【超初級】オンセや配信でマイク品質を簡単に上げたいよなァ?!?!?!?!?!?!?!

 マイクと口の距離を近づけてください!!!

 結論は以上となります。結論だけ知りたかった方はもう記事を読まなくていいです。以降では「マイクの位置」についてつらつらと語っていこうと思います。

 「マイク品質を良くしたい!」と考えた時に、普通であれば「高いマイク」を使うという発想が先に来ると思います。私自身、SM7Bという評判のいいマイクを使っていますし、このマイクの音質には十分満足しています。
 しかし、ただ高いマイクにしただけで、その使い方に気を遣っていないならば、あまり効果をあまり実感できないかもしれません。いいピアノ持っていても技術がなければいい演奏はできないみたいな感じです。
 なので、この記事では基本中の基本の話をします。基本中の基本の話なので「なにを当たり前のことを言ってるんだ」と思われる方もいるかもしれませんが、私の周りの人間でこのことを知らない人間もそこそこいるっぽっかったので、一応解説しておこうって感じです。


1. 悪い音とはなにか?

 皆さんは通話している時などに「声が遠い」と言われたり、自分の周りの物音について言及されたりしたことはありませんか? 私の考える音が悪いとはこうした「声が遠かったりぼやけて聞こえる」、「声以外の雑音が入っている」など、つまり、「純粋に自分の声を相手に届けられていない」状態だと思っています。
 では、こう言った負の要素はどこから生まれてくるのでしょうか。

2. 声が遠い

 原因として考えられるのは「反響」と「声の劣化」でしょうか。

⚫︎反響音

 マイクは賢く人の声だけを判別して収音しているわけでなく、大雑把にその場の音を拾っているため声以外の音も収音してしまうのですが、その中に反響音があります。
 反響音というのは自分の声が部屋の壁などにぶつかって返ってきた音を指します。有名な例だとトンネルの中だとやたら音が響くなと感じると思うのですが、その「響く」感じが反響音です。
 こうした反響音がマイクに乗ると声がぼやけて聞こえる、声がくっきりした状態にならないのです。

⚫︎声の劣化

 また、音というのは距離を経ることで情報量が削れていって音の質が変わり、声もまた例外ではありません。情報量が削られた音はスカスカしていたり、場合によっては抜けが悪くなっていたりして、声の「生々しさ」のようなものが失われてしまいます。これも音質の劣化と言っていいでしょう(場合にもよりますが、こと通話に関しては)。

3. 雑音が入っている

 理想的なのは相手に届いている音が「自分の声のみ」の状態なのですが、前述した通りマイクは大雑把に色々な音を拾っており、それは反響音をはじめ、クーラーの稼働音、タイピング音、外で走る車の走行音、空気の音、電気的なノイズなど多岐に渡ります。
 こうした音が相手に伝わってしまっている場合に考えられることは、マイクが拾ってる音の中で自分の声とほかの雑音の音量に差がないことが挙げられるでしょう。
 「音が小さい」と言われて、(最終的にこの操作をするので間違っているというわけではないのですが)素直にゲインやボリュームなど機械的に音量をあげる方法を使う人が多いと思います。しかし、声とほかの雑音とで音量に差がない状態でそういった操作をすると、雑音も一緒に大きくなることになります。

4. マイクに口を近づけろ!!!

 ここで冒頭で言っていた「マイクを口に近づける」という話が出てきます。
 以下はマイクを口に近づけることによって得られるメリットを述べます。

声の情報量を失わず収録できる

 前述した通り、距離を経るごとに情報量の少ない状態で声が収録されてしまいます。
 なので簡単な話、マイクと口を近づけるだけでそれを防ぐことができます。

雑音が小さくなる

 少し騒がしい場所で人と話す場合、相手に耳元で喋ってもらうとほかの音よりも喋り声が大きく、ハッキリと聞き取れることは想像に易いと思いますが、これはマイクでも同じことが言えます。
 マイクと口を近づけることで前述と同じ状態が生まれる、つまり声と雑音に差が生まれ、雑音が相手に届きにくくなるのです。

 また、こうした差が生まれることによってさらにいいことがあって、それはノイズ除去系のエフェクトを有効的に使えることです。一般的なのはDiscordの音声検出系ではないでしょうか。
 ノイズ除去の仕組みをざっくりと説明すると、一定の音量を上回ったときだけ音を通し、下回っているときは音を通さないという、ジェットコースターの身長制限みたいな機能です。
 つまり、声と雑音に差がついていると、こう言ったノイズ除去で綺麗に雑音だけが取り除かれて声が途切れにくくなるのです。

5. デカい声を出すんじゃダメなの?

