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老健ST、「食事」ってなんだろう

CW「どうしても食事でムセる方がいます。見てもらっていいですか?」

こういう依頼をもらう事が多い。食事場面を観察し、必要に応じて水飲み検査を行う。で、嚥下能力の評価をワーカーさんに伝える。

嚥下評価も色々あるけど、特に悩むのが「食事形態の変更」

刻み食から常食にUPするのは喜ばしい事。イキイキと変更していく。(もちろん評価して観察してから)

問題は、食事形態を下げる時。

ここからは反省文。

CWさんから↑の相談を受けました。どうしても水分やお粥でムセてしまうと。私は頚部聴診、食事観察、水飲み検査を行い、本人(Aさん)と食事に関して話しました。

ながと「むせ込みも多いし、食事を常食から刻み食に変えてみましょうか?」

Aさん「そうしてみようかしら。」

刻み食に変更。最初はAさんも「食べやすいし、この食事でいいわ」といってくれましたが、すぐに「またむせ込むの」と相談。

次に行ったことは食事と水分を交互に飲み込む「交互嚥下」の方法を教える。

Aさんはこの方法でなんとか食事が進んでいた。

しかし「まだムセる」と相談。CRP(炎症反応)の数値も高い。ワーカーさんとナースさんと話し合い、私は「食事形態をもう1段階下げますか・・・」と提案。義歯がしっかりあるにも関わらず、食事形態を下げる。ワーカーさんとナースさんも了承。ドクターに説明して許可をいただいて食事形態を「ペースト食」に変更。

変更して数日たった時、

PT「Aさんの様子がおかしい」

ながと「?どういう事ですか?」

PT「挨拶しても上の空だし、話のつじつまが合わない。目が虚ろ。なんだかおかしい」

そんな会話をした数日後にAさんは体調不良によりほかの病院に転院(なので退所)。Aさんが去った後、ナースさんがぽつりと「食事変えてからあっというまだったね」

私はAさんに対して「飲み込み」ばかりに目がいっていた。咀嚼機能には頭が回らなかった。その時に、「食事」は「飲み込み」だけではない「咀嚼」の大切さ、食事形態を変更するリスクを知った。

なぜしっかり噛むことを伝えなかったんだろう。ペーストに変えたんだろう。病院側にVFを頼めばどうなっていたんだろう…。


今も食事形態を下げるのに躊躇してしまうのです。



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