見出し画像

絵里っていい子だよなあ!

去年秋、今住んでいる場所に引っ越しを
したんですが、いまだ全ての自分の荷物を
開けていません。
CDなんかもなあ…デッキというものがないからなー。まだ箱の中です。

先日ようやく衣替えとともに本や服を
棚やチェストにとりあえず納めました。
まあ私の場合、絵を描いたりものを作ったり
することがあるので1番の荷物はそれら
作品だったり材料だったりするのですが。

そこで今回ホットロード。
言わずもがなのもはや歴史書物的、
伝説の少女漫画。
その文庫本が出てきました。
あー懐かしーとパラパラ。

特にこの序盤が好きですね。
ヒロイン和希(中2)が
親しくなった同級生絵里やその先輩たちと
初めて夜の街を歩く。
素直に「こんな夜遅く外出たことなかった」
とつぶやくように(この子終始こんな感じ
ですが)言うところもいい。

で、絵里です。

互いに孤独なもん同士、仲間、として
和希の親友となります。が、

…モブキャラクター一歩手前の存在
なんだよなあ、和希と対して。

元々は
「うちの学校にはあまりいない不良の子」
の転校生絵里。しかしそこは嗅覚か、

特に最初はやたらに

ポーーー。

としてる和希に何を嗅ぎ取ったか、
クラスは違うってのに
言い方悪いですが近付いてゆく。

初期形態和希。ポー……。儚げ。
絵里登場。大人びた印象です。

↑この表情、好きなんだよなあ。

しかし不良道では先輩だった絵里は
かなり早いうちにその道を和希に
追い抜かされてしまうんですね。
なんせいきなり和希、族の頭に気に入られて
周囲から見れば個人的に妙にかわいがられるわ
特攻隊の中心人物(ハルヤマ)の彼女に
なっちゃうわ、
その世界の深いところにいて違和のない
存在になっちゃうわけです。
まず理由は簡単。和希、見た目がいいんですよ。まあそればかりではありませんが。

だから絵里〜!

複雑だっただろうな。
14歳ですよ?
妬みそねみで頭いっぱいになる日々も
あったでしょう。自分が誘い込んだ
族の世界とはいえ、
なんなんだよあいつばっかよ。
私なら勝手にもそう思います確実に。

でも、絵里いい子なんです。
打算的思考なんてかけらも出さず、
ずっと和希の親友なんです!

ひとのことを思える子です。
親身というものを知っている。

だからね…なんというか
もうちょっと最初の印象のままであって欲しいナー。なんて思うのが、
↓こういう表情なんか見ると

念の為、和希は「かっこいい」方です。
家出も完了、ずいぶん染まってきました。

↑和希がとにかく「思慮深げ」すぎて

ずるいんですよっ。

和希の誕生日をお祝いしようと絵里。なんて
いい子なんだ。和希何か言え。
まあそれなりに楽しんでもいるようです。
夏休み。気持ちいいよね!

絵里は決して、
あのアンパン小僧のしげる
(常にえへへー顔)や、

「聡明なヒロイン和希」に対し、
「そうでない」立ち位置のキャラ多し。たまりません。

↑「なんもわかっちゃいないモブ」では…

決してないんです!


和希の彼氏ハルヤマが事故にあい、
おそらく植物状態か死…という物語終盤。
姉と一緒に病院に駆けつけた絵里。
ふたりを思う涙は本物でしょう。
不良の果てに憧れた自分をバカみたい、
もう憧れてるなんて絶対言わない、と泣く。
私も抱きしめたくなりますよ!

まあかっこよくえがかれたと思いますよ。
当時10代別マ読者のまさにバイブルでしたし。

私自身は別に不良ではありませんでしたが、
当時(80年代後半)この物語を友人に
すすめられて読み、
今もこうして色々ツッコミつつも手元に
置いている…。
しかしまー絵柄が色褪せないね。
すごい作品ですよねあらためて。

そして今回、完全絵里目線でラストまで
読み進めましたが、
あくまで主人公は和希とハルヤマ。
最後は2人の現在、そしてその先(道)は
ずっと続いてゆく…と締められます。

更生した和希(高校生)はやっぱり
寡黙だししかしヘアスタイル(絵里が
カットした)も変わり更にかわいいこと!
引退したナイツの面々(絵里はその中で
やはりきちんと立場を守り…ええ子や)
とも仲良し、
ハルヤマともなんだかんだ続いてるし
「将来はハルヤマの赤ちゃんのお母さんに
なりたい」なんて夢をモノローグで語る。

ああそうだ、ラストといえば…
バイクに乗れなくなったハルヤマは
麻痺の残る身体でママチャリを必死こいて
漕ぎ、しかし子供の三輪車にすら抜かされる。
過去からは想像もできなかった自分に
苛立ち、負けそうになるけれど
再び漕いでゆく、夏真っ盛り。
感動する描写ですよ。彼のまみれた汗が本当に
伝わってきますから。

そしてラストのラスト。最後のページ。
和希とハルヤマの後ろ姿に重なる、
「がんばってね 和希 がんばってね」

これ、いや、知ってはいましたが
中学卒業式のあとの絵里の
台詞なんですよね。

…すんませんでした紡木たく先生。

以前もツイッターでちょろっと
絵里はモブなんかじゃない!などと叫び呟き、
更に今回長々と文句垂れていやその、

そうですよ。わかってるに決まってますよ。
絵里がほんとーーに友達思いで、明るくて、
ヤンキーだけど、ヒロインに対し複雑な
気持ち込みで自身の立場を歳14でどんだけ
わきまえてる女の子か。

ああやっぱりこの子はいい。
その「頑張って」の
絵里に気付いてくれるひとは少ないかも
しれない。
「ふつうに」不器用なタイプ。そこが
いいんです。昔はわからなかった魅力です。
(だから「机をステージに」も、むしろ
ホットロードより好きです。あれも
いいんですわー)

もっと言って!

としをとって改めて読んだ感想です。
失礼いたしました。

↑おまけ
事故後のリハビリで身体が動いたことを
和希に報告するハルヤマ。
この「少しね」
心も成長した彼氏のこの言い方に
グッときます。なんてことない
ワンシーンなんですが。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?