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仏のシェアリングエコノミー「ブッタスク」

こんにちは、みなさん昨今聞くことが増えた”シェアリングエコノミー”って言葉を知っていますか?
今更かい、ってツッコミも聞こえておきますが、さておき…

シェアリングエコノミーとは
物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。自動車を個人や会社で共有するカーシェアリングをはじめ、ソーシャルメディアを活用して、個人間の貸し借りを仲介するさまざまなシェアリングサービスが登場している。シェアエコノミー。シェアエコ。共有型経済。

一つの能力(を持つ人・モノ・サービス)を借りあうこと。

このシステムが日本のお寺界隈にも誕生したんです

その名もブッタスク!!


ンなんだこれは、なんだこれはーーー

と、気になって仕方なく…

話聞きに行ってきました。

片岡さん:ブッタスクの運営・広報・開発をしている人(左)
草切さん:ブッタスクの代表(右)

突然の取材依頼で快諾していただいたお二人。
せっかくなので、長いのですが聞いた分全部お届けしちゃいます。
日本の社会問題と対峙するお二人の挑戦、その想いは予想以上のものでした。

目次
*どんなサービス?
*”お布施”の本音と明瞭会計。
*日本の危機を救いたい。熱い男たち
*お坊さんのスキルを解放せよ!
*どんな人が運営しているの?なぜ始めたの?
*ブッタスク=法要で終わらせたくない
*どんな思いで運営しているの?

【どんなサービス?】

「ブッタスクは利用者の方とお寺の人がつながることができるプラットフォーム。そして、お坊さんが提供できるもの全般(スキル)を提供しようというもの。」

そう語るのは、運営の片岡さん。

ブッタスクはユーザーが地域を選び、通夜葬儀・戒名つけから、家相判定・出張写経・お悩み相談・厄除け・命名と…
こんなのも!?というものまで、お坊さんにお願いできちゃうんです。

み「これがお坊さんのスキルってやつですね。」

片岡「本当は”法務”というんですが。ただ運勢鑑定とか姓名判断などできる人もお坊さんによって違うから、その場合はスキルでいいのかな。」

み「これは珍しい。あと、もう一つの特徴は、事前にお坊さんの個性を知ってお願いできることですよね!

このことは後半で詳しく話していただきましょう。

【”お布施”の本音と明瞭会計。】

お坊さんにお願いする法務の料金、”お布施”

一般的には「お布施はお気持ちで・・・」と言われることが多い中
ブッタスクは「お布施の目安」を乗せてくれているんです。

これは有難い!新しい!

片岡「僕ら(利用者)は「お気持ちでいいですよ」って言われても正直困っちゃいますよね。」

はい。

片「正直な話、お坊さんにもいろんな考え方があって。お坊さんは上限を決めたくないって人も…いろんな事情があり、お布施の金額を出すことに躊躇する人もいる。」
草「お寺の格や地域での差も大きくありますし。」

み「お寺を支えるために、きちんとお金をもらうのは大事なことですしね…
難しいところですね。

片岡「で、最終的にブッタスクはお布施の金額を”目安”として掲載することにしました。」

み「目安ってことは、多少前後してもいい??」

草切「はい。あえて幅があるように設定しています。

お坊さんは任意で目安を設定できるそうです。


お願いしたいお坊さんが決まったら
ブッタスク内で直接メッセージ(DM)できる。

片岡「DMでは法要の日程など詳細の打ち合わせはもちろん、お布施の値段を協議できるんです。」

え!

片岡「『うちは2万しか払えない』とか『リポビタンDしか渡せない…』などリアルな場ではあるから、交渉は許容している。」

そんなことあるんですね!

草切「あるんですよ〜」

片岡「逆に「お車代含めて5万に上乗せさせていただけます」という気持ちもあり。ということで話し合い後の金額を入力できるようになっています。

で、利用後はレビューを描いていただき、手数料を引いて僧侶さんへ入金しているそう。

み「ちゃんとレビュー書かなきゃですね!!

