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「髪の毛切った?」もセクハラになる時代について

「先輩がいつも、洋服についてコメントしてくる」と悩む子がいた。2人がまだあまり、コミュニケーションを取れていなかった頃だ。

当時私はその様子をそばで見ていた。先輩は本当に何の気なしに、むしろ「コミュニケーションとらなきゃ」と思って絞り出した会話の種が服装のことのようだった。「今日、〇〇色の服だね」と、はたから聞いている分にはそんないやらしい感じでは言っていなかったし、不器用な人が不器用なりに頑張っている印象だ。それでも彼女は、それがすごく嫌だった。

その子の気持ちもわからなくもない。なんでもない人に頻繁に服のことを言われたら「なんでそんなに見てくるの?」と思うし、それを言ってどうするの? とも思う。先輩も服装を褒めればいいものの、それが出来ないシャイな人でもあった。

では、どうすればよかったのか。


まだよくわからない相手とコミュニケーションを取る時は、相手の好きなことや、昨日見たテレビのこと、身の回りの話にすればよかったのではないか。話の種はわざわざ身体にまつわらなくていい。今日は暑いね、とか、寒いね、でも十分だ。

話すことがみつからないなら、無理して話さなくてもいいと思う。関わる時間が多くなれば自然と共通の話題も増えてくるから、その時に話せばいい。

「もう無理です」と半泣きで言ってた後輩も、先輩と一緒に仕事をするようになってからはよく飲みに行っている。会話も仕事の話が増え、先輩も服装のことは持ち出さなくなった。心を開いた後輩は「あの先輩はすごい、尊敬する」と、手のひらを返したかのように変わった。

仕事という共通の話題を通して先輩と後輩の仲は深まり、仕事以外の話も広がる。そうなれば今度は、「今日はいつもと雰囲気違う服だね」なんていう一言が褒め言葉に変わったりするものだ。


ちなみにその先輩と私がまだ仲良くなかった時は、私の好きなスラムダンクの話でいつも話しかけてくれたので、話せる時をいつも楽しみにしていた。仕事が一緒になりよく話すようになったあと、私が眉毛よりも短く前髪を切った時があった。先輩はびっくりして2度見し「えーっと……可愛らしくなったね」とコメントに困ってしまったことがある。そんな反応をした先輩が、個人的には結構好きだった。

「今はうかつに『髪の毛切った?』なんて言ったらセクハラ扱いされる時代だからね。嫌になっちゃうよ」なんて、コミュニケーションを怠りがちな人が言う逃げ道じゃないかと思う。どんな話をしたら一緒に楽しくなれるか、考えてみてもいいんじゃないか。

「髪切ったことに気づかないと怒るくせに」という人がいるけれど、髪切った?と聞くと嫌がってくる相手なら、気づかなくても怒らない。大事なことは何を言うかじゃなくて、そこに十分なコミュニケーションと信頼関係があるかどうかだ。

セクハラ報道を流すとくダネを見て、なんだかすごくもやっとしたある日の朝8時。

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