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「コミュニケーションの質が変わると、学びの質が変わる」 ワクワクする問いから変化を続ける町塚俊介さんの生き方とは

生き方見本市SHIZUOKA・第1部【学びを問い直す】をテーマにお話しいただく町塚俊介さん。学生時代から「暮らしと地域」と「キャリア支援」に軸を置き、たくさんの挑戦を続けられている、町塚さんの現在地と思いとは?これまでの経験から、今回生き方見本市を通じて多くの人に伝えたい思いは何か、インタビューをさせていただきました。

1. 町塚俊介さんのこれまでのお仕事と現在地


《町塚俊介さん略歴》
大学4年生夏・自分の生き方について見つめ直す現代版寺子屋・Lifenoteを立ち上げる。2015年慶應義塾大学卒業後は、リクルート住まいカンパニー入社し「暮らしと地域」に携わりながら、Lifenoteをもう一つの軸である「キャリア支援」として続けてきた。

約半年で退職し、Lifenoteを2015年12月に法人化。それと同時に北鎌倉の古民家を拠点にし、シェアハウスを運営するようになる。その後、仕事版のサークル活動ともえる「ワークル」を通じての起業家支援、自分らしく創造的な自己実現を支援する「Career Design Program」などを中心に、人材育成の事業を展開。

2017年7月、一緒に事業を作ってきた仲間でもある、梨恵子さんとご結婚。2017年12月にはお子さんも誕生した。2018年3月に、出身地である静岡にある世界遺産「三保の松原」を舞台に結婚式を行う。この不確実な時代に永遠の愛を誓う難しさから「栄縁(えいえん)」をテーマとした結婚式を行い、家族観や人生観を大切にしたプライベートプロジェクトにもチャレンジしてきた。

2019年には、起業家支援のノウハウを体系化した『つながりの力で自分の人生を生きる ~成人発達理論を実践する5つの旅~』を出版。料理人としての活動もスタートしている。


― 略歴からも感じられる通り、スピード感を持ってさまざまなことに挑戦されている町塚さん。今はどのようなバランスでこうした仕事に取り組んでいるのでしょうか。

人材育成、教育に関することが主軸になっていますね。割合で言えば6〜7割ほど。現在は、自社の取り組みとしてはコーチの育成プログラム、個人向けのキャリア支援のプログラムなどを展開しています。受託事業としては高校向けのSEL事業(Social and Emotional Learning・心理教育プログラム)や、面白法人カヤックが神奈川県から受託している起業家支援施設の立ち上げやそのプログラム作りに参画しています。

その他に「拡張家族」をテーマに、3軒のシェアハウスの運営をしています。1つは自分たちも住む北鎌倉のシェアハウス。7人・5世帯で住んでいて、普段の生活と一体化した事業です。自分たちが住んでいるところ以外では、日本橋にメガベンチャーなどに勤務する20代後半を中心としたシェアハウス、藤沢に慶応SFCの学生を対象としたシェアハウスを運営しています。

また、今年はじめた料理人としての活動は、暮らしの中でも実践しつつ、修行先である北鎌倉の割烹・小料理「茶飯事」で料理教室を開催しています。この取り組みは、一方通行に教える形とは異なる「料理のラーニングコミュニティ」であることに特徴があります。料理に関する取り組みはワークとライフがつながっているのですが、仕事としても全体の10%くらいは入っていますね。

実は、神奈川県の起業家支援センターの立ち上げでも、起業家にご飯を作ってあげる、なんて取り組みもしたいなと思っていて。シームレスに自身の取り組みが混ざっています。

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(運営するシェアハウスでのひとこま)


2.問い直し、アップデートし続ける町塚さんの「価値観の変化」

― 町塚さんのキャリアは、今回の生き方見本市SHIZUOKAのテーマである「問い直す」になぞらえて言うと、常に挑戦の中から次のテーマを見出して、ご自身をアップデートし続けている「問い直し上手なひと」という風に映りましたが、ご自身ではどう感じていますか?

