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「ごんぎつね」を読んでみる 3

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 兵十が、赤い井戸のところで、麦をといでいました。
 兵十は今まで、おっ母と二人きりで、貧しいくらしをしていたもので、おっ母が死んでしまっては、もう一人ぼっちでした。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」
こちらの物置(ものおき)の後(うしろ)から見ていたごんは、そう思いました。

「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」

ごんは一人ぼっち。

一人ぼっちだとさびしい。

兵十もさびしい。

クイズ?兵十もさびしいのだとわかったときのごんの気持ちはどれだと思いますか?
(A)うれしい (B)かなしい (C)かわいそう


かわいそうに兵十は、いわし屋にぶんなぐられて、あんな傷までつけられたのか。

ごんは兵十をかわいそうだと思っています。

答え:C
 
【ごんは兵十のことをただの村人ではなく、大切な人だと思うようになった。】

★第二章のごん「兵十の家のだれが死んだんだろう」→第三章のごん「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」に変わっています。

第二章の場面まで、ごんは兵十のことをよく知らなかった。

★第一章に『ごんは、一人ぼっちの小ぎつねで、』という文章がありました。『一人ぼっちの小ぎつね』と『一人ぼっちの兵十』はまったく同じ表現です。

「一人ぼっちの○○」と同じ表現にすることで、ごんの兵十に対する親しみが感じられます。

*余談ですが夏目漱石の「三四郎」に『可哀想だた惚れたってことよ』という台詞がありますね。

 ごんは物置のそばをはなれて、向うへいきかけますと、どこかで、いわしを売る声がします。 「いわしのやすうりだアい。いきのいいいわしだアい」
ごんは、その、いせいのいい声のする方へ走っていきました。と、 弥助(やすけ)のおかみさんが、裏戸口から、
「いわしをおくれ。」と言いました。いわし売(うり)は、いわしのかごをつんだ車を、道ばたにおいて、ぴかぴか光るいわしを両手でつかんで、弥助の家の中へもってはいりました。ごんはそのすきまに、かごの中から、五、六ぴきのいわしをつかみ出して、もと来た方へかけだしました。そして、兵十の家の裏口から、家の中へいわしを投げこんで、穴へ向(むか)ってかけもどりました。途中の坂の上でふりかえって見ますと、兵十がまだ、井戸のところで麦をといでいるのが小さく見えました。
ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。


兵十の家の裏口から、家の中へいわしを投げこんで、穴へ向ってかけもどりました。


まるで逃げてるみたいだ。

クイズ?ごんはもし兵十に見つかるとどうなると思ったんだろう?
(A)兵十に怒られる (B)兵十にほめられる (C)兵十に無視される

兵十にとってごんはぬすと(盗人)きつねのまま。

答え:A

【ごんは自分が兵十にきらわれているの知っているから。】

途中の坂の上でふりかえって見ますと、兵十がまだ、井戸のところで麦をといでいるのが小さく見えました。

兵十がいわしに気づいたかどうか気になっている。

?なぜごんは兵十にあやまらずに逃げたんだろう?

【ごんは兵十がゆるしてくれないと思っていたからじゃないかな。】

ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。

つぐなう(償う) の意味 出典:デジタル大辞泉(小学館)
1 金品きんぴん)を出して、負債(ふさい)や相手に与えた損失(損失)の補(おぎな)いをする。弁償(べんしょう)する。
2 犯(おか)した罪(つみ)などに対して、金品(きんぴん)や行為(こうい)でうめ合わせをする。

うなぎのつぐないに、

ごんがいたずらしたから、兵十のおっ母はうなぎを食べられずに死んでしまった。

兵十を悲しませてしまった。

【ごんはのいたずらが悪いことだと気づいた。】

まず一つ、いいことをしたと思いました。

【ごんは兵十につぐないをすることはいいことだと気づいた。】

★『いたずらばかりするごん』から『つぐないをするごん』に変わりました。

つぎの日には、ごんは山で 栗をどっさりひろって、それをかかえて、兵十の家へいきました。裏口からのぞいて見ますと、兵十は、 午飯(ひるめし)をたべかけて、茶椀をもったまま、ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには兵十の頬(ほっ)ぺたに、かすり傷がついています。どうしたんだろうと、ごんが思っていますと、兵十がひとりごとをいいました。
「一たいだれが、いわしなんかをおれの家へほうりこんでいったんだろう。おかげでおれは、盗人と思われて、いわし屋のやつに、ひどい目にあわされた」
と、ぶつぶつ言っています。
 ごんは、これはしまったと思いました。かわいそうに兵十は、いわし屋にぶんなぐられて、あんな傷までつけられたのか。
 ごんはこうおもいながら、そっと物置の方へまわってその入口に、栗をおいてかえりました。
 つぎの日も、そのつぎの日もごんは、栗をひろっては、兵十の家へもって来てやりました。そのつぎの日には、栗ばかりでなく、まつたけも二、三ぼんもって いきました。

これはしまったと思いました。

いいことをしたつもりだったのに、兵十がひどい目にあってしまったから。

そっと物置の方へまわってその入口に、栗をおいてかえりました。

?兵十の家の裏口に置かなかったのはなぜだろう?

兵十に気づかれたくなかったから。

兵十に見つかると、いわしのこともごんのいたずらだと思われそうだから。

【ごんは兵十のことを好きになったんだけど、それに気づかれるのが恥ずかしかったんじゃないかな。】


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