好きな人の嫌いなところ
友達に会った瞬間、ドキリとしてしまうことがある。
艶のある黒髪、きれいな白い肌、すっぴんのようなのに、吸い込まれてしまいそうな猫目の瞳。周りの人とは明らかに違うオーラをまとって現れ、にっこり微笑まれると一瞬動けなくなる。もう15年以上一緒にいるのに、美しさは日に日に増すばかりだ。
「久しぶりだね」の挨拶を交わして、ようやく緊張が解かれてきた。彼女の性格はすごくポジティブで、「うちらが一番イケてるよ」なんてイケてない言葉を言ってはニヤニヤ喜ぶ。時折、オヤジギャグも嬉しそうに言い放つ。私はいつもなんてツッコミを入れたらいいかわからず、「はいはい」と流すときもあれば、「ツッコミって得意じゃないから、なんて言ったらいいかわからない」とリアルに返すときもあった。しかしどんなセリフも彼女は笑って聞いてくれた。
瞬時にオヤジギャグを作れてしまうくらいだから、頭の回転が速い。本気になっときの集中力と、好きなものに対する一途さは誰も真似できないと思う。丁寧に、マイペースに、そして前向きに生きる最高の女性だ。
一方で私は、彼女の良くないところも知っている。マイペースがゆえに他人を傷つけてしまったり、頭が良い分、自分を守るために他人をだましてしまうこともある。好きなものは手に入れたい、やりたいことはやりきりたい。今までは持ち前の器用さと特技の世渡り上手さで乗り切ってきたけれど、人を育てる立場になったら、"相手を優先して考える"ことを、受け入れていけるのだろうかと心配した。
彼女の問題が露わになるたびに、そういうところがダメなんだよな……と、ちょっとついていけない気持ちになる時もあった。けれど大変そうな彼女を見ていると、「それでも一緒にいてあげたい」とも思う。どんなにダメなところがあっても、他人に迷惑をかけても、彼女は私の友達で、一緒にいたい存在だ。周りから見て良いか悪いかは関係なくて、ふたりは「友達」なのだ。
どんなに周りから責められても、誰から見ても悪いことをしていても。それは当然、私から見てもそうなのだけれど、だからって彼女を嫌う理由にはならない。
「この先何が起こっても、彼女が幸せになることが、私にとっての大事なこと」
どんなあなたでも大好きだ、とはまさにこんな感情なのだろう。
「何があっても、例えあなたが悪くても、私はあなたの味方だから」
こんなに考えてはいるけれど、マイペースな彼女に伝わっているのだろうか。いつまでも綺麗な彼女の横顔を見て、そんなことを考えた。
去年の毎日note
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