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「見惚れる」経験

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4年前の中秋の名月は、今でも覚えてる。


勤務先からの帰る途中に、いつもよりずっと地平線に近くて、馬鹿でかい満月が見えた。


茹でて濃くなったピカピカのとうもろこしみたいな色で(伝わるだろうか、、、)


思わず立ち止まって写真を撮る人が多かった。


「見惚れる」って、素敵な経験。



さて、ちょうどその頃「見えにくい人の見え方」を想像することが、自分の中でのブームになっていた。
(ロービジョンの当事者に会い始めた時期で火がついていた)


「見えにくい人は、○メートルより先が見えない」


あの頃はまだ、こんな考え方が一番強い。


だから、いくら低い位置であっても、大きくても、「この距離感では月はみんなには消えてる」と勝手に思っていた。


同時に、「見惚れる」経験が少ないのかもしれないと、少し寂しくも感じた。



私のよく知るロービジョン者は、「結婚式で切なくなった」とたまに漏らす。


みんなと一緒に「見惚れる」のが難しかったんだろう。


ロービジョン者にいくつかみられる独特の切なさがある。そういうのを共感できる場があると、私も少しホッとする。


一緒に「見惚れる」経験は、貴重だ。



ちなみに、視力0.01のトモは(雲がほぼなければ)実は月を見つけることができる。


周辺視野で「何か明るいの」を捉えているから。


でも“鮮明に”見えてない。綺麗と思えているか、分からない。


たまにどうしたらいいか分からなくなるときがある。正直にいって、自分の「見惚れた瞬間」を、彼に共有しないこともある(すまん)。


そんな感じなので、一緒に「見惚れる」ことができることは幸せ。


以前、お友達と4人で富士登山に行ったことがある。


夜中に山小屋を出て、御来光を待つ間は真っ暗で冷えきっている。トモはガタガタ震えて大変そうだった(笑)


少しずつ温かくなってきて、雲海から御来光が顔を出したとき、


完全に「見惚れた」。もちろんトモも一緒に。



見えてる世界は違うけど、タイムラグなく、一緒に体感できること、たくさん見つけていきたい。

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