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リクルートを退職しました

はじめに

12月でリクルートを退職しました。新卒で人材領域の事業会社リクルートジョブズに入社し、最終的には機能会社であるリクルートテクノロジーズにも所属し本当に幅広い経験をさせていただきました。

リクルートでやってきたこと

①デジタルマーケティング
はたらいくとらばーゆリクナビ派遣という求人広告サービスのデジタルマーケティングを1年半ほど担当しました。元々リクルートに入社を決めたのも若手のうちから裁量がある点が決め手だったのですが、全く未経験の新卒にいきなり億単位の予算を任せていただき、リクルートのカルチャーは期待以上のものでした。一方で取り扱う数字の大きさゆえに、自分にとっては「この仕事は誰の役に立っているのか?」というのが当時なかなか実感を持ちづらいという悩みもありました。そのような中、上司に「大学でエスノグラフィやっていたり、ユーザーに興味があるならUX系のキャリアも考えてみたら?」と言っていただいたのがきっかけで「UXってなんだろう?」と興味を持ちました。

②プロダクトオーナー
開発系の部署へ異動し、プロダクトオーナーとしてはたらいく、とらばーゆのアプリリニューアルを担当しました。サービス企画の経験ゼロで何から始めたらいいのか全くわからず、とにかく社内外でアポを取って転職経験の話を聞いてユーザー理解に努めたり、ユーザーテストに協力をしてもらい現状の課題を洗い出したりしてUXを検討していきました。お宅訪問調査やアイトラッキング調査、グループインタビュー、クラスター調査など幅広いリサーチ手法を試したのもこの時期で、リサーチャーとしての原体験になっています。エンジニア、デザイナーとチームでサービスを作っていく難しさと楽しさを教えてくれたのもこのプロジェクトでした。リニューアルを担当したアプリはどちらも嬉しいことに星4以上をキープしています。


③UXリサーチャー
サービス企画の中でもUXリサーチが面白いと思うようになり、タウンワークチームに異動しUXリサーチスキームの立ち上げを推進しました。当初「もう数年ほどUXリサーチはしていない…」というような状況でしたが、今では多い時には毎週の頻度で行うまでになりました。インタビュー設計して、実査して、レポートして…の繰り返しで今思えば嵐のような日々でしたが(笑)1年で100本以上のUXリサーチを経験し、着実に自分の力になったと思います。元々なかった仕組みやチームをゼロから立ち上げるというのは非常にエキサイティングで、チームであれこれ議論しながら毎週改善していくのは本当に楽しかったし夢中になっていたなと思います。タウンワークは開発だけでも100名以上?もはや全体像が把握できないほど大きなチームでステークホルダーが多い中、UXリサーチを推進していくためには役員や他の職種の人にも理解してもらえるよう事業観点での効果を定量的に語るという点が不可欠でした。UXリサーチというのは突き詰めると文化や組織論になるんだなというのを身を以て感じました。この取組は社内でも表彰をいただいたり、社外でLTしいろいろとフィードバックをいただいたりしましたのでご関心のある方はLT資料を御覧ください。

また、他にも新規事業や新機能検討のリサーチを企画から実行まで経験しました。途中から機能会社のリクルートテクノロジーズに出向しプロフェッショナルなリサーチャーと一緒に仕事をすることになり、自分の未熟さを感じ凹みながらもリサーチの基礎を叩き込んでいただきとにかく手を動かす日々はとても刺激になりました。

