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もっともっと知りたいよ、サドゥー

ガイドブックを見た時から、気になっていた人がいた。
彼の名は、サドゥー。ヒンドゥー教における修行僧で、ウィキペディアではこう語られている。

サドゥーはあらゆる物質的・世俗的所有を放棄し、肉体に様々な苦行を課すことや、瞑想によりヒンドゥー教における第四かつ最終的な解脱を得ることを人生の目標としている。

私は、彼らを見ることができるのか。期待に胸を膨らませ、修行中のサドゥーに会えるかもしれないというネパール最大のヒンドゥー教寺院、パシュパティナートへ向かった。

朝9時頃到着し、パシュパティナート裏にある散歩道へ差し掛かったところで、私は見た。

写真の中央に白色に塗られたサドゥー。ガイドブックの彼より少し体はぽっちゃりしていたけれど、きっと間違いなくサドゥーだ。

そして何より、一番ドキドキしたのは、彼が鏡を使って、身だしなみを整えていたのだ……!

**「…‼」 **

衝撃の現場に出くわした私は思わずシャッターを切ったが、それに気づいたサドゥーはこちらを見て何か叫んでいる。もしかしたら見てはいけない場面だったのかもしれない……。

私はすぐにその場を立ち去った。



次の出会いは、パシュパティナートを出た先にある道の脇、広く道路に面した休憩所のような場所だ。

間近にいるサドゥーに妙な緊張や畏れの念を抱き、全身が固まり始めたその時、彼が私を呼び「ティカ」をこめかみに塗ってくれた。
サドゥーにティカを塗ってもらえるのは、とても神聖なことなのだそう。

「あなたはサドゥーなの?」恐る恐る聞いてみると、サドゥーは消えそうな位細い声でこう答えてくれた。

「そうだよ。インドから4時間かけて、バイクで来たんだ


…なんだか、思ってたのと違うぞ。

「苦行僧」なんて言われているから、てっきり歩いてきたり、馬に乗ったりするのかと思ったけど、それは単なる私の妄想に過ぎなかった。
彼にお招きいただき、私も休憩所へ上がり込んだ。

近くに座ってチアを飲んだり、奥から現れた別のサドゥーには祭壇のような場所を案内してもらったりしていたが、近くにいた人が大麻を持ってきたのを見て怖くなり、私はその場を後にすることにした。

帰り際、ティカを塗ってくれたサドゥーへ一緒に写真を撮っても良いか、勇気を出して聞いてみた。彼は二つ返事でOK。ドキドキしながら彼に近づき、カメラに目線を送ると、彼がいる方の後頭部に妙な感覚を覚えた。

それは紛れもなく、”苦行僧”サドゥーのキッスだった。


あれ、苦行僧?あれ?雑念?頭の中に混乱の二文字を残したまま彼にさよならを告げ、私はそこを後にした。

サドゥーとは一体、何者なのか。
あの日から彼が気になって仕方がない。もっと彼のことが知りたい。

どうやら私は、サドゥーの思惑にはまってしまったようだ。

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