2022.1.14

今日もまた、忘れがたい体験をした。

イタリアのランジェリーショップ・Intimisssimiの渋谷店は、2階に同じくイタリア系のカフェ・Segafredoが期間限定でオープンしており、店内はカフェ兼アートギャラリーとなっている。

ビスコッティとオレンジモカ
ちょうど今はfoxyの個展が開催されている
肉感的で蠱惑的な女の子たちのイラスト。

数年前はちょうどここが、1階から3階までまるっとSegafredo渋谷店だったのだけど、再開発にともない閉店してしまった。それがいま、Intimissimiの力も借りながら、POP UPとして返り咲いている、というわけだ。

実は学生時代に、「イタリア人になりたいです!!」という理由で、渋谷店が閉店する1ヶ月前にバイト面接を受け、そのあとは他店舗に異動する条件つきで、僅かな期間働いていたことがあった。異動するとはいえ、閉店が決まってる1ヶ月前に面接を受けるなんて当時の私は完全にどうかしてるが、それを受け入れてくれた優しい店長に感謝している。そんなわけで、私はここに深く思い入れがある。

いつもはなんとなく知り合いがいたら恥ずかしいなと思ってここのSegafredoを利用したことはなかったけど、今日はなんだか行ける気がしたのだ。私はよく「これまでは気が引けていたのに突然そこへ踏み入れることができる波」が訪れる。

入ってすぐ、感じの良すぎるバリスタがいて、ああこのお店の人の温かさはいつだって変わらないのだなあと思い嬉しくなった。人をまったく拒絶する気配のないこのバリスタにすぐ心を開いた私は、「この期間限定カフェはいつまでなんですか?」と尋ねた。2020年にオープンしてからしばらく経つ。もしかしたら期間限定という話はなくなっていて、常設店舗になってるかもしれないと淡い期待を抱きながら。

その期待はすぐに砕かれた。今月23日で閉店してしまうらしい。もう間もなくすぎる。はじめてこの店舗に来たにも関わらず、上述の経緯があったため絶句していたら、バリスタも不思議に思ったのか「よく渋谷に来られるんですか?」と聞いてくれた。過去にバイトしていたこと、思い入れがあることを話した。

すると、カウンター席でそれまでバリスタと会話していたお客さんが、なんと私がかつて働いていた店舗で、いま働いてるというのだ。そしてカウンターにもう1人、こちらの方は常連さんで、ここだけでなく都内のありとあらゆる店舗、そして社員さんのことまで知り尽くすほどだった。もう名前も忘れてしまっていた人たちの名前がどんどん出てきて、ふらっと遊びにきただけなのに、全員初対面であるはずなのに、同窓会みたいな雰囲気だ。なんだこの空間は!とにかくみんな気さくで親切。私はこのカフェのこういうところがやっぱり好きだ。

このバリスタと常連さんは読書好きで、よく本の貸し借りをしているらしい。なんならお客さん同士でも、ここに集まる人たちは本をおすすめしあってるようだ。そのためお店には本がいくつか仕舞われていた。親しみやすい人たちというだけでも十分素敵なのに、こういうカルチャーが息づいてるなんてどこまで理想的なのだろう。そしてひょっこりやってきた私にも、まるで昔馴染みのように、本をくれた。

映画や本をオススメしあって、感想を伝えるやり取りがすごく好きだ。その人が何を見てどう感じたのかって、他人についてのスキャンダラスな話題より、相手のことをより知れる気がするし印象づけるからよほど良い。

真っ直ぐ家に帰ってもよかったのに、なんとなく立ち寄ってみたら、こんなに素敵なひと時を過ごせるなんて。今週もしっかり生きて良かった。

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