撮って、シェアする展覧会
森美術館で「塩田千春展:魂がふるえる」を見る。
赤い糸を張り巡らせた部屋。
繭の中で目覚めを待つ、胎児のような気持ちになる。
黒い糸を巡らせた部屋。焼け跡のピアノ。
死と再生のあわい。
この芸術家は生きるために、作品を創らずにはいられなかったんだろうな。
展覧会では、お客さんが思い思いに写真や動画を撮っている。
ここ2年くらいで急に、写真を撮ることのできる展覧会が増えた。
撮るだけではなく、SNSに投稿することが推奨されている。
広告費をかけなくても、来る人来る人が皆宣伝をしてくれるのだから、美術館にとっても願ったり叶ったりだ。
人びとの生活と思考に、これだけインターネットが根付いている時代、美術も音楽も文学も、「コピー」が流出していくことを完全に食い止めるのはもはや不可能だ。
いずれにしろ流れ出るのであれば、洪水に土嚢を積むよりも、コピーを利用して、いかにオリジナルの魅力を伝えるかの方がきっと大切。
私自身は、仕事として企業などのSNS運用に長くかかわっているので、森美術館のSNS戦略がとても勉強になる。
まずは奇をてらわず、相手の立場に立って、画面の向こう側にいる人たちが必要としている情報を、地道に正確に発信し続けていくこと。
数字は大切だけれどそれだけじゃなく、根っこにある理念をいつも忘れずにいること。
とても興味のあるテーマなので、こつこつ研究を深めていきたい。
読んでいただきありがとうございます! ほっとひと息つけるお茶のような文章を目指しています。 よかったら、またお越しくださいね。