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ホームレスのキス

ニューヨークのストリートでは、ホームレスの人々をよく見る。アートスクールに通っているときに、カードボード、日本語で言うダンボールを使って、ホームレスの人々をテーマに作品を創った。彼らの住処であるカードボードを使って描きたかった。カードボードの上にインクで描いてゆく。何重にもなっているカードボードだから、それを1枚ずつそっとむいたりしてテキスチャー、感触を出したりして楽しんだ。

ストリートを歩いていると、たくさんの人たちと目が合う。目が合えば、スマイル。時間にしたら一瞬なのだけれど、その瞬間があるだけで、こころが熱くなる。うきうきしてくる。中でも、疲れているはずのホームレスの人たちからのスマイルは、まっすぐでピュアな気がして、とびきりうれしく感じた。

ある日、ハードウェアショップから出てくると、ドレッドのホームレスのおじさまがいた。目が合って、お互いスマイル。彼は、こちらへ手を差し伸べて、わたしの手の甲にキスをした。突然のことで驚いているわたしに、”God Bless You.”と優しい瞳で言ってくれた。すべてを知り尽くして、悟っているような瞳だ。彼の存在が宇宙から舞い降りてきたような気がして、すごく幸運に思えた。

“God Bless You.”

ことだまパワーと彼の印象が重なって、記憶に刻まれる。

“God Bless You.”

今も祝福され、見守られている気がする。

“God Bless You.”

大切なあなたへ

Mihoko Love 🦋

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