草切「あと支払いはクレジットカードと銀行振込ができるようになってる。

めちゃキャッシュレス〜。

ちなみに、お仕事ぶりがあまりにもよかった時、チップ的に現場でお支払いする分には関与していないそうです。

【日本の危機を救いたい。熱い男たち。】

み「お二人がそもそもこれを始めたきっかけはなんですか?」

片岡「僕はずっとWEB関係の仕事をしています。草切さんのお寺(本円寺)でもアクセス解析をしてて。
そこで、檀家離れ・核家族化・地方の過疎化などが進むことで、お寺が苦しくなってるってことがわかった。

7万7千寺院あったが、今や2万寺院が廃寺に。
お坊さんも足りず、兼業お坊さんや、お坊さん派遣に登録したり…

片岡「なんでそうなったか考えたときに、地方からの人口流出、核家族化で世代間コミュニケーションの減少ってゆう背景があって。
仏事に触れる機会がなくなった
で、(仏事が)自分ごとになった時に、どうすればいいの?!って人が多くなってきた。」

み「お寺の問題は社会問題と密接に関係してるんですね。」

片岡「(浄土宗で実施したアンケートより)お寺や僧侶に対して悪いイメージを持つ原因を「お布施と人に対する態度」と回答している人が一番多かったとか。
生活者とお坊さんの間にイメージのギャップ・ミスマッチがあるんです。

悪いイメージあると近づきにくいですよね。

片「だから、お坊さんの個性や人柄にフォーカスしたサービスを始めました。

み「中の人がわかれば安心できるかも。

片岡「そう。大切な人を送る時は、最初から顔が見えて、信頼できる人に任せたい。イメージのミスマッチがなくなったら、利用者にとってもいいことになるんじゃないか。お寺や僧侶への悪い印象無くなるんじゃないか。

お寺との心理的距離感を縮めるにはいいですね!

片「お坊さんからしても、もっと社会で活躍したいと考えている人が、自分の人柄・個性・思いをブッタスクに掲載する事ができる。土地に縛られてこれまでに出会うことのできなかった人に出会う事ができる。

片岡「つまり仏教界が抱えている問題と社会問題を解決する一つのソリューションになるのでは?!

…と、着想を得て。会社を作りました。」

み「熱いですね。」

片岡「一つ一つのお寺単位で元気になって欲しいし。

一方僧侶である草切さんは?

草切「昨今は檀家減少らしいが、自分の寺は微妙に増えているんです。
でも、超宗派の集まりに行った時に、やはり周りは減っているんです。
そこで自分のところだけで良いのか?と思った。」

み「自身の肌感覚で危機感があったんですね。」

草切「仏教ってゆうのは街の中にあって優しい場所であるべき。
でも、このまま行くと20年後30年後はどうなってくのかなって。
団塊の世代の人たちがなくなった後はどれだけ仏教が日本に残っているのか。」

片岡「だから、お坊さんのポータルサイトとして、いつでも安心できるお坊さんがいるよってわかって欲しかった。

そしてお二人はタッグを組みましょう!となり
この着想があってから、一年以内にローンチ。

み「はや!!サービスが始まってから今日までの日々はどうですか?」

片「まだもどかしさを感じる日々です。なかなか人にリーチしなくて…当面の課題は認知度と信頼性ですね。

まだまだ登録の僧侶さんが少ないですから、多くの人に広まって欲しいと願うばかりです。

【僧侶の能力を解放せよ!】

「ブッタスクを通じて僧侶が活躍、必要とされる社会を作りたい。」

そうお二人は語ります。

片岡「日本の伝統である仏教が今一度身近なものになってほしい。
多様な社会問題を抱える現代なので、様々な悩み、ストレスを抱えている現代。だからこそ、解決のために僧侶の経験やスキルを活かしてほしいと思った。

今だからこそ、ですよね。

片「僧侶をシェアするというか、僧侶の能力を解放してほしい。

み「能力の解放!」

片「ブッタスクでも、菩提寺がある時はなからず菩提寺を通してくださいとしている。
ただ、今までは菩提寺の「この人じゃなきゃいけない」と決まってた。でも檀家制度が崩壊してきた今、真に信頼できる人と繋がれる時でもある。」

草切「まずはお坊さんと接点を持ってもらって、必要なときに必要なことを相談できるような関係性を築いてほしいなと思う。

確かに。
お寺は葬儀だけじゃない。写経、坐禅、精進料理・・・
お経だって晴れやかな環境で聞くと全然違う。

片「そういったもので仏教を一度体験してみて欲しいんですよね。
整骨院のチラシが入っててもいきなり行かない、百円割引があったらちょっと行ってみようかなって骨盤矯正にいけるように
法事以外の軽い繋がりを作ってみて欲しいと思ったんです。

草「私は普段、法要じゃなくとも飛び入りでお寺に入って来て相談事をされたとしても、満足して帰ってもらいたい。そう思っています。
その規模の話をweb上で拡大したい。
日本的な、仏教的な精神でまちづくりをってとこまで考えてる。

