見出し画像

朝日ウルルン滞在記〜ベトナム編〜EP1.グミみたいなとうもろこし

生まれてこの方、日本を出たことが無かった。
家族で一週間休みが取れた記憶もないし、卒業旅行もしなかった。
そもそも旅行というものに時間やお金を割くという考え方をしたことが無かったのだ。なぜだろう。うーん。おそらく、旅行というモラトリアムに焦りを感じてしまう性分だったからかもしれない。

いまやれることあるっしょ!みたいな。

いまやれること、に時間を割くことは生産性のあること。けど、身につけると同時にそいつを削ぎ落としているのは否めなかった。

1月、フリーランスになって様々なことが起きた。私の心にも身体にも身の回りにも。
そこで、モラトリアムしてみるのもありなのではないか。とか思っちゃったりするようになった。


そしていま私は、ベトナムの首都ハノイから車で二時間。初海外旅行にしてはハードな、フートという場所に滞在している。

ベトナムに着くまでの私は、ディズニーランドに初めていく幼稚園児のようであった。自然と笑みが溢れるし、空港の免税店に興奮する。わぁ!飛行機!と声に出してしまいそうなのを抑え、慣れた手つきで航空券を発券する旅行者に混じっていた。

んもう。わくわくがとまらない。空の上から見える景色は携帯の画像で見るよりずっと美しいし、雲を割いていく飛行機のはねを見つめるだけでにやにやできる。
なんて海外旅行に生み出せる幸せのコスパが良いことか!!!


あと、15分で到着。下を覗くと雲の切れ間からは、朱色の屋根が沢山顔を出して、集落が過ぎると青々とした畑や田んぼが広がっていた。


私は人生ではじめて、日本ではない地面を触った。


朝日ウルルン滞在記〜ベトナム編〜のスタートである。 

到着するや否や、空港から出られない。
ベトナムってこんなに旅行者が多いの?!と、躊躇っているうちにゲートに並ぶ列は伸びてしまい、結局空港をでるまでに一時間かかった。

出鼻を挫かれたな。

外で迎えてくれる友人たちを待たせている焦りが襲うが、朝日のモラトリアム、苛立ちは禁物だ。冷静になろう。と携帯で仕事をして待つことにした。


パスポートのチェックを通過し、荷物を受け取り、やっとこさA2出口へ。

あと5日あるというのに!note出発だけで終わっちゃうよ!

と、足早に外へ出ると、そこには。


迎えにきてくれた友人、と知らない人がいた。
知り合いに会えることの安堵を日本じゃここまで感じることはないだろう。車のクラクションに負けない叫びをし飛びついた。


今回の旅のきっかけは、この友人たちに会うことであった。苦楽を共にしたはじめての海外のお友達の特に仲良しのカップル。

ナムとリン。

一緒に働いていた頃、仕送りのために朝から晩まで働いて、ガリガリで目の下にくまをつくっていたふたりは、半年経ったいま精悍な顔つきで私を迎えてくれた。愛しい二人。来年はいよいよ結婚らしい。またモラトリアムしにくる理由ができたぜ。

抱擁を交わしているとそのとなりにはどでかいベトナム人。優しそうな男性がいた。

彼はトゥンくん。ナムの高校からの同級生で家族ぐるみで仲が良いらしい。
よろしく!とリンの通訳を交えて自己紹介をし合った後、彼はレンタカーを借りてくれたそうで、荷物を持って案内をしてくれた。

その背中はたくましく、きっと日本にきても優秀な人材なんだろうなぁ、と考えながら車に乗り込んだ。

ここまでの私たちの行動のバックは実に騒がしい。クラクションが鳴り止まない、叫ぶように会話するベトナム人、空港の前であるというのに猛スピードで車が走っている。

三人がいなかったら私はどうなっていたことだろうか…。

ほぼひとりたび、とか意気込んでいたけれど、実際は全然違う。レンタカーだけでなく両替まで手伝ってくれ、至れり尽くせりのお迎えと初海外旅行サポート。どんなツアーよりも胸熱である。


レンタカーで走りはじめてすぐに飛び込んだ光景は、高速道路入り口でのとうもろこしの路面店。歯のないおじいさんがにこっと笑うから、思わず買ってしまった。

グミみたいな食感のとうもろこし。

嘘だろ!笑笑 路面店=地元の美味しい店じゃないのか!


「観光客狙いだからおいしくねーよ。」


ナム!買ってみて!って!言ったじゃーん!

クラクションは鳴り止まないし、車スレスレをコンテナを乗せたトラックが走る。道路を挟めば水牛の群れ。

いやベトナム。まじか!

すげー!うわー!なにこれー!ナム!リンちゃん!
ライターらしからぬボキャブラリーの無さ。


はじめて見る景色と、マザー牧場みたいな匂い、そして涼しい風は、私の人生を変える日々を予知しているように私に降り注いだ。


朝日。暫しお暇。頂きます。


次回に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?