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死が支える命

駅の階段を上るとハムスターくらいのネズミが一匹、ちょうど階段を上り終わったところにうつむいていた。

ぎょっとして背筋が凍ったのと同時に、足も動かなくなった。目線と同じ高さにいるそれが、こちらへ勢いよく向かってきたらどうしようかと思うと怖くてすくんでしまったのだ。

けれどネズミはピクリとも動かず、目をつむって下を向いている、よく見ると顔の下あたりから、赤い液体が見えていた。


命あるものに死は必ず訪れる。あたり前のことなのに、死を目の当たりにするとなんだか心が落ち着かない。蚊は平気で殺すのに、私はどの生き物の死から怖がるようになっているのだろう。

死は私たちの身近にある。焼き鳥、焼肉、牛たん定食、私が好きな食べ物はほとんど、死の先に存在する料理だ。誰かの死がほかの誰かの生を支える世界に生きているのに、目に見えてしまうと急に怖くなるのは一体どうしてなのだろうか。

ホームで動かなくなったネズミは、これからどうなっていくのか。どうか誰かに食べられて、ほかのものの命とくっついていけたらいいなと思う。


去年の毎日note


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