もともとは、「理想的な何かになりたい、完璧な何かになりたい」という思いがすごく強かったんです。これは子どもの頃からで、小学校の将来の夢スピーチで、一流企業の社長になりたいと言ったことを覚えています。

「完璧とか理想的な何かでないと、自分は人とつながれない」という気持ちが強かったし、期待をかけて育ててもらったという実感もあった。小学校5年・6年でという少し遅めのタイミングで硬式野球始めたのも、弟の方が野球が上手で、父親の意識が弟の方に向いているんじゃないか…なんて考えて、「やだなぁ」と思いながらも始めたりして。

大学卒業後の進路選びもこの思いに関係するところがあります。先輩起業家には、「新卒で起業したらいいのに、今が一番色んな人に応援してもらえるときだよ!」と背中を押していただいていましたが、それまでにイベントなどの短期的なファイナンスはしたことがあるけど、事業経験はなかった。なので、リクルートでの仕事を通じてもっと経験を積んでおきたかったんですよね。

とにかく、自分にとって足りない何かを身につけるとか、リーダーとして完璧な自分になるためにこうするとか、理想的な何かになるために踏ん張ることが多かったと思います。


― 仕事をしはじめてからも、「完璧な自分」ってことを追い求めていますか?それとも、価値観に変化はありましたか?

「この出来事だけで変わりました」ということはできませんが、パートナーや身近な仲間などさまざまな出会いの中で、少しずつ変化していったことを感じています。

理想的な何かになるんじゃなくて、「個性を生きる」と言ったらいいのかな。

例えば僕の場合、2019年1月〜3月の3ヶ月間、料理人としての修行を行ったんですけど。料理人として超一流とか世の中に認められようと思ったら、3ヶ月だけ、しかも27歳のこのタイミングでやるって、「完璧」という軸でいうとちょっと無理があるじゃないですか。

でも単純に、僕の人生的にやりたいから、やってみたんですよ。そうすると必然的に個性のある生き方になっていくんですよね。

完璧な何か、理想的な何かじゃなくて、ユニークな個性ある人生を歩む幸せを、感じ始めています。

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(一緒に事業に取り組む奥様・梨恵子さんと、お子さんとの一枚。)


― 「完璧」という言葉から放たれた町塚さんの生き方、ますますカラフルになってきている様子が伝わってきました。こうした取り組みを絶えず行える原動力ってどんなところから湧いてくるのでしょうか?

常に「ワクワクする問いを持つ」というのが大きいと思いますね。プロジェクトやるときは、半分実験みたいな気持ちがあります。

例えば、最近スタートした料理教室のプロジェクトの起こりは、修行での気づきとこれまでの経験との掛け合わせから生まれた「問い」にあるんです。

3ヶ月間、日本料理の料理人修行している間に、師匠にはさまざまな一流料理店にも連れていっていただきました。素晴らしい料理や日本文化に触れる一方で、文化的な知識を持たない人の増加や、職人技が廃れていっている現状も少しつずつ理解していきました。わかりやすい例で言えば、本来炭火を使うものを、使わなくしてしまうとか。こういう情報って、料理人の世界に足を踏み入れてみないとわからないですよね。

僕自身は料理とは別の軸で、コミュニティづくりやラーニングコミュニティづくりを得意としています。料理の場合って、「素人だけど料理好き」みたいな人多いじゃないですか。そして、それを学びたいという人も多い。しかし、そういう人たちが学べる空間が、意外と少ないんです。

かたや、職人の方たちは、技術は一流だけど、教えることについてのプロではない。

そこで、料理人の持っている技術を、ラーニングコミュニティを作ることで今まで届いてない人たちに届けられるようになったら、料理の技術が伝承されて、さらに広がるんじゃないかなと考えたんです。

そんなところから、単純にワクワクして、新しいこと始めたんですよ。「料理を学ぶ」ための選択肢は、意外と限られていて。従来の料理教室だと表面的なレシピを教わるだけになってしまうことも多い一方で、本格的にやろうと思ったら数百万学費のかかる専門学校やお店に丁稚奉公に行くという選択肢はハードルが高すぎます。だから、「新しいかたちの料理教室」があったらいいなと思って。

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(料理教室の様子)

― 全く異質の取り組みかと思いきや、過去の経験と新しいチャレンジが、非常に有機的につながっているんですね!他の分野での取り組みはいかがですか?

