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好きな食べ物を教えて?/ポテトサラダに罪はない

「サツマイモがすき。九州出身だから小さい頃からよく食べてたし、サツマイモのおやつって全部おいしい!スイートポテトはお店で売ってるのも、おばあちゃんがつくってくれたのも、全部好きだなぁ。」

彼女のクリクリとした瞳を、懐かしさが細めるのを見て、いいなと思った。好きなたべものの話に良い・悪いもないのだけど、強いていうなら100点満点だった。

好きな食べ物の話はプライベートな質問なのだ。なるほど確かに、答える人は、出身地や、食べ物にまつわるエピソード、人間関係なんかも明かされる。

同じ食べ物でも、味わい深いと思うのは、"ひとつまみの自分史"が決め手になっているんじゃなかろうか。

いつもInstagramで見ていたあの子と、話には聞いていたあの子と、突然友達が近くいるって言うからさ〜と連れてきたあの子と、はじめしての会話にぜひ。


ポテトサラダに罪はない

わたしはポテトサラダが好きだ。わりと、結構好きだ。安いのも高いのも、どこで食べても、だいたい期待通りかそれ以上。どんな場所でも、そつなく自分の役割をこなす、ポテトサラダが好きなのだ。

どれくらい好きかというと、居酒屋だろうと、レストランだろうと、メニューに見つければ必ず注文する。たとえ賛同者がいなくても問答無用にオーダーを入れる。ポテサラジャイアニズムを発動するほどに、好きなのだ。ポテトサラダに罪はない。

スーパーのお惣菜コーナーで3割引になっていると、手に取らずにはいられない。適当に買ったコンビニ弁当の隅にポテサラがいるとちょっと嬉しくなる。

ポテトサラダはわたしにとって「許容」を象徴する食べ物だ。アレンジの幅が広いのに、ポテトサラダとしての自我は保ちつつ、味はどれも美味しくまとまっている。ハムやきゅうり、トマト、玉ねぎ、リンゴはもちろん。燻製たまごや、いぶりがっこ、うに、いくら、チーズ……主役級との絡みも慣れっこだ。

大切なのは自我や、アイデンティティを失っていないこと。「わたしはポテトサラダです」。君は相手をゆるすことで、より強さをます、ポテトサラダのアイデンティティ。

わたしも誰かに許されているんだろうな。ポテサラジャイアニズムとか良い例だ。わたしも、わたしのままで、誰かを許し受け入れながら、強くありたいな。

▼許しと強さを、教えてくれたポテトサラダリスト
・福耳/渋谷 いぶりがっこと燻製たまごのポテトサラダ
・東京台湾/中目黒 くるみときな粉のポテトサラダ
・ピーコックストア/チェーンのスーパー ハムが自慢のポテトサラダ


表紙のポテトサラダは新宿にある「茶茶花」の逸品。お店を教えてくれたよこいちさん、ありがとうございます。







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