っていることもあって、仕事を続けるのか?辞めるのか?ということについては、頭によぎらなかった。最初に思ったのは、デジタルテクノロジーの力をの借りて、仕事を続けようという思いだった。幸い周りには、インターフェースの研究開発をしている大学の先生たちが、ずらっといるではないか!と。


 ということで確定診断が出て、最初に連絡をとったのは、Ory先生だった。いずれオリヒメを使うだろうし、視線入力にもお世話になるだろうというわけだ。しかし、それは今から思えば、時期尚早だった。この2年間のコロナウィルスによる世界的なパンデミックにより、気軽にリモートで仕事ができる環境が、デジタルハリウッド社内に出来てしまっていたからだ。
 仕事の大半は、SlackとZOOMで出来てしまう。Slackでの仕事はスマホでも十分。テキストは音声入力で大丈夫。右手が使えなくても、そこまで困らない。講演や講義もウェビナーやZOOM。肉声が使えるうちは問題ない。スピードという観点からは、相当遅くなってしまったけれど、普通に仕事ができる。ありがたい。


 突きつけられた現実は、24時間普通に生活を送ることの困難さだった。衣食住に関わることのすべてに、難問が発生する。体力も精神力も消耗するし、身の危険と隣合わせのことも多々ある。今や仕事をやっている時がリラックスタイムだ。ALSの病状は確実に進行しているので、近々、新たなインターフェースを利用する時期が来るはずだが、今は皆さんと同じセットアップで仕事が出来ている。

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