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短冊に思いを

 七夕といえば短冊に願いを書くのが恒例だ。毎年スーパーやデパートといった商業施設の各所には短冊に願いを書く特設コーナーができるのを見かける。自分はそんな願いを書かずに逆に人の書いた願いを見るというのが好きだ。片手間で書いたものから切実なものまで短冊一枚に人の様が書かれている。

 年代別に見てみると幼少の子供たちの願い事はまっすぐでありシンプルなのが多い。「サッカーがうまくなりますように」はまさに毎年見かける定番文句の一つだ。また幼少の書くものの特徴の一つには親に買ってもらいな・・というおねだり系なるものが存在する。「DSがほしい」「switchがほしい」この辺のを毎年見ていると幼少のこどもたちのトレンドが分かって結構楽しかったりする。後もう一つある特徴なのが「・・・」読めないである。子供の必死な思いは伝わるのだが本当に読めない・・・解読できない・・・これは仕方ない。

 10代後半のティーンエージャーになると高望みしつつも現実感のあるものがどんどん増えていく。「◯◯と付き合えますように」この◯◯には同級生と思しき名前からはたまたジャニーズまでバリエーションが非常に多い。このあたりは女子高生の青春が突き刺さってきてこっちまである意味ゾクゾクっとしてしまう。ちなみに男子に関してはどうも見かけるのが希少なイメージがある。買い食いにせよ目的なものを買って、買ったらさっさと出る性が出ているのかもしれない。

 さてここから一気に世代が飛び3、40台の主婦層の話に飛ぶ。スーパーや商業施設だとどうも20、30代の短冊が結構少ない。短冊を見ただけでこの人の年はいくつぐらいだと当てられる超能力を持ち合わせているわけではないので本当のところは分からないが感覚としての割合はどうも少ないように感じる。さてこのあたりの層になると子供の幸せを願うものから自分の夢の再発見ものまで今の現実に即したものが目白押しだ。「◯◯の幸せがいつまでも続いてくれますように」という娘・息子に当てたものから「◯◯の病気が早く良くなりますように」といった家族や大切な人に関する切実なものもある。また「◯◯がはやくいなくなりますように」という直球すぎる本音がたまに混ざるのもこの世代の特徴だ。

最後に高齢者の皆様方について。このあたりは人生経験からか達観しているものが多くまた丁寧にも最後に名前がきちんと書かれているのが多い。この辺は世代の考えが現れているのであろう。内容は孫に向けたものが多く、また自身の病気のことなど生活、あるいは介護に関わる切実な願いまでが多い。また「人類が平和でありますように」という規模の大きい達観した願いもこの世代ならではの願いである。若い世代ではそうそうに出てこない。

 この手の願いは神社の絵馬にも同じことが言えるが、七夕のほうが商業施設の手軽なスペースに、しかも匿名で書くことができるというのもあって本音の願いが明るく、時にはどす黒く出ていて面白い。そんな本音の願いや詰まった七夕の一日が今日もはじまり、そして終わっていく。

#日記 #エッセイ #七夕 #願い事 #彼女ほしい

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