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2018年読んでよかった本〜小説、自伝、漫画などなど編

本は大好きでよく読むのだが、今年は慣れない親業1年目で例年に比べて読破数自体はかなり減った。減ったが心に残る本は何冊かあるので記しておこうと思う。

1. たゆたえども沈まず

原田マハのアート小説は、ほぼ全て読んでいるくらい好きなのだが(もちろん各冊で好きの強弱はある)、この前に読んだ「アノニム」はいまいち好みではなく...あれー、と思っていたところにこれ。書店の平置きで見つけ、表紙の『星月夜』(ゴッホの代表作の1つ)とタイトルに心捕まれて秒で買いました。なぜならわたしはゴッホファン。ゴッホのある種狂気っぽい絵、というより人生にどうしようもなく惹かれてしまうのです。

ヨーロッパにおけるジャポニズムの仕掛け人、林忠正。彼の右腕となる加納重吉、ゴッホ、弟テオ...。史実、そして創造が入り乱れて物語が進むのですが、「そっか、テオはこんな思いで...」「ゴッホ...辛いね。。。」と、完全に本当のこととして読んでしまいそうになる。小説の醍醐味ですね。

MoMAに飾られた『星月夜』、もう1度ゆっくり観たくなってソワソワしてしまいました。

2.ある奴隷少女に起こった出来事

この本を何のきっかけで知ったのかは完全に忘れてしまったけれど、手にとってよかったとしみじみ思う1冊。元々、実在の人物が買いたノンフィクションだったのが、小説と誤認され歴史から忘れ去られていた→それが126年後、実話と証明されベストセラーに→日本ではたまたま出張中の新幹線で原書を読んで感銘を受けた会社員の女性が翻訳して出版にまで漕ぎ着けたという数奇な運命を辿った本です。

じんわり知っている「奴隷制」について、まるで目の前で繰り広げられているかのようなリアルさで迫ってくるので「読みたい、でも読みたくない」と思わされるところも。アメリカの北部と南部でこうも違ったのか、とか、(奴隷の親子の話で)親が子どもを自由にするためには自分が我が子を買い取らないといけないの??とか、感情的にパンクしそうになります。

けれど、何が最後まで読ませるかというと「絶望的な状況でも決して諦めず、自由を渇望し、生き抜くために行動し続ける」主人公の姿。それは現代に生きるわたしたちにとっても、決して遠い姿ではありません。

個人的には世の中に出る前、10代で読みたい本だなとも思いました。

3.ナナメの夕暮れ

社会人大学人見知り学部卒業見込み」から足掛け(たぶん)7-8年。自意識こじらせすぎて「スタバでグランデのラテ頼んでいるところを知り合いに見られるくらいだったら舌噛んで死ぬ」的なことを言っていた若林氏が...不惑になってついに大人になっている...!!!!

世の中の「これは、こういうものだから」がどうしても飲み込めない人、理由はよくわからないけどなんだか自分だけがもがいている感じがしてつらい人には前作から続けて読んでほしい彼の本。ある人の死をきっかけにナナメでいることをやめたという彼の変化が手に取るようにわかって泣けます。

社会で揉まれ、でも流されず、自問自答しながら生きて、ついに彼の自分探しは終わった。自分探しをバカにする人っているけど、必要ない人はいいよなぁと思う。必要な人もいるんだよね。

4.サトコとナダ

以前は欠かさずチェックしていた「この漫画がすごい」。ある時ふと思い出してランキングをチェックし、面白そうだったので買ってみたのがこのシリーズです。

サウジアラビア出身でムスリムのナダと日本人のサトコ。2人がアメリカでルームシェアをしながらお互いを知っていくリアル異文化交流の日々、学生生活...。

宗教的な装いからつい、「ムスリムの」子として見てしまうけれど、それって別にナダの1つの個性であってすべてではないのですよね。

可愛いドレスを見て、「でもわたしがこんなの着ても..」と買い渋るサトコに、「わたしは自分のために大好きな服を着る。あなたの方が不自由ね(※)」とナダ。何が自由で何が不自由なのか、ただ一方的な価値観で異なるバックグラウンドの人をジャッジしていないか。面白く読むなかで考えさせられるストーリーが満載です。

(※ブルカの下に着るので、他の人の目には触れない=その服を着て他の人からどう見られるか気にする必要がない)

ちなみに最近漫画はほとんどKindleで読みます。冊数増えても持ち歩けるから便利!

5. 私の小さなたからもの

最後はいま読んでいる本。こういうエッセイにわたしは弱いぜ。

戦後すぐに単身アメリカに渡り、その後パリへ。シャンソン歌手として活躍した石井好子さん。元祖料理エッセイと言われる彼女の著作「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」がたまらなく好きで、これもそんな「日常のなかの小さな喜び」を淡々と、けれど情景が浮かぶように綴る1冊。

ミモザの花、ハンブルグの絵皿、時計、美しくありたいと願う心。生まれた世界が違うゆえの羨望からは逃れられないけれど、彼女の書く1つ1つのモノについてうっとり想いを馳せずにはいられません。毎日、ちょっとした時間の隙間にぱらぱらとめくり、目についたページを読むのが楽しい。

さて、来年はいったいどんな小説、エッセイ、漫画、などなどを読めるかな。みなさんの今年読んだお気に入りも教えていただけたら嬉しいです。

#日記 #本 #読書



Thank you for reading!