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遠い昔 ことばがなかったころの

例えば“美しい“という言葉は、
遠い昔、まだ言葉を持たなかった頃、
今日咲いた花を発見した時、
月を見上げた時、
体の、心の奥で、
何かが動き、うまれた思いを
いつの頃か、誰かが
言葉というカタチに
してくれたもの
だと、思うのです。

言葉がなかった頃の
憶い、懐い。
言葉にならない体の、心の、
奥の奥の奥にあるものを、
思い、想い、考い《おもい》…
いつも言葉を探します。

絵はむずかしい
言葉はもっとむずかしい
絵はもっともっとむずかしい
言葉はもっともっともっと
むずかしい


  遠い昔 わたしが鳥だったころ
  ほうわりと白い花を咲かせたあなたは
  彼方の月とわたしに
    ほほえみかけ 伝えたのです
  身も心も わたしたちは
    日々共に生きていると

  延々とわたしの血の中に流れ続けている
    あの頃の しあわせな日々
  見つからなくなる前にー
    鳥であったわたしは今 人となり
  託しますー〈ことば〉に。
    血の中に流れ続けるこのおもいを
       〈ことば〉に。
  目の前のあなたに伝えるため、
    今日をまたあなたと共に
    しあわせに生きてゆくため。
    

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