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たびしゃしん――旅のメモ

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31か国の旅で見たもの・感じたこと、国内旅行について写真とともに紹介していきます。
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2016年10月の記事一覧

付加価値付きの機内サービス

ネパールの首都、カトマンズにあるトリブヴァン空港に降り立った。最初の目的地はルンビニ、だがカトマンズ⇔ルンビニはバスで12時間の長旅になる。 結構バスの長旅も嫌いじゃないし、何より安い(片道約1,000円)のが魅力的。学生の時は迷わずバスを利用していただろう。しかし今は社会人。限られた有給休暇を使って行くため、移動時間を短縮するか、安さをとるかは結構な迷いどころになる。 スケジュールと時間を考えて、今回は片道およそ15,000円する飛行機を使うことにした。 私が利用

風の声が聞こえる場所

じっとしていても、歩いていても、止まることなく流れる汗を、何度も何度も拭きなおす。 8月末のルンビニは、まるで天然サウナのような湿度だった。 一番楽しみにしていたブッタ生誕の地へ行くことも億劫になってしまうほどだ。せっかくここまで来たのだからと、自転車を200ルピー(約200円)で借り15分程走った後、徒歩区域に入ってからは10分程歩いて目的地へ到着した。 "チケット売り場がわかりずらい”といくつかのブログで読んでいた通り、チケット売り場に迷い、ようやく入ろうとすると

あの人へ思いをよせて

ネパールに行きたい!と思ったのは2014年の秋も終わるとき。 修行をして、悟りを開けば心穏やかになるんじゃないかと、いわば「神頼み」のような気持ちで仏教が気になり始めた。 生まれてすぐに7歩歩いて、右手で天を、左手で地を指し、『天上天下唯我独尊(自分という存在はこの世にひとつしかない、尊い存在だ)』と唱えた という、常識を超えるような誕生秘話になぜかひどく心を打たれ、こんな秘話が伝承される彼は一体何者なんだろうかと、釈迦への興味が止まらなくなった。 2016年。

直視できなかった現実

日の暮れはじめた頃、ルンビニではマーケットが開かれていた。 夕飯の支度のためか、野菜売り場は大賑わいで、外国人の私にはみんな見向きもしない。まるで透明人間になったような気分でその場をふらふら歩いていると、少し離れたところにいる少年が目に付いた。 首のない、毛が綺麗に取られた一匹の鶏を豪快に洗う少年。 近づいてみると、足の長いシンプルなテーブルにゴロゴロ並べられた首のないチキンたち。テーブルの下には、鶏が3羽、妙におとなしく座っていた。次はきっと、あの子たちの番だ。 思

ありがとうなんて言わないで

8月30日、ネパールのルンビニからカトマンズに向かうバスの中で、私はお坊さんのSamir(サミア)と隣同士になった。 9月1日はネパールでは父の日だそうで、お祝いをするために実家のあるカトマンズへ向かっているのだという。父の日は必ず親族で集まってご両親にお祝いをするんだ、というサミアの話を興味深々に聞いていると、「良かったら家に遊びに来てみる?」と提案をしてくれた。 仏教に強く興味を持ってネパールに来ていたこともあり、お坊さんに絶大な信頼をおいていた私は二つ返事で提案にの