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『うる星やつら』の夢をいまだに見る話

 『うる星やつら』の夢を見ました。

 私は友引高校の生徒のひとりで、ラムちゃんやあたる、面堂たちとワイワイ学園生活を楽しんでいます。

 そんななかで私は、「皆でアニメを作らないか?」と持ち掛けました。あたるは「俺はめんどくせえな」なんてもちろん言うし、ラムちゃんは興味深々で、メガネや面堂たちは「ラムさんを描くのならば、もちろん協力しよう!」と乗り気になってくれていました。

 一生懸命私がプロットを作り、その途中まで、夢のなかでは完成しました。本当に何気ない、何気ない友引高校の日常を描いただけの作品です。そのなかに、ルピカのような強い存在ともまた違いますが、ぽつんと特異点のように知らない女子学生が混ざって、少しドタバタが始まる、ような。

 映像制作であれば「誰がメガホンをとってどの配役を!」とモメそうですが(笑)(多分メガネだ)、アニメなので、皆で不慣れだけど描いていこうね、「がんばろー!(CV.ラム)」なんて和気あいあいとしていました。

 教室の隣がなぜかうちの祖父の家の八畳間になっていて、そこで私が作業しているのは、なんとも夢らしい(笑)。

 プロットとシナリオが完成するまで、皆特にやることもないのでいつものように遊んでいて、その喧噪を聞いているのがすごく心地よくて、私は机いっぱいに紙を広げてはあーでもない、こーでもないとやっていました。

 面堂は進捗が気になるらしく、よく作業場に来ては話しかけてきました。

「思うんだが、シーンがあまりにも日常過ぎないか。アニメなんだからもっとこう、壮大で雄大な世界でラムさんが――」

「絵も描けるかわからないメンツでアニメを作るだけでも大変なんだから、とりあえずは穏やかなシナリオでいいんだよ」

 なんて誤魔化しでした。私はそのままの皆が好きだから日常が描きたかっただけだし、夢の中で私は、「自分自身が友引高校の一員ではない」と気付いていたからです。作品のなかに出す特異点は私でした。私はここの人間ではない。

 それはすごく切ないことで、誰かに言ったらこの夢は覚めてしまうという不安がありました。でも、このまま嘘の自分を貫くのがとてもつらかった。でも、大好きな皆と一緒にいたい。

 耐えきれなくなってきた私は、面堂にだけは、と思い、声をかけます。

「あのね、面堂。じつは私ね……」

 そのたびに、ラムちゃんが遊びにきたり、ランちゃんとレイさんが乱入してきたりと、なかなか二人きりで話す機会を得られません。それもまた、『うる星』らしいなーなんて思います。

 結局、

「あのね、面堂、じつは――」

 と、もう一度言ったところで、夢が覚めました。私はどこかに自分を取り残してしまったような、皆を置いてきてしまったような不思議な気持ちで今もいます。

 ごめんね、騙すつもりはなかったけれど、結果的に自分のなかでそんな罪悪感を抱えている。

 本当に『うる星やつら』は大好きな作品で、私の青春でもあります。物心ついた時からラムちゃんはそばにいたし、私に大きな影響を与えました。

 昔、ラムちゃんのコスプレをしてコミケに遊びに行ったとき、コミケスタッフの方がメガホンで「ラムさーーーん! 好きだ―!!」と言ってくれたのをよく思い出します。本当に素敵な思い出で、今でもうれしく思っています。

 願わくば、また夢の世界に戻りたい。毎日でいいから、あの夢の続きに存在したいし、覚めないで。