 いいと思います。そもそもハッキリ喋ることはいいことなので。
 ただ、大きな声で喋るということはその分だけで反響音も大きくなるということなので注意が必要です。
 

6. 音声サンプル

 色々書いてきましたが、「文章ばっかで想像つかない」という方もいると思うので、マイクと口の距離60cm、30cm、5cm、あとおまけに5cmの距離でノイズ除去を行いさらにコンプレッサーで音量を整えた状態のものを並べた音声サンプルを用意しました。滑舌に関しては触れないでください。
 喋り声から、雑音としてキーボードの打鍵音→マウスのクリック音→デスクにスマホを置く音を1セットとして収録してあります。声の聞こえ方や雑音の大きさに注目して聞いてみてください。

 録音環境はSM7B(マイク)→dbx 286A(マイクプリアンプ)→FMR Audio RNC1773(コンプレッサー)→SSL2(オーディオインターフェース)で、収録した音は声が大体同じ音量に聞こえるように調整しています。

60cm

 声がかなり反響していて、キーボードやマウスのクリック音なども目立ち、さらに一番気になるのは「サーーー」っと鳴っているホワイトノイズでしょう。
 このサンプルの中で一番声と雑音の差が少ない状態であるため、一番雑音が目立っています。

30cm

 60cmよりもだいぶマシに聞こえると思います。ただ、まだホワイトノイズを始めとした雑音が目立っていることがわかります。

5cm

 先の2つと比べて明らかに反響してる感じもなく、ホワイトノイズやキーボードの打鍵音なども小さく聞こえ、声も低域の量感が増えて生々しい感じに聞こえるのではないでしょうか。 

おまけ

 ホワイトノイズが完全に消え去り、打鍵音などの雑音もBGMがあれば聞こえなくなる程度の音量に抑えられていますね。よくいる配信などで聞こえるマイク品質に近いのではないでしょうか。喋り方と声以外は。

7. どうやって口に近づける?

マイクアーム

 普通のマイクからUSBマイクまで幅広いマイクに対応したメジャーな方法です。
 また、マイクアームがあることでキーボードを打鍵したときや物を置いたときに発生する振動がマイクに伝わりづらいという利点もあります。
 ただ、場所を取ったりマイクが視界を遮るなどの問題があるので、この辺りに気をつけたほうがいいかもしません。
 おすすめのマイクアームというのは特にありませんが、Elgato Mic Arm LPはマイクが視線を遮りにくいということで人気らしいですね。ちなみに私はBlue Compassを使っています。

ヘッドセット

 ヘッドセットならばマイクアームのように場所も取らないし、マイクが視界を遮ることもないので気軽に使いやすいですね。
 ただ、ヘッドセットについているマイクは基本的にガサガサした低品質なものが多い上に、ヘッドホンを長時間使うのはキツいという人もいるかもしないので、この辺が悩みどころになるかもしれません。
 私はヘッドセットをひとつも持っていないので無責任におすすめすることはできないのですが、強いて言えばATH-M50xSTSのマイク品質はレビュー動画などを見る限りかなりいいと感じられました。マイク部分にAT2020と同じ物を使っているという、かなり狂気じみた設計のおかげでしょうかね。
 また、前者と比べる若干音質は劣るものの、無線に対応しているBlackShark V2 Proもなかなかいい音だと感じました。

8. マイクを口に近づける時の注意点

 これまでマイクを口に近づけることを異常なくらい推していましたが、注意しなければいけない点もいくつかあるので紹介します。

ポップノイズに注意

 「ぼふっ」というノイズで、これは声を出す時に生じる風がマイクの収音部分にぶつかることで起きるものです(カラオケなどで聞いた覚えがある方も多いのではないでしょうか)。
 これを防ぐためにはマイクを口の真ん前に置くのではなく、少し横にずらしてみたり、ポップフィルターと呼ばれる物を使ってみたりするといいでしょう。また、ポップフィルターはマイクに唾がかかることを防いでくれたりもします。

低音が強くなりすぎる

 音声サンプルを聴いていただいたならば、マイクと口の距離が近づくにつれて声の低音が強くなっていってることがわかると思います。
 私がこの記事で散々「声が生々しく聞こえる」と言っていたものの正体はこの低音にあるのですが、低音が強すぎるとそれはそれでモコモコした音になって聞き取りにくくなるという面もあります。
 この点については距離を少し調整してみたり、できる人はイコライザーで低域部分をいじってみたりすることで改善するでしょう。

9. 最後に

 以上、「口とマイクを近づけろ」という主張でした。
 冒頭でも言いましたが、いいマイクを買うことで音質はよくなります。でもいいマイクというのは安くない…… というか高いのですが、マイクアームであればせいぜい1万円前後なので先にこっちを導入するのが手軽だと思います。というかまず距離を縮めた方がいい音になると思います。
 できればマイクアームを買う前に、今持ってるマイクを手で持って口に近づけたり遠ざけたりしながら録音したり、人にその音を聞いてもらったりして、ちゃんと違いが実感できるかを試してみてからの方がいいでしょう。

 なにか質問や書いて欲しいことがあればマシュマロまで気軽にどうぞ。noteに書くかXにポストするか、配信で扱うか、どのような手段になるかわかりませんができる限り返答はしたいと思います。よろしくお願いします。



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