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繋がっているから



嫌いだった。

どうしても分かり合えないと思った

吐かれた言葉に傷ついたりもした


そんな風に思っていた人


私が大人になって


あなたは年老いて


お互い助け合えるようになれた頃



直感……とも違う

第六感ともいえる繋がりを感じる出来事があった



暗闇の中に落とされ、これからどうやって生きていったらいいのか……


そんな思いを抱えていた時、電話が鳴った


「大丈夫か?」電話の向こうで声がした



「どうしたん?」と私


私がとても困っている夢を見たのだと言う


「大丈夫よ」嘘つきな私

『あのね、辛いことたくさんあったんだ』

そう本当は言いたかったけど言えなかった。


そして、

この世に産み落とされるまで、私とあなたは繋がっていたことを深く感じるようになった



風の強い昼下がり


階下で誰かが入ってくる気配がした


襖を開けて見下ろす私



気のせい……?




緊急の連絡が入り、また病院へ戻ると意識のないあなたがベッドに横たわっていた


ちょうど昼頃から昏睡状態だと聞かされる



虫の息


その顔を見つめていくうちに


黒い思い出は白く塗りつぶされていった



ありがとう



ありがとう



何度も



何度も


呼びかけた



大きく息を吸ったあなたは最期に頷いたように見えた



お母さん、ありがと。








実冬の文章や朗読がいいなって思っていただけたら嬉しいです。 お気持ちは、自分へのご褒美に使わせていただきます😊