み「この運営をお坊さんじゃない人がやってるところがいいなって思います。」

片「なるべくユーザー目線になるようにしている。お寺の草切さんとはぶつかる時はありますけど。だから僕らのサービスは両方混ざってるなと。
ブッタスクを通じて助け合いの社会ができてくれたら嬉しいと思っています。

【今後実現させたいこと】

み「実現させたいことはありますか?」

片「たくさんあります!あの…仏教コンテンツって呼んでるんですけど。

それは、法話・お経・念仏・坐禅・精進料理・装飾品・袈裟・など、仏教の産物のことです。
仏教コンテンツは人を癒す・人を集める力があると思います。

この魅力を個人でなく、企業単位で伝えたり。日本の伝統文化として、訪日外国人にこの仏教コンテンツを広めていけたらいいですね。」

み「お坊さんたちのクリエイティブな部分も多く見られるなと思う。」

草切「ブッタスクのサービスを大きくしていくのはもちろんなんですが
僧侶と一般の人が繋がることが目的なので、仏教コンテンツを一般の人に認知してもらって、「楽しいじゃん」「癒されるじゃん」って思ってほしい。」

【実際に働いてみた僧侶さんの声】

ブッタスクの登録僧侶として勤めている斎藤さんの登場です。

斎藤「法要の依頼を受けて、近い距離の人のお寺を借りてやってきました。DMと電話をして確認をしたので、初対面でも信頼は作れるなと思った。

斎藤「以前は僧侶の派遣に行ったことあるが、一回だけで終わってしまう。ブッタスクだと日数空いてるといろんな心配事とかをやりとりでき、あと電話じゃ話にくいという人、DMできる。」

お仕事する側も安心ですよね。

斎藤「お悩み相談とかメールだけ・電話だけで終わることはありましたよ。」

斎藤さんのできる法務は?

斎藤「僕は悩み相談、法要、お焚き上げができます。田舎のお寺だからそういうこと(お焚き上げ供養)ができるんです。」

なるほど、そのお寺だからこそできることですね。

み「僧侶側のサイトの使い心地はどうですか?」

斎藤「初回は(使い方を)相談しましたが、一回やればできるかなって。」

み「斎藤さん世代(40代)でしたらネットは使いこなせる世代の分岐点でしょうか…登録僧侶さんを全国区に広げるにはなかなか骨が入りそうですね…」

片岡「そもそもインターネットがわからないって人がいるんです。ログインについて30分間説明したり。ここは障壁高いなと思った。

み「若い僧侶の力も必要ですよね。」

片岡「日々検証しながらの課題ですね。」

み「一番嬉しかったことは?」

片岡「利用者からの声で

「読経・法話してもらってた時に、思い描いていた人が来てくれた気がした。」

と言われた時。最上級の褒め言葉ですよね。
そう思って欲しくて始めたサービスだったので。
まだだけど、着実に一つ一つやっていけば、役に立つサービスになるんじゃないかな。」

み「最高っすね。」

片「その日は飲みに行きましたよね。」

【シェアリングエコノミーについて】

私は勝手に、仏教界のシェアリングって難しいと思ってたんです。
一見さんお断りのようなイメージが勝手にあったり。

片「今まであった日本の中央集権的な社会が、今や分散型になっている。
組織よりも個人に注目されるようになってるのかな。
だからこそお坊さん一人一人にスポットライトを当ててほしい。」

インタビュー中感じたことですが、
日本の現代社会の問題や傾向をよく見ていますよね。

それにきっと、日本人としてのアイデンティティを大事にしていて、仏教のもつ癒しの力を信じているんだと思うんです。

それで、日本の問題を解決させるために、大きな挑戦をし始めたお二人です。

登録僧侶さんは広告やPR活動で増やしながら、お寺にアポをとって足を運んでいるそうで。
草切「一歩踏み出さないっぽい人が多いかな…
片岡「感覚ですが、必要なことはわかるけどちょっとまだ様子を見ているのが話してて伝わってくる。」

う〜ん、地道なところもまだまだ続くのか。

「お寺って、日本人が日本人に帰れるところですもんね〜」
と言いながらインタビューを終えました。


まだまだ始まったばかりのサービスです。

これからの発展が楽しみです!!

読んでいただけたお方、ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか?

お坊さん、ぜひ登録して自由な活動してみませんか?

以上!長文を読んでくれてありがとうございました!


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みほとけ


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