直近で言うと、Lifenoteとして行っているコーチ育成プログラムですかね。これまで対面で行ってきたものを10月からスタートする期はオンラインでやってみようと思っています。オンラインの強みを生かしながら工夫してやる予定です。けどスタートはシンプルで、「オンラインでやったらどうなるんだろう?」という問いからきているんです。

問いを立ててプロジェクトを行っていく中で大切にしていることが、「クリエイティビティ」の考え方です。個人的な考えとして、アートは1人称・主観的な感覚を出すものだと思うのですが、かたや仕事は「私とあなた」の間、2人称の「クリエイティビティ」だと考えています。協働する仲間やお客さんと共鳴する何かがあって、はじめてクリエイティビティと言えるんじゃないかな、と。それが好きなんですよね。


3. 町塚さんにとっての問い直す、そして伝えたいこととは

― 誰かとの関係性があってこそ、新しいチャレンジが生まれているんですね。今回の生き方見本市SIZUOKAは「問い直す」というテーマですが、町塚さんご自身が考えている「問い直す」って、どんなことでしょうか?

自分個人のことで言えば、今は「プレイヤーの卒業」というテーマを持っています。自分の喜びとしても自分が結果を出したというところよりも、一緒に関わってくれる人が学びや自信を得たとか、いい結果を出して成長したとか、そういう部分に喜びを感じるようになってきているんですよね。そのための環境、システム、チームづくりをもっとやっていけたらなと。

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― 今回会場では、町塚さんの積み重ねてきた「学び」というテーマを軸に、参加者の皆さんも「問い直す」きっかけをいただけるような、お話をお聞きできると聞いています!具体的には、どのようなお話しをしていただく予定でしょうか?

今回会場では「つながりから学ぶ」というテーマでお話しをする予定です。一言で言えば、「コミュニケーションの質が変わると、学びの質が変わる」ということを、一番伝えられたらなと思っています。

普段、僕らが無意識に作っている関係性って、その人が何ができるかだとか、どんな結果出したのかとか、人の機能的な価値を評価したり、比較することが多いと思うんです。

それだと、自分が主観的にどんなことを感じているのか、どんなことを大事にしたいか、何をやりたいのか、わからないですよね。

自分自身の存在が何を感じているか、何を大事にしているか、正しい・正しくないに関わらずどんな体験をしてるか。同じ出来事があったときに、主観的な感じ方って違うじゃないですか。それを尊重し合う関係性を僕らは「Bemate」と呼んでいます。

この「Bemate」をつくること、つまり「つながりを問い直す」ということが、学びの質の違いにつながるなと、考えています。

外に求められていることが何かではなく、主体的に感じていることを自覚して、何かしらの行動でカタチにしていく。内から外へ、インサイドアウトで作っていくことが大事だなと、思うんです。だから、コミュニケーションやつながりの質を問い直すことが必要だなって。


― 「Bemate」の関係性、すごく共感します。詳しくお聞きできるのが楽しみです。そして、一貫して町塚さん自身が「問い直す」というテーマを体現しているなと、インタビューを通じてすごく感じさせていただきました。

僕も今日、話しながら思ったんですが、人生には「高さと深さ」みたいなものがあるなと思って。表面的に見えやすい成功は高さに例えられると思うんですよ。一方で、今の僕は「深さ」の方を大事にしていると改めて実感しました。自分の人生を、深く、味わっていくことが大切なんだなって。


― どんな場所で、どんな思いを持って、自分らしくその深さを味わっていくのか。そんなことを参加する皆さんにも考えていただけるきっかけになったら嬉しいですね!ぜひ、多くの皆さんに現地で町塚さんの考える「コミュニケーションの質が変わると、学びの質が変わる」というお話から、対話を深めていただけたらと思います。

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