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君はまだ、テイラー展開の楽しさを知らない【ルートの近似値】

 理系大学生ならば大学初年次で誰もが勉強するテイラー展開。その後、様々な場面でお世話になることになるのですが、初等的な計算でいろいろ遊ぶことができるのを知っている人は意外と少ないようです。
 そこで、今回はテイラー展開を使ってルートの近似値を求めてみたいと思います。

01. 公式の準備

 x を 1 よりも十分に小さな量(微小量と呼びます)であるとすると

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が成り立ちます。ここで「によろっとした等号」は「ほぼ等しい」という意味です。これは高校物理でも登場するおなじみの近似式ですね。この近似式はテイラー展開で x の 1 次の項(1 乗の項)まで残すことで得られます。

 それではこの公式が成り立つことを確認してみましょう。

 x=0 周りでのテイラー展開は

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で与えられます。ここに縦線 | の下付きで x=0 と書いているのは微分後に x=0 を代入する操作を表しています。

 関数として

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を用いれば

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より

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となります。ここで x の 2 次以上の項は省略しました。

 さて、ここで x が十分に小さいため、x の 2 次以上の項は非常に小さくなり、無視することができます。例えば x=0.001=10^-3 とすると、x の 2 乗は x^2 = 0.000001 = 10^-6 となり、x=0.001 と比べて非常に小さいことがわかります。よって x の 2 次以上の項を無視すれば求めたかった公式

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がめでたく求まりました!

02. ルートの近似値

 続いて次の値の近似値を求めてみましょう!

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 まず次のように変形します:

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すると x = 7/121 = 0.0578… を微小量 x とみなして、先ほど求めた近似式を用いることができます:

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右辺を計算することで √128 の近似値が求まりました!

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ちなみに真の値は

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ですので、かなり近い値が求まっています。

 解説は以上です。お疲れさまでした!この方法を使って、いろいろな数のルートの近似値を求めてみてくださいね!

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