キャリアに悩み始めた時期

UXのキャリアへと飛び込んでみると、周りには経験豊富な中途の先輩や元々大学でUXを学んでいた後輩などが多く、相対的な自分の専門性の弱さに「UXの仕事は面白いけど、自分はこの領域をフィールドにしていくんだろうか?」と悩み始めました。リクルートは幸いにもUXブートキャンプという社内独自のUX研修制度があったり、希望を出せば社外研修や海外カンファレンスにも参加できる環境だったので目一杯使わせていただきながら努力はしていましたが、『プロフェッショナルかジェネラリストか?』つまり、UXのプロフェッショナルとして様々な事業のUX領域だけに関わりたいのか、それとも事業をつくったり意思決定ができる人間になりたいのか悶々としていました。(「UXコンサルティング会社か事業会社のUX担当、どちらで働きたいか?」という問いがイメージに近いかもしれません。)しかし、役員とランチをご一緒したときこの悩みをぶつけてみたところ、「なにもプロフェッショナルスキルを持っていない人はジェネラリストとも呼べないんじゃないか」と言われてハッとしました。うだうだ悩んでいる時間ももったいなくて、まずは目の前の現場をとにかく経験し、UX、特にリサーチで突き抜けたプロフェッショナルスキルを磨くこと。そう決めてやっていく中で、世の中を良くする事業をつくりたい、そのための一つの手段がUXやリサーチであるという自分のスタンスが明確になりました。

転機となったCIIDサマースクール

こうして悩みながらも充実していたリクルートからの退職を考え始める転機が、「デザインスクールとか行ってみたいな」と憧れながら参加したCIIDのサマースクールでした。私の講義を担当してくださったIDEOの先生はデザイン思考を用いて途上国の女性をエンパワーメントするという世界中探してもなかなかいなそうな経験をしており、正直講義で扱った理論や手法はIDEOのオンライン講座で聴いたことがあったりと日本でも学べるようなことも多かったのですが、ケーススタディに非常に厚みがあり、まだ誰もやったことがない領域で理論の実践にチャレンジすること、そしてそこから得られる新しい学びや知見にこそ価値があるのだなと体感しました。そしてデザインスクールで学ぶのも憧れるけど、もっと現場で経験を積みたいし、そのような環境ってどこだろう?と考えた結果、リクルートを退職しとある新規事業にUXリサーチャーとしてジョインすることに決めました。(これはまた働き始めてからご報告したいと思います。)


リクルートでよかったなと思うこと

キャリアの軸ができたこと
前述したとおり様々な職種を経験させていただき、自分の中で「デザインリサーチ」という軸ができたこと。これは個の意志を汲むリクルートの文化があったからこそ、柔軟に部署異動やチーム転換を組んでもらえた結果だと思います。

チームで仕事をする面白さを知った
元々何事も「一人でやったほうが早い」と思っているタイプで、部活も個人プレイだからという理由で弓道を選んだぐらいでしたが、優秀なエンジニアやデザイナーとチームでサービスをつくる経験から「みんなでやると想像もしなかったような景色が見える」ということを教えてもらいました。

副業でキャリアが広がった
副業OK、リモートワークの推進もあり、当時鹿児島での地域活性化プロジェクトにも関わっていた自分にとっては二拠点生活しやすい環境であったのはありがたいことでした。副業は自分のキャリアを広げてくれると思います。

自分らしく働けた
私はおかしいことにはおかしいと声を上げるし、時には信念を曲げないこともありますが、それが推奨されるボトムアップの環境でした。個を歪めずに自分らしく働けるというのは私にとって精神衛生上とても大事なことでした。(おそらく多くの上司や先輩方には影で多大なる配慮をいただいていたんだとも思います。感謝申し上げます。)

とにかく人
これはもうリクルートからの退職エントリを読むたびに書いてあって見飽きているかもしれませんが(笑)本当です。プライベートでも仲良くしていただいたりと、社会人になってからも友達ってできるものなんだなって思いました。退職を決めてから温かい応援をいただいたり送別していたりして、その度にいい人達に囲まれて働いていたんだなあ…としみじみ思いました。後輩が作ってくれたオリジナルハンガー嬉しかった!「UT(ユーザーテスト)するならZONO」笑

最後に

長くなってしまいましたが、これでも書ききれないぐらいたくさんいいところがあって、新卒で選んだ会社がリクルートで本当によかったです。お世話になった皆さん、ありがとうございました!

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