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計算が合わない!もうダメだ!

僕は物理学は専門の大学院生です。ですので毎日何かしらの計算をしているのですが、計算が全然上手くいかないことがしょっちゅうあります。論文は途中計算が省かれているため、計算結果しかわかりません。その結果にどうやってもたどり着けないのです。ドツボにハマったら抜け出せなくなることもしばしばで、そんなときは

「もうダメだ!俺は物理に向いてないんだ!」

と非常に落ち込みます。流石にネガティブすぎると言われたこともありますが、それなりの頻度でこの「発作」は起こります。もはや持病と言っていいでしょう。

さて、話は変わって、朝永振一郎という物理学者がいます。ノーベル賞も受賞した非常に有名な物理学者で、本もたくさん書いている人です。朝永の本『スピンはめぐる』が研究室にもあったので、パラパラと見ていると、興味深いことが書いてありました。

仁科芳雄という、これまた有名な物理学者が、仁科・クラインの式と呼ばれる公式を見つけたときの話でした。二人は別々に同じ計算をして、それを突き合わせて確かめながら研究を進めていったそうですが、なかなか計算が合わなくて大変だったそうです。それを聞いていた朝永も、あるとき同じようにして計算していったが、これまたなかなか計算が合わず難儀した、というエピソードでした。

これを読んで、彼らのような一流の学者でさえ計算を間違えてしまうのだから、別に多少計算が合わないことくらい良いのではないか、むしろ間違うとしたうえでそれをチェックするシステムを用意しておくことが大事なのではないか、と思いました。

もっとも、この方法は共同研究者がいる場合にしか使えない方法なので、なにか上手い方法があればいいのですが……。研究室内のコミュニケーションがほぼ皆無となっている今の状況では難しいのかもしれません。

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