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抱きしめられたい欲

「女子高生の援助交際」なるものが世間をやたら騒がせていた頃だから、もう20年くらい前になるのだろうか。あるひとが書いた文章のなかで、なぜかいまでも覚えているものがある。

「(何らかのバックグラウンドがあって)誰からも抱きとめられていない女子高生と中年男性が、援助交際の当事者なのではないか」

☆☆☆

言うまでもなく日本はハグ文化ではないので、対パートナーでもない限り日常的に誰かを抱きしめたり抱きしめられたりする機会はほとんどない(というか、対パートナーでも日常的にとはいえないかも)。

けど、ないですか?
抱きしめたい、抱きしめられたい欲。

とくに、抱きしめられたい欲。

性的な意味を持った触れ合いではなく、ただただ自分以外の誰かのあたたかな体で抱きとめられたい。安心したい。落ち着いたり、癒されたり、慰められたりしたい。

これはわたし個人特有のものなのか、それとも心と体の性が女性で異性愛者であれば一般的にそうなのかは分からないが、できれば定期的に(?)自分より大きな男性に抱きしめられたい。腕のなかで深呼吸したい。ぎゅーっと抱きしめ返したい。これはもう理屈じゃないのだ。

家族同士はもちろん、友人同士でもハグし合うことが稀なこの国で生きていたら、下手すれば小さな子どものとき以来、誰にも抱きとめられないまま大人になる。そして大人になればますます誰にも抱きしめられなくなる。それって、メンタルヘルス的にどうなんだろう?触れてもらうという一種のセラピー的要素がなくなっても、ひとって情緒が安定してしあわせでいられるものなのだろうか。ひとってそんなに強いもの?

少なくともわたしには、耐えられそうにない。

#日記 #コラム #エッセイ  


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